平成29年2月定例会
「予算特別委員会 総括質疑」

【質問項目】

  1. 1. 安心して産み育てられる環境づくりについて
  2. 2. 外国人観光客の誘客拡大ついて
  3. 3. 森林の多様な利用について
  4. 4. 岩手県立大学の取り組みについて

1. 安心して産み育てられる環境づくりについて

① 安心して妊娠・出産・子育てができる切れ目ない環境整備への取り組みについて
来年度当初予算案に、「産科診療所開設等支援事業費補助」、「地域で支える周産期保健医療支援事業費」の2事業が新たに盛り込まれたことはありがたく、大変期待するものである。
しかしながら、県内の医師不足は深刻であり、県内の分娩可能施設は32施設あるが、施設のない市町村は33市町村中22市町村となっており、分娩施設不足、産科医不足の現状を踏まえると、健診や分娩は域外となったとしても、せめて産前産後の心身のケアを域内で十分に受けられる環境整備は重要と考えており、これまでも訴えてきた。
花巻市では、来年度当初予算案に産前産後ケアを行う助産師等で構成する団体への委託事業を新規に盛り込んでおり、恐らくこれは県内初ではないかと思われる。
ぜひ、このような先進事例をモデルとして、産前産後ケアが県内に広く浸透するよう県としてもさらに取り組んでいただきたいと考える。
そこで伺うが、県内どこに住んでいても地域で安心して妊娠・出産・子育てができる、切れ目のない環境整備にどのように取り組むのかお伺いする。

答弁
安心して妊娠・出産・子育てができる環境の整備は今、目の前にある課題として重要であり、「ふるさと振興総合戦略」の基本目標の一つでもある、社会全体で子育てを支援し、そして出生率の向上を目指す上でも重要である。
本県においては、出産年齢の上昇や出生時の体重が2、500グラム未満の低出生体重児の出生割合が近年増加傾向にあるなどの、リスクを抱える妊産婦の割合が増加しており、妊娠・出産・子育てに係る妊産婦等の不安や負担が増えている状況にあると認識している。
このため県では、地域で安心して妊娠、出産できる環境を整備するため、新たに、助産師等を活用して、地域で妊産婦を支える体制をつくる取り組みについて、関係経費を当初予算案に盛り込んだところである。 この事業では、市町村、関係機関と連携し、潜在助産師の掘り起こしや人材育成研修を行うこととしており、市町村が実施する妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援の実施につなげ、安心して妊娠・出産・子育てができる体制づくりに努めていく。


② ライフプランニング支援について
ライフスタイルが多様化し、様々な働き方、生き方を尊重することは大切である。
一方で、若いうちから様々な知識を得ておくことも必要であると認識している。
県の不妊治療の支援拡充などの取り組みは大変ありがたく、継続していただきたいが、昨年の決算特別委員会総括質疑でも述べたとおり、現在約21人に1人は体外受精で生まれているとのことであり、卵子の老化などによる不妊で悩む人が増えていること、また、女性特有の病気も若年層で増加傾向にあることなど、妊娠・出産に対する知識はぜひ若いうちに知っていただきたいと感じている。
平成27年度から高校生向け保健体育資料が改訂され、妊娠、出産や不妊についての知識などが盛り込まれたことは以前も取り上げたが、この資料は教師が授業で活用するほか、助産師等が保健講話を行うときに利用されている。
また、青森県では県教育委員会が産婦人科医を校医に委嘱する制度があり、教育委員会と産婦人科医との連携により、多くの中学校、高校で講義を行い、女性の婦人科受診のハードルを下げるなどの取り組みも行われている。
そこで伺うが、全国的に妊娠・出産に対し、教師の間違った不適切な発言が見られるような状況もあることから、助産師等専門家による啓発の取り組みをぜひ全ての高校で行っていただきたいと考えるが、いかがか。

答弁
高等学校におけるライフプランニングの教育活動に当たっては、国が作成した副教材や、各学校が生徒の実態に合わせて採用している副教材なども活用しながら、生徒一人一人が主体的に就職、結婚、出産などの人生設計を立て、自分の進むべき道を選択し決定する能力を育んでいる。
特に妊娠、出産については保健学習等において正しい知識を身につけることが重要であることから、高等学校において助産師等の専門家の力もお借りして講演会等の啓発の取り組みを行うことは、生徒の理解を高める上で極めて効果的であると考えている。
本年度県立学校で、助産師や産婦人科医等の専門家を講師として講演会を開催した学校は63校中53校、率にして84.1%となっている。
その主な内容は、男女間の思いやりや妊娠、出産の正しい知識を深めるものとなっている。
今後においても、専門家による講演会等が効果的に実施され、ライフプランニングに対する関心を一層高めるよう県としても努めてまいりたい。


③ 女性スポーツ勉強会へ参加されての知事の御所見
前回の決算特別委員会で雑誌掲載の三重県知事の事例を取り上げたところ、知事から「体と命に関する必要な知識はしっかりわかった上で選択していかなければいけない」という御答弁をいただいた。
知事も参加された昨年11月の女性スポーツ勉強会では、スポーツ選手の育成の部分で、女性のホルモンバランスについての知識ということで有森裕子さんがお話しされ、その中でホルモンバランスについてきちんと知識を身につけた上で、スポーツ、仕事に取り組んでほしいということを仰っていたが、知事に改めて御所見を伺いたい。

答弁
女性とスポーツに関する講演は、私も目からうろこが落ちるようなことがいっぱいあった。
女性アスリートは、骨盤の形と足の関係から、男子以上に膝にくる負担がさまざまなトレーニングにおいてあることに配慮しなければならないこと、また、ホルモンバランス、生理の周期についてはピルによってかなりコントロールできるようになってきており、諸外国のトップレベルの女性アスリートは、そうやってホルモンバランスと大会の日程がうまく合うような形で本番に臨んでいるというようなところ。
我が国でももっとそれは参考にしていかなければならないし、例えば女子の生理のことも男女問わず、ある種常識としてみんなが知識として持ち、またそういうことについて話し合い、そして男性、女性それぞれが知識に基づいた適切な人生選択ができるようになっていかなければならないと改めて思う。


2. 外国人観光客の誘客拡大ついて

今年度策定予定の「いわて国際戦略ビジョン」に掲げる三つの戦略の一つに、「外国人観光客の誘客拡大」があるが、現在、訪日外国人をはじめ、人々の消費傾向が、商品を買い所有する「モノ消費」から、体験・思い出をつくる「コト消費」に移り変わっている。
先日、県議会スポーツ・教育振興調査特別委員会で群馬県を視察したが、群馬県では、春から秋はラフティング、キャニオニング、冬はスノーシューによるトレッキングのほか、新たにロングトレイルの整備を行うなど、「アウトドア天国群馬」としてブランド化し、観光客誘客等に取り組み始めていた。
また、長野県信濃町では、森林セラピーへの関心が高い韓国に対して、「癒しの森」としていち早く整備し、「ヘルスツーリズム」にも取り組んでいる。
本県にも沿岸に「みちのく潮風トレイル」があり、来年度、文化スポーツ部も新設されることから、スポーツツーリズムにもっと大胆な発想で取り組んでほしいと感じている。
また、来年度当初予算案に馬事文化プロモーション推進事業費が新たに盛り込まれ、大変期待しているが、この中には台湾や香港等に向けた観光振興事業もあり、外国人に人気のホーストレッキングなどホースセラピーを売りとして、全国に誇る「馬事文化岩手県」をアピールすべきではないかとも感じている。
これらのことから、県はもっと踏み込んだ、より戦略的な対策が必要と考えるが、岩手のどの資源を目玉として外国人観光客の誘客拡大に取り組むのかお伺いする。

答弁
外国人観光客の誘客の拡大について、外国人観光客の一層の誘客拡大を図るには、岩手ならではの地域資源を生かした誘客が重要と認識している。
本県は、二つの国立公園を初め、世界に誇れる雄大な自然を有しており、これらを核としたプロモーションの展開により、春の桜や秋の紅葉の人気が定着してきたところである。
これに加え、近年、海外において日本への関心が高まる中、自然や文化、スポーツなど体験型観光の人気も拡大していくものと考えており、今後は、サイクリング、スキー、トレッキング、サッパ船や遊覧船、体験型農園など地域資源を生かした体験型コンテンツの発掘や磨き上げを行い、桜や紅葉など四季折々の魅力とともに発信し、岩手ブランドとして売り込んでいく。
また、二つの世界遺産やユネスコ無形文化遺産である「早池峰神楽」、特色のある郷土食などを組み合わせた周遊、滞在型の観光ルートの造成、販売の促進に取り組み、誘客の拡大を図っていく。


3. 森林の多様な利用について

先ほど外国人観光客の誘客拡大の取り組み事例として取り上げた長野県信濃町では、林野庁や県の補助事業を利用して「癒しの森事業」を行っており、森林・林業に対する市民の理解醸成を図っている。
また、福井県では、県が「ふくいSatoyamaトレイル」の整備を行うことで、森林・林業の振興へとつなげており、これ自体は観光や政策関係部局ではなく、農林水産部が事業展開していることに私は注目している。
本県でもこれまでグリーンツーリズムなどで成果を上げている事例はあるものの、従来の木材生産等のほか、他県のように森林・林業の振興につながる森林の多様な利用に向けた取り組みも必要と考えるが、御所見を伺う。

答弁
森林は、林産物の供給や水源の涵養、県土の保全などに加え、安らぎや癒しを与える保健機能を有し、また、レクリエーション活動や環境学習の場として活用されている。
このような機会を通じて森林・林業に対する理解を深めることは、森林・林業の振興につながる重要な取り組みであると認識している。
このため、県においては「いわての森林づくり県民税」を活用し、平成18年度から地域住民やNPOが実施する森づくり活動や森林環境学習等を支援し、延べ約5万人の県民の参加を得たほか、平成20年度からは、森林学習会を開催し、延べ約5、900人の児童生徒が参加するなど、体験、参加型の取り組みも幅広く展開してきている。
市町村においても、久慈市や住田町などでシラカバ林、ブナ林などの森林散策や枝打ちなどの林業体験、自然とのつながりや生態系を学ぶ森林環境学習などのプログラムを盛り込んだ「グリーンツーリズム」に現在取り組んでいるところである。
今後においても、森林・林業の重要性や役割について理解が深まるよう、市町村、地域住民、関係団体等との連携、協働により、体験、参加を重視した森林の多様な利用を推進していきたいと考えている。


4. 岩手県立大学の取り組みについて

①これまでの取り組みに対する評価と今後のビジョンについて
県内のグローカル人材の育成については大変重要と考えるが、まさにその中核となるのは、来年度、開学から20年の節目を迎える岩手県立大学である。
先日開催された県総合計画審議会でも、委員から県立大学の課題等が指摘されたようであるが、先日新たに策定された第3期中期目標のもと、県立大学のこれまでの取り組みをどのように評価し、今後、未来を担う学生たちをどう育てていきたいのか県のビジョンをお伺いする。

答弁
岩手県立大学は、建学の理念において、「実学・実践重視の教育」「研究を通じて地域社会や国際社会への貢献」を掲げてきた。
昨年1月の「地方独立行政法人評価委員会」による評価のとおり、県立大学が、地域の中核人材の育成などの取り組みや、また、震災復興支援に大きく貢献してきたものと考えている。
県が昨年12月に策定した、来年度からの第3期中期目標において、教育と地域貢献の根幹となる高い研究力を基礎に、未来を切り開く力を高める教育と未来創造に資する地域貢献に取り組むことを基本姿勢としたところである。
現在県では、復興とその先も見据えた地域振興、ふるさと振興に取り組んでいるところであるが、県立大学においても、地域の未来創造に貢献するため、産学公連携のさらなる強化を図りつつ、自治体や産業界で活躍する人材の育成、国際的視野、多文化共生意識を備えた学生の育成に引き続き取り組んでいただきたいと考えている。


② 知事の理想とする学生
県立大学では全学部1年生の必修科目に「いわて創造入門」という科目があり、7月には知事が御講演されたと伺った。
「学生に望むことは?」 という学生からの質問に対し、知事は「私が考えつかないようなこと、今までなかったものを発想し、実行できるような人材に・・・」というお答えをされた。
これまでの20年で、県立大学は優秀な人材を含め、たくさんの学生を輩出してきたが、知事が実際に理想とする学生というのが、これまでにいらっしゃったかどうか。 県政懇談会等でさまざま学生にお会いしていると思われるが、もしいらっしゃれば具体的にお伺いしたい。

答弁
自分の学生時代のことを思い出しても、セツルメントといって、地域の貧しい家庭環境にある子供たちを支援するボランティア活動をしている友達もおり、そういう友達と親しくするぐらいまではしていたが、自分自身はボランティア活動には参加しなかった。
それに比べ、県立大学の生徒達のボランティア活動の活発さ、特に東日本大震災津波発災後の被災地支援、そして復興支援の活動の活発さというのは非常に凄いと感じた。
また、その内容についてプレゼンテーションする、10分20分という短い時間で人に伝えることも、自分の学生時代より優れていると思っており、非常に将来に希望が持てると感じている。


平成29年6月定例会
「一般質問」 

【質問項目】

  1. 1. 切れ目のない妊娠・出産・育児への支援について
  2. 2. 県民の健康づくりについて
  3. 3. 教育施策と人材育成・定着支援について
  4. 4. 農林業の振興について
  5. 5. 国際戦略と観光振興について
  6. 6. スポーツを通じた地域振興について

1.切れ目のない妊娠・出産・育児への支援について

① 医師不足に対応した地域における周産期医療の確保について
近年、核家族化や地域のつながりの希薄化等により、地域において妊産婦やその家族を支える力が弱くなっており、妊娠・出産や子育てに関する妊産婦等の負担や不安が増えていると考えられる。
このため、地域レベルでの妊娠・出産を経て、子育て期に至るまでの切れ目のない支援の強化を図っていくことは重要であり、これまでも取り上げている。
県では、平成23年2月に「岩手県周産期医療体制整備計画」を策定。
医療機関の機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の確保を図り、「周産期医療情報ネットワークシステムいーはとーぶ」 の整備、運用を進め、周産期医療体制の充実に努めてきた。
一方で、高齢出産や低出生体重児の割合の増加に伴い、ハイリスク妊娠・出産に対する医療や、高度な新生児医療の需要が一層高まる中、その後も、産婦人科、小児科医の不足や地域偏在の状況は改善されておらず、現在の県内の分娩可能施設は、33市町村中、11市町に32施設のみ、そのうちの10施設は盛岡市にあり、分娩取り扱い病院及び診療所数は減少を続け、周産期医療機関の地域偏在が進んでいるのが現状である。
まずは、周産期医療に携わる小児科、産婦人科医の絶対数を増やすことが必要である。 県では、3種類のいわて医学生奨学金事業により医師確保に取り組んでいるが、他県では小児科や産婦人科などを希望する者に対しては優遇措置をとるなどして、さらに踏み込んだ取り組みをしている例もある。
本県でも、小児科、産婦人科医の確保に向け、さらに踏み込んだ取り組みが必要と考える。
また、小児科、産科医は特に女性医師がふえている現状を踏まえ、院内保育所の設置や産休、育休の取得を推進し、女性医師を確保する対策も必要である。
本県は、全診療科において医師不足の状況であるが、少子化、また人口減対策の観点からも、母子保健、周産期医療の医師確保を最優先に取り組むという判断も必要ではないかと考えるが、周産期医療の確保に向け、県はどのような方針で医師を確保していくのか伺う。

答弁
県内の医療機関に勤務する女性医師の割合は近年、産婦人科や小児科などで増加しており、医師としてのキャリア形成の大事な時期に出産、育児が重なるなど、仕事と家庭の両立の支援が必要であると考えている。
このため県では、夜勤時のベビーシッターの紹介や育児休業後の復職研修などを実施しているほか、県立病院においても、育児短時間勤務制度を拡充し、さらには院内24時間保育及び病後児保育を導入するなど、女性医師が働きながら育児しやすい環境整備に取り組んでいる。
また、周産期医療に携わる産婦人科や小児科などの地域に必要な医師を確保するため、即戦力医師の招聘や三つの奨学金制度による医師の養成に重点的に取り組んでいるところである。
こうした取り組みにより、育児短時間勤務を適用した通称「ママドクター制度」に応募した1名を含む産婦人科及び小児科の招聘医師4名を、今年度から県立病院の正規医師として採用したほか、奨学金養成医師についても、これまでに5名の医師が産婦人科または小児科を専攻し、将来の配置に備えて現在大学院等で専門研修を行っている。
県としては、引き続き医師の確保、定着に取り組むとともに、関係機関と連携し、養成医師の計画的な配置調整を進めながら、産婦人科医、小児科医の不足解消につなげ、妊娠から出産、子育てに至るまでの切れ目のない医療提供体制の確保を図っていく考えである。


② 助産師の確保について
青森県などでは、助産師出向システムを導入しているが、本県の例えば県立病院では、採用予定数に対する応募者が少ないなど、退職者数相当分を含む必要数を確保できていない状況と聞いている。
県内の助産師の確保について、今後どのように進めていく考えか伺いたい。
また、医師不足、分娩施設の減少への対応として、助産師が対応する助産師外来や院内助産の体制整備の取り組みや、助産師のスキルアップのためのアドバンス助産師育成への支援を拡充すべきと考えるが、県の考えをあわせて伺う。

答弁
県では、「いわて看護職員確保定着アクションプラン」に基づき、修学資金の貸し付けによる看護職員の養成などの施策を総合的に進めてきたことにより、県全体では平成26年時点の需要予測を満たす数の助産師が確保されている一方で、事情により助産業務に携わっていない助産師が一定数存在するなど、助産師の確保が困難な地域や施設があると認識している。
また、助産師外来や院内助産の取り組みは、医師の負担軽減や妊産婦の多様なニーズに対応する上で有効であると考えているが、県内の助産師外来施設数は増加している一方、相当数の助産師の配置が必要となる院内助産施設は横ばいで推移しているところである。
このため県としては、今年度から新たに実施する地域で支える周産期保健医療支援事業の中で、潜在助産師の掘り起こしや人材育成研修を行うことにより、地域で安心して妊娠、出産ができる環境の整備に努めていく。
なお、アドバンス助産師については、平成27年度から「日本助産評価機構」が認証制度を開始したものであり、助産師の能力の向上に寄与しているものと考えているが、現在機構では、今年度の認証申請の受け付けを休止し、見直しを行っていることから、県としては、引き続きこの制度の動向を注視しているところである。


③ 総合周産期母子医療センターについて
矢巾町への岩手医科大学移転に伴い、「総合周産期母子医療センター」も矢巾町への移転となる。
県では、「母体胎児集中治療管理室(MFICU)」や、「新生児特定集中治療室(NICU)」 に必要な機器の整備に要する経費に対する補助をしているが、技術進歩とともに、医療機器も年々新しい機器が出ているとの医師のお話を伺った。
矢巾町への移転を機に、人材確保の取り組みとして院内保育所の整備も必要になってくると思われるが、県の周産期医療の中枢を担う「総合周産期母子医療センター」について、NICU病床を含め、必要な人材確保と機器整備についてどのように取り組むのか伺う。

答弁
県では、「総合周産期母子医療センター」である「岩手医科大学附属病院」に対して、毎年度、国庫補助を活用して、同センターの運営費や必要な医療機器の整備費に対する補助を行っているところである。
「岩手医科大学附属病院」では、矢巾町への移転に際し、「総合周産期母子医療センター」や「高度救命救急センター」等をベースとして、小児、周産期、救急部門の機能を強化することとしており、県としても、地域医療再生基金等を活用し、体制整備への支援を行うこととしているところである。
また、同病院では、国の助成制度を活用して、敷地内に保育所を整備する計画と聞いている。
「総合周産期母子医療センター」は、県内の周産期医療体制の中核施設であり、県全体のハイリスクな妊娠、分娩や高度な新生児医療に適切に対応できるよう、県としても体制の整備に努めていく。


④ 周産期に係る医療圏の設定と広域連携の充実について
現在、県内4つの周産期医療圏を設定しているが、平成27年は各圏域内で分娩しているのは78.3%、ほか圏域から13.7%、県外から8.1%。各圏域での分娩の状況は、平均16.6%が県外から、久慈・二戸圏域は県外からが25.6%と高く、また、県立磐井病院では40.8%、県立二戸病院では30.9%が県外者の分娩である。
久慈圏域では約2割が青森県で分娩しているが、県外からの流入や里帰り出産の割合も約3割となっている。
妊産婦へのアクセス支援を行っている市町村は12市町村で、分娩取り扱い医療機関のない県内22市町村中、13市町村においては独自の支援がないのが現状である。
久慈市と二戸市では距離が遠く、同じ医療圏と考えるのは困難という現場の医師の声もある。
妊産婦の分娩施設へのアクセスをどう改善するのか、また、医療圏の考え方、青森県や宮城県等隣接県との連携など、広域周産期医療体制についての県の方針について伺う。

答弁
県では、市町村が妊産婦に対して通院費等を助成するアクセス支援の実施状況について、さまざまな場を通じて情報提供しながら、その取り組みが促進されるよう働きかけを行っている。
平成27年度から平成28年度において、新たに7市町村が事業を開始したことから、現在、県内12の市町村で事業が実施され、近年その取り組みが進んでいる。
また、「周産期医療情報ネットワークいーはとーぶ」による医療機関が妊婦健診情報等をオンラインで共有する取り組みや、「周産期母子医療センター」を中心とした遠隔診断支援の取り組みにより、妊婦が身近な地域で健診を受け、「周産期母子医療センター」等で安全に分娩を行うことができる医療連携体制を構築し、妊産婦の分娩施設へのアクセスの負担軽減とリスクに応じた適切な医療の提供に努めている。
周産期医療圏については、平成20年度に患者搬送や受療動向を踏まえ、産科医、小児科医などを構成員とする「岩手県周産期医療協議会」での検討を経て、県内四つの周産期医療圏を設定したところであり、また、昨年度県が実施した周産期医療実態調査の結果では、県境地域においては、近隣県との間で妊婦の移動が多くなっている状況にあった。
県としては今後、実態調査の結果等について近隣県と情報共有しながら連携を進めていくとともに、今年度新たな医療計画を策定する中で、「岩手県周産期医療協議会」等の関係者の意見をいただきながら、地域において質の高い、安全な周産期医療を適切に提供していくための周産期医療体制のあり方について検討していく。


⑤ 災害時の周産期医療体制について
東日本大震災津波においては、情報伝達網の遮断や小児、周産期医療に精通した医療従事者の不足などから、新生児や妊産婦の搬送体制について事前の準備が不十分であった。
また、地域における周産期医療にかかわる情報が、周産期に携わる医療関係者間のみでしか共有されず、災害医療体制下で有効に活用されなかった。
一方、昨年発生した熊本地震では、「総合周産期母子医療センター」のある「熊本市民病院」が被災し、全ての新生児と妊産婦を転院搬送しなくてはならなくなったが、平時から近隣県との情報交換が活発であったこと、新生児等の広域搬送の際の医療従事者同士の連携が図られていたこと、ヘリコプターを用いた新生児搬送の訓練を行っていたことなどにより、スムーズに患者搬送等を行うことができ、非常に有効であったとのこと。
県では、東日本大震災津波の教訓や他県の事例を踏まえ、災害時の周産期医療体制の確保に向け、どのように取り組んでいくのか伺う。

答弁
災害時において、特に医療のサポートが必要となる妊産婦や新生児等への支援体制の充実は、重要な課題であると認識している。
国では、東日本大震災津波や熊本地震における経験を踏まえて、昨年度から災害医療コーディネーターと連携して小児、周産期医療に関する調整役を担う「災害時小児周産期リエゾン」を養成する研修を実施しており、本県でも「総合周産期母子医療センター」の医師を派遣したところである。
県では、災害時において周産期医療関係者と災害医療関係者の連携による効果的な支援体制を確保するため、今年度策定する次期医療計画に「災害時小児周産期リエゾン」の設置について盛り込み、災害時における周産期医療体制の充実を図っていく。


⑥ NICU退院以降の医療的ケア児に対する支援について
重症の新生児や先天性の病気を持った子供たちが多く救命されるようになり、NICUに長期入院する児が増加傾向にある。
NICUを退院する前に、在宅医療や医療的ケア、生活支援の知識や技術習得を支援することなどにより、児とその家族が安全で安心して在宅療養ができるよう必要な援助を行いたいが、「総合周産期母子医療センター」は他県も含め遠方からの患者も多く、宿泊が伴わない場合が多いため、ゆっくりそのケアができていないと担当医等から聞いている。
また、「療育センター」への小児の入院や通院する児童が増加傾向にある。
地域における医療的ケア児の支援体制の整備について、平成28年6月施行の児童福祉法の一部改正により新たに規定されたが、そもそも県内に医療的ケアを必要としている児童がどの程度存在するのか把握されてはいない。
症状が軽い児童の場合、あと少しの支援があれば普通の学校へ通える子も存在する。
県立療育センターが矢巾町へ移転することを機に、NICU退院以降のコーディネートや連携体制をどのように整備していくのか伺いたい。

答弁
現在、矢巾町に整備している「療育センター」においては、NICUから退院した小児等を受け入れる後方病床としての役割や、在宅の重症児の重篤化等に対応する機能を担う病床10床を新たに整備することとしている。
この病床は、医療的ケア児がNICU退院後、在宅等に移行するまでのケアを担うことから、在宅での療養介護に関する相談や在宅医療、在宅看護の支援調整など、家族の心のケアも含めて支援する相談支援員等を増員する計画としており、こうした体制整備を通じて、NICUや関係機関との密接な連携体制を構築していく。


⑦ 医療計画の策定について
厚生労働省の周産期医療体制のあり方に関する検討会は、昨年、「周産期医療体制整備計画」と「医療計画」を一本化することを了承した。
2018年度からの「第7次医療計画」に反映されることとなる。
県は平成29年度内に新たな医療計画を策定するが、周産期医療部分についてどのように考えているのか伺う。

答弁
周産期医療体制は、救急医療や災害医療、医療人材の確保等、県全体の医療体制と連動しながら整備を進める必要があることから、今回「周産期医療体制整備計画」と「医療計画」を一本化する国の方針が示されたものであり、本県においてもこの方針に沿って次期医療計画の策定を進めているところである。
現在策定を進めている医療計画においては、災害時における周産期医療の確保や広域連携のほか、精神疾患を合併する妊産婦への対応などについて新たに盛り込むとともに、昨年度実施した「周産期医療実態調査」の結果等を踏まえ、「岩手県周産期医療協議会」等において関係者の御意見をいただきながら、地域において質の高い、安全な周産期医療を適切に提供していくための周産期医療のあり方について検討していく。


⑧ 産前産後ケアについて
県では、「妊娠・出産包括支援事業」に取り組み、県内の「子育て世代包括支援センター」の設置は、これまでの遠野市、盛岡市に続き、今年度から花巻市、一関市、釜石市、山田町が設置、また、センター未設置ではあるものの、同様の取り組みを始めた矢巾町を含め、7市町に広がり、一定の成果があったと評価する。
また、花巻市では、今年度から独自の取り組みを開始した。
これらは主に、母子保健に係る市町村事業ではあるが、病院等へのアクセス格差の大きい岩手県においては、各地域での産前・産後サポート事業や宿泊型・デイサービス型などの産後ケア事業にまで踏み込むことが重要であるとこれまでも訴えてきたが、県としてどう捉えているか伺いたい。

答弁
県内では現在、盛岡市など6市町が「子育て世代包括支援センター」を設置し、妊娠、出産、育児に関する相談支援や関係機関との連絡調整、支援プランの策定などを行っている。
また、「産前産後サポート事業」については、今年度新たに3市町が取り組み、現在5市町が実施しているほか、「産後ケア事業」については、今年度新たに2市町が取り組み、現在3市町が実施するなど、妊産婦に対する支援体制の整備が徐々に進んでいるところである。
これらの取り組みは、妊産婦の心身の安定や児童虐待防止などにつながることから、県では母子保健に従事する市町村保健師等を対象とした研修会や各種会議を通じて、県内外の先行事例の紹介を行うなど、「子育て世代包括支援センター」の設置とあわせて実施を働きかけてきたところであり、引き続き市町村に対して情報提供を行うなど取り組みが拡大されるよう支援していく。


⑨ 不妊治療の理解促進について
県の実施する特定不妊治療への助成は、平成20年度には235人であったが、平成27年度には467人と約2倍に増加。
盛岡市が実施する助成も含めると、平成27年度は660人、1、052件に助成している。
男性不妊治療に対する助成も平成27年度に開始したが、盛岡市分を含め、平成27年度は9件、平成28年度は11件となっている。
盛岡市以外の32市町村でも、北上市以外全ての市町村で独自助成をしており、需要の高さが伺える。
このような状況の中、所得制限で助成を受けられない方々も含め、治療が長期にわたると高額になり、治療費を捻出するために働き続けたいと思っても、不妊治療はあらかじめ日程を調整して休みをとることは難しく、仕事と治療の両立が困難で、離職する人も少なくない。
県が働き方改革を進める中で、そのような現状をぜひ積極的に企業等にも働きかけ、理解促進を図っていく必要があると思うが、県の考えを伺いたい。

答弁
特定不妊治療については長期的な受診が必要な方もおり、仕事と治療の両立に関する社会的理解や、早期に治療を開始することが有効であることなどを普及啓発することが必要であると認識している。
このため県においては、岩手医科大学に不妊専門相談センターを委託設置し、不妊相談等を実施しているほか、同センターによる市民公開講座の開催や県政番組などの広報媒体の活用により、特定不妊治療費助成制度の周知や不妊の原因、治療方法などに関する正しい知識の普及啓発を行っているところである。
今年度は、新たに商工労働部門と連携し、「いわて働き方改革推進運動」において、すぐれた取り組みを行う企業等を表彰する「いわて働き方改革アワード」の取り組み項目の一つに、従業員が望む妊娠・出産を実現するための不妊治療を含む休暇制度の規定の有無を盛り込むなど、企業等に対する不妊治療の理解促進に努めている。


⑩ 県内高校におけるライフプランニング支援について
女性の活躍がうたわれる昨今、女性が望むキャリアを積める環境等が整備されることは重要であるが、一方で昔とライフスタイルが大きく変化したことで増えた女性特有の病気なども不妊の原因になると言われている。
ライフプランニング支援は、早期に実施されることが望まれる。
文部科学省作成の高校生用の健康教育啓発教材が平成27年度に改訂され、ライフプランを考えること、妊娠には適齢期があることや不妊に悩む男女がいること等が明記されたことは大変有効と考える。
また、今年3月改正版には、2013年の若者の意識に関する調査から、男女とも年齢が高くなるほど妊娠する確率が下がることなどについて「よく知らない」または「知らない」と答えた人は15歳から19歳では44%と、妊娠と年齢の関係について、よく知らない人が多いことがわかる。
これからの世代に、妊娠適齢期や不妊等について正しい情報を伝えていくことが必要である。 現在、県立高校で取り組んでいる産婦人科医や助産師等によるライフプランニング支援について、全校実施を目指していただきたいと考えるが、所見を伺う。

答弁
本県の高校生が、これからの社会の形成者として、主体的に就職、結婚、出産などの人生設計を立て、自分の進むべき道を選択し決定していくことは極めて重要であり、その中で、妊娠や出産に関する正しい知識の理解を深めるライフプランニングの役割は、一層高まってきていると認識している。
県教育委員会においては、これまで全ての県立学校に対し外部講師等による講演会の開催や副教材の活用等を促し、妊娠、出産、育児に関する教育の推進にも取り組んできた。
具体例を申し上げると、昨年度においては約8割の県立高校で、産婦人科医や助産師等の医療専門家による健康教育に関する講演会等を実施しており、受講した生徒からは、学んだ知識を生かして未来につなげていきたいなどの好意的な感想が多く寄せられており、今後においても県医師会等関係機関の御協力もいただきながら、生徒たちのライフプランニングに対する関心や理解を一層高めていきたい。


2.県民の健康づくりについて

① 健康運動による健康づくりについて
少子高齢社会の中、人口減対策はもちろん、一人一人が生涯を通じて心身ともに健康で介護の要らない自立した生活を送れることが重要である。
厚生労働省は6月14日、平成27年都道府県別年齢調整死亡率の概況を公表した。
岩手県の男性は全国ワースト3位、女性はワースト6位。
脳卒中死亡率は、男性はワースト3位、女性はワースト1位となっている。
要介護、要支援認定者数は、平成24年3月末で6万6、554人と、平成12年4月末と比較して2倍近くになっている。
県では、食生活改善、健康運動、禁煙を3本柱に取り組んでいるが、私は特に若いうちからの健康運動に更に踏み込んで取り組むべきと考える。
歩くことは身体活動の中でも日常的に測定評価できる身体活動量の客観的な指標であり、脳卒中や肥満等生活習慣病を予防し、社会生活機能を維持、増進する上で歩行数の増加が有効である。
しかし、県の日常生活における1日平均歩数は全国に比べ低い状況が続いている。
県の働き盛り世代の運動習慣が特に低い状況の中、盛岡広域振興局は今年度新規で、働き盛り世代の健康づくり支援として「元気もりおか健康づくりサポート事業」を実施する。
大変よい取り組みと期待している。
埼玉県は、歩数に応じてポイントを得て賞品の抽選に参加できる、「埼玉県コバトン健康マイレージ」を今年度開始。
東松山市での実証事業では、半年にわたり毎日1万歩を歩いた人の医療費が同性、同年齢の人に比べて、1人当たり年約2万4、000円も少なかったとの分析結果が出た。
岩手県の1人当たりの医療費は、平成17年度が26万2、000円だったものが、平成26年度は31万7、000円と年々増加している。
ほかにもウォーキング立県を掲げる鳥取県などの先進県を例に、医療費の抑制も視野に入れ、岩手県も健康運動にもっと踏み込んだ健康づくりへ取り組むべきと考えるが、所見をお伺いする。

答弁
県では「第2次健康いわて21プラン」に基づき、身体活動・運動分野では、ウォーキングイベントの共催や市町村が行う運動教室等において運動指導を担う人材の育成等に取り組んでいるほか、市町村においてはウォーキングコースの整備やマップの作成、それらを活用した運動教室の開催など、日常生活における歩行数の増加や運動習慣の定着、住民が運動しやすいまちづくり、環境整備を進めてきたところである。
今年度は新たに盛岡広域振興局において、事業所の健康づくりの取り組みを支援する事業を始めたところであり、現在行っている「健康いわて21プラン」の中間評価・見直しの中で、関係機関、団体の意見も伺いながら、このような取り組みの普及など、身体活動・運動分野における今後の取り組みの方向性等を検討していく。


② 女性特有のがんについて
生涯のうち男性の2人に1人、女性の3人に1人が、がんになる可能性があると言われている。
がんは、私たちにとって身近な病気である。
がんにならないための食生活や運動習慣改善など、予防医学の観点がまずは大事であるが、早期発見と早期治療のための定期的ながん検診の受診も重要になる。
女性特有のがんについて県では、がん検診受診率50%を目指しているが、現状は乳がん29.7%、子宮頸がん29.5%と3割に満たない状況である。
また、15歳から39歳のがんでは、女性の乳がんと子宮がんが約4割も占めており、若い世代への啓発も工夫が必要と考える。
県では、受診率を上げる取り組みをどのように強化していくのか伺う。
また、「高濃度乳房」については、マンモグラフィーと併用して超音波検査を行うことが有効ともされているが、まずは「高濃度乳房」だとがんが写りづらいことを女性が知る必要があるが、県はどのように取り組んでいくのか、あわせて伺う。

答弁
がん検診の受診率動向を図るため、「がん検診受診率向上プロジェクト」協定締結企業と連携した、受診勧奨リーフレットの作成、配布や、市町村、医療保険者等関係者全体による課題検討会を開催し、受診環境の整備、向上に取り組んできたところである。
今年度新たに、がん検診受診率向上の連携協定に民間企業が参画しやすい公募方式に変更し、協定締結企業数の増加を図るとともに、6月に盛岡市内において民間企業と協働で普及啓発イベントを開催したところであり、今後更にこうした協働の取り組みをふやしていく。
また、「岩手県生活習慣病検診等管理指導協議会」の各がん部会において、市町村が実施するがん検診の各指標の分析、評価を行い、受診率が低い市町村に対しては、改善に向けた個別の指導、助言を実施し、受診率向上の取り組みを強化していく。
乳がん検診については、受診者が高濃度乳房について正しく理解できる仕組みが必要とされており、厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」では、受診者に通知すべき標準的な内容等を検討しているところであり、県としては、国の検討結果を踏まえて適切に対応していく。


3.教育施策と人材育成・定着支援について

① 学校での人材育成と県内定着について
「いわてで働こう推進協議会」は、県内の大学生や高校生などを対象に若年者雇用動向調査を行い、6月にその結果を公表した。
それによると、県内学生のうち県出身者の約7割が岩手県で働きたいと思っていた。
一方で、岩手県内に本社を置く企業を1社も知らない者の割合は37.3%と高く、認知度が低い状況である。
先日、文部科学省より「スーパーグローバルハイスクール」の指定を受けた盛岡一高の授業を見学した。
盛岡市が地方創生をテーマとした実践的なプログラムを提供することで、若者の人材育成や地元定着、愛郷心を醸成するだけでなく、高校生のアイデアを子育て支援や産業政策にも反映させようという試みであった。
結婚、子育て支援や働き方改革、食と農の連携など8テーマに分かれ、県内の外部講師の方々がその企業について話すだけでなく、地域課題として取り上げることで、高校生の興味、関心がさらに深まっているようにも感じた。
この日の最後の振り返りで、女子生徒からは「岩手には素敵な会社がたくさんあることを初めて知った。」「就職間近ではなく、小・中・高の段階でもっと知る機会があればよいと思う。」との感想があった。
これまで県では、小・中・高の各段階に応じたキャリア教育の推進に取り組んでいるが、高校卒業後に進学、就職で岩手を離れる可能性も高く、特に普通高校においてこのような県内の企業を知ってもらう取り組みを行うことで、人材育成と定着につなげてもらいたいと考えるが、所見を伺う。

答弁
本県の普通高校を含む全ての学校において、総合的な学習の時間等を活用して、地元自治体や企業等からの御協力もいただきながら、企業経営者の皆様から出前授業をしていただいたり、地域が直面する課題の解決を提案していく学習、インターンシップなど地域特性や生徒たちの意向などを踏まえたさまざまな取り組みを進めてきている。
こうした取り組みは、高校生がみずからの地域の未来を考えるとともに、地域を支え、活躍している企業等に対する関心を深め、職業観や勤労観など、みずからの生き方、あり方を主体的に考える貴重な機会となっており、岩手の子供たちの将来的な県内定着に向け、今後なお一層力を入れていくことが必要であると認識している。
県教育委員会としては、「いわてで働こう推進協議会」の一員として主体性を持って、また、「地域ものづくりネットワーク」などの関係機関や、県内企業など産業界の皆様との連携を一層深めながら、人材育成、高校生などの県内定着の促進に向け取り組んでいく。


② 英語教育について
文部科学省は4月、全国の公立中学、高校の生徒の英語力を調べた「平成28年度英語教育実施状況調査」の結果を公表した。
本県の高校3年生のうち、英検準2級程度以上の生徒は34.6%で、全国平均より1.8ポイント低く、中学3年生のうち英検3級程度以上の生徒は31.7%で、同4.4ポイント低いことがわかった。
また、英検準1級かそれに相当する資格を持つ本県の高校教員は51.7%で、同10.5ポイント低く、中学校教員は15.6%で、同16.4ポイントも低く、全国最低となった。
また、2020年度から大学入試センター試験が廃止され、英語については、英検やTOEICなどの民間試験を導入するとされている。
県は、中学、高校の英語教育について、今後どのように取り組むのか伺う。

答弁
文部科学省の調査では、英語力の向上に資するとされているさまざまな調査項目があり、このうちで教員・生徒の資格取得等の状況については厳しい結果が出ているが、一方、生徒の英語習得の目標を示したCAN-DOリストの設定状況や、授業の半分以上を英語で進めている教員の割合などは、全国平均を上回っている結果が出ている。
本県英語教員の資格取得については、平成27年度から導入した教員採用試験における資格取得者への加点措置等により、その取得率は年々上昇してきており、また、本年度からは、新たに、教員の外部検定試験の受検費用への支援を行うこととしたところである。
生徒の英語力の向上のためには、英語担当教員一人一人の力量の向上と生徒の意欲の向上が極めて重要であるので、教員研修体系の充実に加え、指導主事等による学校訪問指導などを通して、本県の英語教育の充実に一層取り組んでいく。


4.農林業の振興について

① 米政策について
来年度以降国は、都道府県別の米の生産数量目標の配分の廃止などの米政策を見直す。
「県農業再生協議会」は先日、今後5カ年の「水田農業の推進方針」を公表し、主食用米は地域条件に適した品種の作付けにより、品質、食味の向上を進め、認定農業者や集落営農組織の経営改善や、こうした担い手への農地集積を促すとした。
今後も米の売り込み先を確保するなど、農業者の自主的な努力がさらに必要になるが、国全体の主食用米の需要が毎年8万トンも減少している中、今後は、米に限らない効果的な水田活用など、農業経営の多角化が必要と考えるが、県はどのように取り組むのか伺う。

答弁
米政策が見直される平成30年産以降、主食用米と転作作物の最適な組み合わせにより、体質の強い水田農業を確立することが重要と考えている。
このため先般、関係機関、団体や県で構成する「岩手県農業再生協議会」において、流通業者や担い手農家などからの意見も踏まえ、今後5カ年の「水田農業の推進方針」を作成し、より一層の水田の有効活用を図ることとしたところである。
県内ではこれまで、集落営農組織における大豆などの作付け拡大や、トマト、ピーマンのハウス団地整備・加工、業務用タマネギの作付け拡大など、水田の有効活用の取り組みが既に行われているが、今後、推進方針に基づき、こうした動きを加速化させ農業者の所得向上に取り組んでいく。


② 再造林について
近年は、大地震や想定を超える豪雨など、自然災害が頻繁に発生しており、森林が持つ地球温暖化防止、水資源の涵養、山地被害防止等の公益的機能について将来にわたって維持、増進を図るためには、造林、間伐をはじめ、適切な森林の整備と、その維持管理に必要な林道整備などの基盤整備が極めて重要となっている。
「岩手県森林資源循環利用推進ビジョン」では再造林について、平成29年度目標は970ヘクタールで、10年後には、その約1.5倍の1、600ヘクタールが必要とされている。
また、県の直近3カ年の平均再造林率は、目標に対して32%と低い状況である。
現在、県内の林業、木材産業団体で「岩手県森林再生機構」を立ち上げ、森林再生基金による再造林の促進に向けて取り組んでいるが、県として再造林をどう推進するのか伺う。

答弁
再造林を推進するためには、森林所有者の負担軽減を図る必要があることから、県ではこれまで、森林整備事業の要件を緩和し、低密度植栽やコンテナ苗木を補助対象としてきたほか、伐採から再造林までの作業を連続して行う一貫作業システムを普及するなど、再造林コストの低減に取り組んできたところである。
また、県が設立を支援してきた林業、木材産業関係団体を構成員とする「岩手県森林再生機構」が本年6月に設立され、平成30年度から再造林経費の助成を行うこととしており、本県の再造林が一層促進されるものと考えている。
県としても、採種園の整備や民間の苗木生産施設の整備支援により、必要な苗木を確保し、関係団体と一体となって着実に再造林を推進していく。


③ いわての森林づくり県民税の活用について
国が森林環境税の導入を検討しているとも聞いており、まずは再造林に対する「いわての森林づくり県民税」等の活用を図るべきと考えるが、所見を伺う。

答弁
「いわての森林づくり県民税」は、公益上重要で管理が行き届かない森林を対象として、針葉樹と広葉樹の入り混じった、水源の涵養などの公益的機能の高い森林へ誘導するという森林環境保全のための間伐などに限って実施している。
このため再造林は事業対象となっていないところであるが、この県民税の使途やあり方については今後、外部有識者等で構成する事業評価委員会、県民の皆様や県議会の御意見などを参考にしながら検討していきたい。


④ 林内路網の整備について
林内路網は、造林、保育、素材生産等の施業を効率的に行うための施設で、林業の最も重要な生産基盤である。
路網は、林道、林業専用道、作業道から構成され、それぞれの役割や利用形態等に応じて適切に組み合わせた路網を、現地の条件に合わせて整備していくことが重要とされている。
特に、高性能林業機械の活用等によって林業の生産性を向上させていくためには、その作業現場に適合する高性能林業機械や作業システムを考えて路網整備していくことが重要であり、人工林の場合、架線系作業システムについては、トラックの走行が可能な林道等を1ヘクタール当たり25メートルから40メートル、また、車両系作業システムについては、高性能林業機械の歩行が可能な作業道を含めて、全体で1ヘクタール当たり75メートル以上の路網密度の整備が望ましいとされている。
しかし、岩手県の平成26年現在の林内道路密度は1ヘクタール当たり16.6メートルであり、高性能林業機械等に対応した路網整備が必要と考えるが、どのような取り組みをしていくのか伺う。

答弁
林内路網は、森林整備や木材生産を効率的に行う高性能林業機械の普及に伴い、重要な生産基盤として一層の整備が求められている。
このため県では、「第3期林道整備事業中期実施計画」を定め、林内路網の基幹となる林道について、市町村が定めた路網整備等推進区域や森林整備等を計画的に実施する森林経営計画の認定を受けた森林を重点的に整備することとしたところである。
こうした箇所を中心に路網密度を高め、高性能林業機械にも対応した林道等の路網整備を計画的に進めているところである。
しかしながら、事業の推進には事業費の確保が課題となっており、今後においても国に対し、路網整備が遅れている本県の実情を強く訴えながら予算の確保に努め、林業にとって必要不可欠な生産基盤である路網の整備を着実に進めていく。


5.国際戦略と観光振興について

① 外国人観光客の誘客拡大について
現在、インバウンドの8割はFIT(個人旅行者)である。
FIT層では、何に魅力を感じ、どのように旅先を決めているのか、旅のストーリーが大事だと言われるが、そのニーズをしっかり把握する必要がある。
私は、ポイントとして二つあると考えている。
1つは、広報の仕方。
その土地の歴史や文化に浸ること、体験することで、観光客が旅の主人公になれるストーリーの存在を、日本語でなく、英語を中心とする多言語で発信し、VR等のソーシャルメディアを最大限有効活用すること。
先日、岩手山に登る風景をドローン撮影した映像を見たが、その場に自分がいるようでとても素晴らしかった。
また、2015年の「観光庁訪日外国人消費動向調査」によると、パンフレットなど無料紙媒体を利用した旅行者は15%弱に対し、インターネットでの情報収集が約8割で、主にスマホを利用している。
もう1つのポイントは、ターゲット戦略である。
例えばフランス人でも、リゾートが好きな人がいればお遍路を歩く人もいる。
中国人が全員買い物をしているわけでもなく、日本の歴史や文化を楽しんでいる人もいる。
国や地域で分類するのではなく、その人たちのモチベーションを深く理解したターゲット戦略をすべきである。
飛騨高山は、最初から日本人客を想定せず、外国人をターゲットとした戦略を徹底し、今では12カ国語対応をしており、インバウンドが注目される前から長い時間をかけて環境整備を行った結果が今にあるとのこと。
例えば、今年度から新規で「馬事文化プロモーション推進事業」が取り組まれ、また、「みちのく潮風トレイル」の整備も進んでいるが、私はこの馬やトレイルを活用した観光には、「岩手だからこそ」が満載されていると思っている。
また先日、初めて「東山和紙」の紙すき体験をしたが、大人でも手軽に十分楽しめる体験型観光の1つだと感じた。
外国人をターゲットにした岩手県の観光振興の目玉を決め、やり切る度胸と勇気、さらには観光商品を多言語で提供する地道な努力が必要になる。
県は、平成29年3月に策定した「いわて国際戦略ビジョン」の基本戦略の一つに、「外国人観光客の誘客拡大」を掲げているが、FIT層のニーズをどのように把握し、取り組みを進めるのか伺う。

答弁
「いわて国際戦略ビジョン」においては、外国人観光客の個人旅行化を見据え、個人客向けの受け入れ環境の整備の推進や各市場のニーズに対応したプロモーションの展開、ICTを活用した情報発信の強化も盛り込んでいるところである。
これまでも、外国人観光客の実態調査やアンケート調査、現地コーディネーターからの情報、ブロガー等の招聘などから、個人旅行者のニーズを把握、分析してきたところである。
これらに基づいて、無料公衆無線LAN整備などの受け入れ環境の充実を図るとともに、世界遺産や馬事文化などの歴史文化、国立公園やみちのく潮風トレイルなどの自然、伝統工芸や食文化など、本県の多彩な魅力を現地メディアやICTも活用し、現地の方々に直接アピールするプロモーションなども展開してきている。
今後においても、「ラグビーワールドカップ2019釜石開催」などの誘客の好機を見据えて、受け入れ環境の充実や東北各県とも連携した広域観光プロモーションの強化などにより、一層の誘客拡大に取り組んでいく。


② 県職員の人材育成について
「いわて国際戦略ビジョン」を遂行するには、県庁内にも外国語能力だけでなく異文化経営感覚を持ち、多様性に富んだチームを管理できる能力やコミュニケーションスキルを兼ね備えた人材が必要だと考える。
岩手県職員採用1種試験の特別募集で求める人材の説明文の中に、NPO、ボランティア活動や地域活動などの社会貢献活動、青年海外協力隊などの国際貢献活動と、ことし3月から青年海外協力隊という文言も初めて入った。
今後、国際経験のある人材の採用や海外派遣等を積極的に行うべきと考えるが、県の考えを伺う。

答弁
本県においては、「ラグビーワールドカップ2019釜石開催」、ILCの誘致、平泉と橋野鉄鉱山の二つの世界遺産や豊富な岩手ブランドの海外発信、さらには、多文化共生の推進などに向けて、国際経験を有する職員の確保、育成は重要であると認識している。
国際経験のある人材の採用については平成15年度以降、県職員採用1種試験の一般行政職において、民間企業経験者等向けの採用区分を設定しており、これまでに青年海外協力隊や海外業務の経験者などを採用してきたところである。
海外派遣については、職員が自主的に企画し、先進事例の実地調査等を行う「政策研究派遣研修制度」において、平成22年度の創設以降、これまでに5人の職員を海外へ派遣しているところであり、日米官民のパートナーシップである「トモダチ・イニシアチブ」が実施する「トモダチ・リーダーシッププログラム」への職員の参加も行っている。
また、「一般財団法人自治体国際化協会」に平成19年度以降、これまでに4人の職員を派遣しているところであり、パリ、シンガポール、ニューヨークなど、海外事務所の勤務経験を通じて国際感覚を有する職員の育成を図っている。
今後においても、所管部局と連携しながら国際経験を有する職員の確保や育成に取り組んでいく。


6.スポーツを通じた地域振興について

2011年に、花巻市の「はなまきスポーツコンベンションビューロー」、今年3月には、盛岡広域8市町の「盛岡広域スポーツコミッション」、「北上市のスポーツリンク北上」が設立され、スポーツによる交流人口の拡大、地域スポーツの振興など、スポーツを通じた地域振興が進んでいる。
盛岡市では、県と共同で整備することを検討している盛岡南公園の新野球場について、今年度PPP、PFI手法の導入などを検討する民間活力導入可能性調査を実施していると聞いている。
新野球場は、盛岡広域8市町が取り組むスポーツツーリズムの拠点としても期待されているが、その整備手法の検討について県はどのようにかかわっているのか、また、現在における具体的な進捗状況と今後の方向性を伺う。

答弁
県では、県営野球場が築47年を経過し全体的に老朽化が進んでおり、また、盛岡市においても、盛岡南公園への新野球場整備の構想があることから、市と共同で高規格な新野球場を整備することについて検討している。
盛岡市では、新野球場の整備に係る財政負担の軽減に向け、現在、PFIなど民間活力を生かした整備手法の導入に関する民間活力導入可能性調査を実施している。
この調査では、県と共同整備する場合における、ふさわしい整備手法等の整理もあわせて行われることから、県もこの調査に参加しているところである。
調査は、年内を目途に取りまとめられる予定であり、県としてはこの結果を踏まえ、新野球場の共同整備の方向性について判断することとしている。


※再質問

① 周産期に係る医療圏の設定について
先ほどの答弁は、「『周産期医療情報ネットワークいーはとーぶ』等があり、アクセス支援もやっている市町村もあるので、今のところこれで何とかなっているのではないか」 というような御答弁に聞こえてしまったが、改めて知事は、現在の状況で危機感を余り感じていらっしゃらないのか、お伺いしたい。
今現在で私の確認が正しければ、西和賀町はまだ「周産期医療情報ネットワークシステムいーはとーぶ」 に入っていないと思うのだが、これは今後進めていっていただきたいと思っている。
ただ、実際には、13市町においては独自の支援がない現状である。

答弁
分娩施設へのアクセス改善と情報通信技術を活用した検診の進展ということをセットでやっているわけであるが、情報通信技術を使った検診というのは、毎月の検診を離れた病院に行かなくてもいいということで、利便性を高めることでもあり、アクセスを補う以上の効果があるわけであり、これはこれで広げていきたいが、一方でやはり必要な時にはちゃんと病院に行くことができるという、このアクセスの確保についても、しっかり市町村の取り組みを支援していきたいと考えている。


② 産前産後ケア事業について
今年度新たに、「産前産後サポート事業」や「産後ケアの事業」が各市町村で増加しているとのことで、大変嬉しいことではあるが、その増えている市町村は、独自に医療機関のない市町村での実施ものか、その辺はきちんと整理できているのか、改めてお伺いする。
山梨県では昨年、都道府県で初めて県と全27市町村の連携により1つの産前産後ケアセンターを作って1年と少し経つ。
岩手県では状況も違うのでこれを作って欲しいということではなく、これまでの委員会等でも取り上げさせていただいたが、分娩施設のない市町村で、例えば「こういったことをやりたいがなかなかできない」という市町村に対して県も一緒にやるというやり方は、この山梨県の例が参考になるのではないかと思っている。
山梨県の事例では、利用者の中で1人目を出産する30代が1番多いとのことであり、山梨県の結果として、1人目の負担軽減の経験が2人目、3人目につながるのではないかとし、なぜ産前産後に力を入れているかがわかってくると思われる。 これについて、改めて御所見を伺いたい。

答弁
今年度新たに、花巻市と山田町の2市町が「産前産後ケア事業」に取り組むこととなっているが、花巻市では助産所への委託により、デイサービス型で母体のケア、授乳、沐浴等の育児指導を行うということである。
また、山田町については、アウトリーチ型による妊婦、新生児に対する保健指導、授乳指導を行うということである。
山梨県では、県と市町村が共同で産前産後ケアセンターを設置しているが、妊産婦にとってはそれぞれの地域でケアが受けられることが効果的と考えており、広大な県土を有する本県において同様の施設を設置した場合に効果的な事業が実施できるか、県内市町村の意向や他県の取り組みも参考にしながら検討していく必要があると考えている。


③ 女性特有のがんについて
先ほどのご答弁では、リーフレットの配布や協働で普及啓発事業に取り組む企業を増やしていると伺った。
「ピンクリボン運動」もされており、確かに「ピンクリボン」という言葉はほとんどの方がご存知だとは思うが、一方でそれが本当に乳がん検診の受診につながっているかというと、先ほどの数を申し上げたとおり、全くつながっていない。
私は、リーフレットを配布するだけでは全く受診率は上がらないと考えており、提携している企業のリストもいただいたが保険会社関係が多いので、もっと一般の企業の皆さんにいかに周知するかも大事だと考える。
岩手ビックブルズは大会時に各試合会場において、乳がん検診をその場で半額で受けられる取り組みもしており、例えば岩手ビックブルズと一緒にやるとか、せめて「ピンクリボン運動月間」の時期だけでも、そういった取り組みを県としてやらないと、受診率は上がらないのだと思う。
先日、小林麻央さんという有名人の方も乳がんで亡くなられ、その時には皆さん「ああ、乳がん検診を受けよう」とか、それに対する関心は高まったと思うが、それが実際の自分になかなか通じないというのは課題としてあると思われる。
ただリーフレットを配布するだけでは受診率の向上にはつながらないと思うので、ぜひこの件についてもうちょっと積極的にやっていただきたいと考えるが、御所見を伺いたい。

答弁
がんの受診率を高めるための、「ピンクリボン運動」が大分広まっている。
本日、盛岡市で「ピンクリボン」のテニスの大会が開催されている。
一方で、企業への受診の勧奨、これも大変重要な課題となっており、小林麻央さんのお話もあったとおり、若い世代の啓発も必要だと考えている。
県では今、「がんプロジェクト協定」を締結している企業や、「全国健康保険協会」などを通じて、がん検診の受診を勧奨するという取り組みをしているほか、若い世代への啓発ということで県内の小学校6年生全員に対してがん教育リーフレットを配布して、児童の保護者に対してもがんの予防啓発を行っている。
中学校や高等学校でのがん教育に関する出前講座の実施、講演会の開催等にも取り組みながら、がん検診の受診率の向上に努めていきたいと考えている


平成29年9月定例会
「決算特別委員会 総括質疑」

【質問項目】

  1. 1. 県内の周産期医療体制についてて
  2. 2. 医療的ケア児に対する支援体制について
  3. 3. 安心して妊娠・出産が出来る環境づくりについて
  4. 4. 企業におけるワーク・ライフ・バランスと働き方改革への取り組みについて

1. 県内の周産期医療体制について

① 周産期母子医療センターについて
高齢出産や低出生体重児の割合の増加に伴い、ハイリスク妊娠、出産に対する医療や高度な新生児医療の需要は高まっており、各周産期母子医療センターの機能強化を図るとともに、各周産期医療機関が機能を分担することにより、妊婦のリスクに応じて適切に医療を提供できる体制の整備が必要となっている。
これまでの県内の各周産期母子医療センターの取り組み状況と課題について、どのように認識し、対応してきたのか。
また、センターの利用者数やスタッフ体制などの状況とあわせて伺う。

答弁
県内の「周産期母子医療センター」における分娩等利用者の状況は、「新生児集中治療管理室─NICU─」及び「母体・胎児集中治療管理室─MFICU─」を有している「総合周産期母子医療センター」では、年間約400件程度のハイリスク分娩に対応しているほか、中、低リスクの出産に対応する県内九つの「地域周産期医療センター」では、県内の分娩件数の約半数に当たる5、000件程度の分娩に対応しているところである。
また、平成28年9月1日時点の県内の「周産期母子医療センター」の職員体制は、医師44名、小児科医42名、助産師193名、看護師181名、臨床心理士1名となっている。
本県では御指摘のとおり、出産年齢の上昇や出生時の体重が2、500グラム未満の低出生体重児の出生割合が増加傾向にあるなど、リスクを抱える妊産婦の割合が増加しており、「周産期母子医療センター」の機能強化と産科、小児科医、助産師等の医療人材の育成、確保が極めて重要な課題であると認識しているところである。
県ではこれまで、県内4つの周産期医療圏を設定し、医療機関の機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた医療提供体制の確保を図ってきたほか、限られた医療資源を効率的に活用するため、「総合周産期母子医療センター」への「救急搬送コーディネーター」の配置による緊急時の搬送体制の確保、妊産婦等の情報を共有する「周産期医療情報ネットワークシステム」による周産期医療機関と市町村との連携強化、「超音波画像伝送システム」や「小児医療遠隔支援システム」による連携診断体制の構築、医師等を対象とした新生児蘇生法の講習会や、地域の助産師を対象とした資質向上研修の実施などにより、「周産期母子医療センター」等の機能強化と人材育成に努めてきたところである。
また、今年度「岩手県周産期医療協議会」等関係者の意見をいただきながら、新たな医療計画の策定を進めているところであり、その議論を踏まえながら、地域において質の高い安全な周産期医療を適切に提供するための取り組みをさらに進めていきたいと考えている。


② 周産期救急搬送について
周産期救急搬送件数について、平成28年は269件、ここ5年以内では平成26年が330件と、多いときは1日に1回の救急搬送ということであるが、これは、スタッフの体制に対して、多いと感じているか、少ないと感じているか伺いたい。

答弁
産科医、小児科医、助産師、全ての面で医療人材については不足していると思っている。
したがって、医療人材の確保も必要であるが、まずは育成ということで、スキルアップ、さまざまな面で総合的な対応ができるよう努めていくことが基本になると考える。


2. 医療的ケア児に対する支援体制について

① 医療的ケア児への支援体制の現状と課題について
近年の新生児医療の発達により、超未熟児や先天的な疾病を持ち、たん吸入や人口呼吸器など医療的ケアが必要な子供が急増しているにもかかわらず、彼らとその家族双方を支える社会的インフラは整っていない。
先日、倉敷中央病院の総合周産期母子医療センターのセンター長でもある、渡部晋一先生の御講演を伺った。
このセンターには、NICUを支えるスタッフとして、医師、助産師、看護師のほか、作業療法士などのリハビリスタッフ、理学療法士、臨床工学技士やNICU専属の保育士もいるとお聞きした。
また、家族の退院前後を支える在宅支援チームを院内に設置し、地域連携と多職種連携によるきめ細やかな支援体制であるとのこと。
倉敷市では、2年かけて標準的な医療的ケアの指示書をDVDにし、学校を含め関係機関にも配布することで、在宅ケアの統一化と在宅ケア児の受け入れに必要な支援体制の強化を図っている。
本県では、矢巾町に移転整備中である新しい「県立療育センター」に、NICUから退院した小児等を受け入れる「後方病床」としての役割や、在宅の重症児の重篤化等に対応する機能を担う病床10床が新たに整備される。
これまで医療的ケア児がNICU退院後、在宅等に移行するまで、十分なケアが行われていないと感じていたことからも、大変期待をしている。
また、今年度「在宅超重症児(者)等短期入所受入体制支援事業」を創設したことは、大変評価するが、県内市町村に短期入所できる施設が、そもそも少ないのが現状である。
県では、NICU等退院以降も引き続き医療的ケアが必要な児の支援について、NICUからの受け入れ病床のほか、在宅生活を支える医療や福祉、介護などの支援体制がどのような状況にあり、課題は何か、課題解決に向けてどう取り組もうと考えているのか伺う。

答弁
まず、岩手医科大学では、医師、看護師等60名を超える専任スタッフで「新生児特定集中治療室─NICU」を運営し、NICU入院時から、後方支援病院や訪問看護ステーションとの調整や市町村の保健師とのカンファレンスを行うなど、退院後においても、地域で必要な医療や福祉的ケアが受けられるよう対応しており、本年4月からは、専門の退院調整看護師を1名配置して体制を強化しているところである。
県では、医療的ケアを必要とする在宅の超重症児等を介助する家族の負担軽減を図るために、短期入所を利用した日数に応じて介護給付費を上乗せする事業を本年10月から開始し、NICU退院後における家族へのサポートを行っている。
昨年の児童福祉法の改正により、地方公共団体は関係機関との連携調整を行い、医療的ケア児の具体的な支援方策を検討していくことが求められているが、このためには、重症心身障がい児等に加えて、在宅で人口呼吸器を装着するなど、医療的ケアが必要な障がい児を含めた全体像を把握することが必要となってくる。
県としては、医療関係者や家族会等で構成する「岩手県重症心身障がい児・者支援推進会議」に、保健、保育、教育などの関係者を加えて連携体制を整備し、現在国において議論されている医療的ケア児の範囲や支援に係る基準を踏まえ、その実態把握に努めるとともに、具体的な支援策等の検討を進めていく。


② ソフト面での取り組みについて
例えば倉敷市では、1,500グラム未満で生まれた子供を対象に、2歳から3歳までの1年間に2カ月おきに集まってもらうといった、子供と家族に対する支援を継続的に行っている。
また、静岡県では今年度、医療的ケア児のための母子手帳をつくる取り組みを始めているように、私も、もう少しソフト面での取り組みも必要かと感じているが、知事の御所見を伺いたい。

答弁
岩手県の重度知的障がいと重度肢体不自由が重複している重症心身障がい児・者を中心に、医療関係者等と連携した取り組みを進めている中に、この医療的ケア児に係る取り組みも含めているところであるが、具体的には、医療関係者、家族団体の代表、市町村の委員からなる「岩手県重症心身障がい児・者支援推進会議」を設置して、重症心身障がい児・者に対する課題や対応について検討している。
そういった中でいただく御意見を参考にしながら、この医療的ケア児支援のための体制の充実を図っていくことが重要であると考える。
倉敷市の例についても、御指摘の内容も含め色々参考にしていきたいし、在宅医療を担う人材の確保についても、あわせて強化してまいりたい。


3. 安心して妊娠・出産が出来る環境づくりについて

産前産後ケアについて
妊婦や育児に悩むママを助産師らがサポートする花巻市の「産前産後ケアハウスまんまるぽっと」は、昨年10月の開所から1年が経つ。
妊産婦向けのデイサービスを行う施設は県内初めてで、ママたちの癒しの場となっており、予約のとれない状況が続くなど、依然として利用者が増加傾向にある。
特にも今年度からは、花巻市民であれば花巻市からの補助が利用できるため、花巻市民の利用者が大幅に増えた。
施設が隣接する自治体の利用者からは、行政からのサポートがあれば積極的に利用したいという声も多いことから、県から隣接自治体に対して広域連携の取り組みを働きかけるのも一つではないかと考える。
県では、地域で安心して妊娠、出産ができる環境づくりに向けて、このような妊産婦に寄り添ったケアを提供する市町村の取り組みの成果と課題をどのように把握し、分析しているのか、また、市町村に対し、今後どのような具体的支援を行おうと考えているのか伺う。

答弁
御紹介のとおり、花巻市が今年度からデイサービス型の産前産後ケアを開始したところである。
また、遠野市や山田町では、保健師や助産師が家庭を訪問し、保健指導や授乳指導などを行うアウトリーチ型の産前産後ケアにも取り組んでいる。
妊娠期から子育て期における「切れ目ない支援」を提供し、妊産婦等を支えていく「子育て世代包括支援センター」について、国では、おおむね平成32年度末までの全国展開を目指しているところであるが、本県では今年度までに6市町で設置されており、妊産婦に対する支援体制の整備が、徐々にではあるが進んできていると考えている。
その一方、産前産後ケアの推進に向け、県が昨年度実施した市町村アンケートでは、妊産婦への支援を推進するための課題として、専門的人材の確保や新たな取り組みを行うためには人員不足との回答が多かったところである。
そのため県においては、母子保健に従事する市町村保健師、助産師等を対象とした研修会や各種会議を通じ、妊産婦の支援を担う人材の資質向上に努めてきたほか、市町村に対し、「子育て世代包括支援センター」の設置、「産前産後ケア事業」の実施を働きかけてきたところである。
これらに加え、今年度新たに地域の潜在助産師の掘り起こしを行い、市町村の産前産後ケアを担うための人材育成に取り組んでいるほか、11月に本県で開催される「東北・北海道地区母子保健事業研修会」において、市町村の保健師、助産師等を対象に、先進的に取り組んでいる県内外の事例を紹介することとしており、こうした取り組みにより、引き続き市町村を支援していく。
なお、広域連携についてのお話もあったが、花巻市の例については、保健所主催の会議等の場で、近隣の市町や当該施設と、施設の実情や利用者のニーズに応じた事業展開などについて意見交換を行っており、今後ともこのような場を通じながら、情報提供や助言を行っていきたいと考えている。


4. 企業におけるワーク・ライフ・バランスと働き方改革への取り組みについて

「明治安田生活福祉研究所」 の出産と子育てに関する調査結果によると、約8割が妊娠、出産を機に退職しており、契約、派遣、パートであれば、その割合が91.4%、一方、仕事を継続した人の割合は、正社員や公務員であっても3割弱にとどまっている。
また、出生動向基本調査結果によると、第1子の出産を機に6割もの女性が退職し、この実態は二十数年遡ってもほとんど変化が見られない。
就業継続できなかった理由の上位には、必ず仕事と家庭の両立に対する職場の理解が挙がる。
私は、第1子出産後の仕事と家庭の両立に対しての身体的、精神的負担軽減の経験が、第2子以降へつながる確率が大きくなるとも考えるため、ワーク・ライフ・バランスや働き方改革の取り組みが重要であることは、県も御承知のとおりと思っている。
県のこれまでの取り組みにより、就業継続を希望していたが、妊娠、出産を機に離職した率はどれぐらい減ったという認識であるか、M字カーブは少しでも解消されているのか、企業におけるワーク・ライフ・バランスと働き方改革の取り組みの状況と課題を伺う。

答弁
県では現在、「いわてで働こう推進協議会」を核とし、女性の仕事と生活の両立やワーク・ライフ・バランスの実現につながる「いわて働き方改革推進運動」に取り組んでいる。
全県的な運動を展開する中で、「いわて働き方改革アワード」受賞企業の優良事例等について、広く企業、県民に情報提供し、普及啓発を図るなど、さまざまな取り組みを進めているところである。
また、女性の就業に関係する「男女雇用機会均等法」、「次世代育成支援対策推進法」、「女性活躍推進法」などの関係法令や国の仕事と家庭の「両立支援助成金制度」等について、岩手労働局や市町村等と連携しながら、企業に周知等を図っているところである。
女性の就業率や離職に関するM字カーブについては、県の算出データによると、M字の底が平成22年の75.8%から、直近データの平成27年では79.2%と改善傾向にあり、これは、県内企業における育児休業制度の導入割合が、平成22年では73.0%であったが、平成28年には87.1%と大きく増加していることなどが要因ではないかと考えている。 企業における課題については、職場の慣行の改革や経営者の意識向上等が考えられるところであるが、現在、県内事業者の労働条件や子育て、介護支援の取り組み状況を把握するため、働き方改革及びワーク・ライフ・バランスに関する調査を実施して、分析を進めているところである。
今後においても、「いわて働き方改革推進運動」をしっかりと進めつつ、さまざまな分野の女性の活躍を一層推進する「いわての女性の活躍促進連携会議」の活動や、新たに始めた「いわて女性活躍企業認定制度」等を有効に活用しながら、女性の働きやすい職場環境づくりを進めてまいりたい。


② 男女共同参画サポーターについて
男女共同参画社会に関する世論調査結果によると、女性が職業を持つことについて、子供ができても、ずっと職業を続けるほうがよいと思う人は、平成28年調査で男女とも初めて50%を超えた。
県では、知事が認定し、地域で男女共同参画の啓発を担う「男女共同参画サポーター」を養成するなどの取り組みを行っているが、どのような成果を上げているのか、課題とあわせて伺う。

答弁
県では、地域における男女共同参画の意識向上と活動促進を図るために、平成12年度から「男女共同参画サポーター」の養成に取り組んでおり、平成28年度までに認定したサポーターは、全市町村で886名となっている。
本年行った市町村への調査によると、サポーターの方々は県内17市町村において、市町村男女共同参画推進計画策定への参画や、審議会等の委員へ就任されるなど、男女共同参画に基づいた地域における政策の立案などに広く携わっていただいていると考えている。
そのほか、例えば大船渡市では、サポーターの方が中心となり、男女共同参画に関する講演会等を行うとともに、一関市では、サポーターの方が男女共同参画の身近な話題を取り上げて寸劇を行うなど、地域における意識啓発の盛り上げに自主的に取り組んでいただいているところである。
しかしながら、認定サポーター886名の男女別の内訳は、女性772名に対し、男性が114名であり、平成28年度の認定サポーター51名においても、男性は14名と少なく、やはり男女共同参画の考え方を浸透させていくためには、男性サポーターを増やすとともに、サポーター総数のさらなる増員も図っていく必要があると考える。
したがって、サポーター養成講座については、男性が受講しやすいように土曜日開催等を増やすなど取り組みを工夫し、男性サポーターをより多く養成するとともに、企業等に対しては、働き方改革との取り組みとあわせ、男女共同参画サポーターの必要性についても普及啓発してまいりたい。