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【青空レポート No.25 2024年9月発行号】 2.動物愛護センター設置へ!
2024.09.20
岩手県内には保健所が10箇所あり、飼い主のいない犬猫の保護や譲渡を行っていますが、施設の老朽化が懸念されています。古くなった建物は保護する犬猫はもちろん、働く職員にとってもよい環境とはいえません。
私は、2017年2月に、盛岡市にある昭和44年に建てられた「犬抑留所」を視察しました。「犬抑留所」というのは、狂犬病予防法第21条の規定に基づき、抑留した犬を収容するための施設として開設した建物の名称です。施設の設置目的は、「狂犬病の発生を予防し、蔓延を防ぐこと」。
実際に視察した建物は保護施設と呼ぶには程遠い、暗くてあたたかみを感じられないコンクリート施設でした。どちらかと言うと刑務所のような印象の場所だったことを鮮明に覚えています。
2017年2月の視察時に撮影
暗く冷たい印象の場所でした。
▶️ 以前のブログ「人と動物が共生するいわて」を目指して〜岩手県と盛岡市との共同で動物愛護センター設置へ!〜
岩手県の現状
岩手県では3世帯に1頭の動物がいると言われていますが、全国平均は約3割。つまり、若干ですが、岩手県民は動物との暮らしが他県に比べて身近であると言える現状があります。 そんな岩手県の犬、猫の殺処分の数をみてみると、少しずつ減少してきてはいます!…でもまだまだ「殺処分ゼロ」への道のりは遠い……。効果があった取り組みは継続していきつつ、殺処分ゼロを目指すための新たなチャレンジも必要だと感じています。
また、動物愛護という観点からすると飼い主の責務である、「最期まで面倒をみる」ということに対する意識がまだ十分ではなく、安易な遺棄につながっているという見方もあります。そして、ニュースなどで耳にしたことがあるかもしれませんが、近年、動物への虐待は低年齢化が進んでいると言われています。子どもたちに対して動物との関わり方を伝えていくことも必要です。
「ねこも ひとも しあわせに」
岩手県ではNPO法人もりねこさんが「ねこも ひとも しあわせに」を合言葉に精力的に活動しています。私も2023年には開設間もない「もりねこ診療所」さんに視察に伺いました。NPO法人もりねこが運営する保護ねこ、地域ねこ、飼い主のいないねこのための避妊去勢手術専門クリニック。多頭飼育崩壊、野良ねこの繁殖問題、保健所からの受入れ、出張レスキューなど、ねこに関するお困りごとに対応するためのシェルター付き保護ねこ医療施設です。
開設からの半年間で県内各地から約300匹、1日平均2匹、多い日で1日50匹ほどの対応をしたことがあるそう。最近は高齢等を理由にした多頭飼育崩壊による緊急レスキューも増えているのだそうです。
2023年もりねこ診療所視察にて
2022年5月には、奥州市のペットショップが長年、劣悪な環境下で飼育・繁殖を繰り返したことで起きた多頭飼育崩壊をうけて、今後同じようなことが繰り返されることがないよう岩手県へ動物愛護行政に関する要望書の提出のサポートさせていただきました(要望は、animal firstさん、Animal Shelter Sunny Village さん、もりねこさん含め岩手県内の4団体による要望です)。
岩手県の猫の譲渡と殺処分数に注目してみると、譲渡数は増加、殺処分数は減少しているのがおわかりいただけると思います。これは、各自治体の取り組み、そしてもりねこさんをはじめとした民間団体の活動の成果とも言えるのではないでしょうか。 行政だからこそできること、民間団体の方が得意なこと、お互いに対話しながら殺処分ゼロを目指していくことが大切ですね。
岩手県と盛岡市の共同プロジェクト「動物愛護センター」
そして現在、岩手県と盛岡市の共同プロジェクトとして三ツ割の旧県営球場東側駐車場に建設予定の施設が、動物愛護センターです。
2017年には知事等への予算特別委員会での総括質疑において、私も動物愛護思想や殺処分ゼロ啓発などを含め、全国的に整備の進む動物愛護センターの設置に向けて、県としてどう取り組むのか質疑しました。
同年11月 県から盛岡市に対し動物愛護センターの設置検討について申し入れ
同年12月 双方の担当部局からなる動物愛護センター整備検討協議会を設置
岩手県民の動物愛護思想が高まるきっかけでもあった東日本大震災から10年の節目となる2021(令和3)年頃の整備を目指していましたが、建設場所の選定が難航していました。現在は候補地が決まり、2025年3月までに基本計画をまとめている段階。2028年の開所を目指しています。
新しい施設では5つの機能を担う予定です。
・動物愛護思想の普及
いのちを「つなぐ」
・適性飼育および飼い主のいない猫対策の推進
・生存の機会の拡大
いのちを「守る」
・人獣共通感染症対策・調査研究
・災害発生時の動物救護
同様の役割を担う施設がないのは全国で長崎と岩手だけ(2024年6月現在)。全国にあるたくさんの先行事例を学び、よりよい施設ができるよう注目していきたいですね。
ウチにも長く家族として暮らしている愛犬(@実家)と愛猫(保護猫@近くの妹宅)がいます。みんなどの子も大切な家族。動物愛護センターの開設をよい契機にして、動物と人が共存できる社会を岩手県でも作っていきましょう!
※掲載内容は2024年9月時点のものです。