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【青空レポート No.25 2024年9月発行号】 3.子どもたちにインクルーシブな遊びの場を

2024.09.20

インクルーシブってどういうこと?

私は子どもたちの遊び場に対して、インクルーシブ遊具の導入、インクルーシブ公園の整備を提言しています。

インクルーシブとは「みんなが含まれている」という意味の言葉です。そしてインクルーシブ公園は「障害の有無や年齢、性別、国籍、貧富の差などを問わずみんなが楽しく遊べる公園」のこと近い意味だと「ユニバーサルデザイン」という言葉もありますね。

ユニバーサルデザインは、ユーザーの状況や能力にかかわらず、できる限り「すべての人」が利用できることを目指したデザイン。(具体的な例:公園にスロープを設置する)方向性はインクルーシブデザインと似ていますが、大きく違う点は、インクルーシブデザインがバリアを感じている特定の人の課題解決を起点にしているということ。そして、デザイナーが考案するユニバーサルデザインに対して、インクルーシブデザインの場合はデザイナーだけでなく、周囲の人を巻き込み、意識やアクションも含めてデザインしていくという点が異なります。

2006年のバリアフリー新法施行、東京を中心にインクルーシブな遊び場は少しずつ広がりをみせています。

岩手県としては、2015年、一関遊水地記念緑地公園にインクルーシブな遊具として車椅子でも遊べるブランコが設置されました。これは一関市の姉妹都市であるオーストラリアのセントラルハイランズ市から寄贈されたものです。しかし、遊具を利用する際に事前に申し込みが必要で、普段は施錠されている点からみると「インクルーシブ」とは言い切れない現状があります。 その後、2021年には宮古市うみどり公園が県内初のインクルーシブ公園として整備されました。 また、それを受けて、岩手県では2023年に市町村の公園事業担当者を集め宮古市の事例を学ぶ会を設け、2024年には岩手県公式HP上で「インクルーシブな公園プロジェクト」として、公園の施設拡充、環境整備のための寄付を募っています。

そして今年度は「既存施設等を活用した子どもの遊び場整備事業」として、市町村が実施する既存の公共施設や民間施設への遊び場の整備(拡充も含む)に要する経費に対して補助されることになりました! とても嬉しい!
隣接する市町村など複数の自治体が連携して整備する場合も想定されています。

岩手県の課題

岩手県の遊び場も施設の老朽化は進んでいます。そして、冬期の遊び場が足りないというのは以前からの課題でしたが、近年は外遊びが難しいほどの夏の暑さ。屋内・屋外それぞれに遊び場があることが重要です。

また、他県の施設に比べると対象年齢が低めに設定されている施設が多いという現状もあります。乳幼児だけではなく、幅広い年齢の子ども達が遊べる場が必要だと感じています。

他県の様子

【屋内】

●山形市南部児童遊戯施設「シェルター・インクルーシブプレイス・コパル」
@山形県山形市(無料)
山形市には、子育て支援施設として、北にべにっこひろば、中心市街地に子育てランドあ~べが既にありますが、市南部にも児童遊戯施設をと2023年4月に3つ目!の屋内の遊び場がオープン。つねに山形市内だけでなく県内外からの利用者でリピーターも多い。特に、障がいのある子もない子も、誰もが分け隔てなく楽しく遊べるインクルーシブな施設になっていて素晴らしい。雪が降っても走り回って遊べる遊戯場や体育館を備え、屋外には蔵王をはじめ美しい山々を遠望しながら遊べる広場もある。無料駐車場も300台完備と、本当に羨ましい限り。(2023年12月中旬に家族で訪問)

 

●「キッズドームソライ」
@山形県鶴岡市(有料)
民間が運営する児童教育施設。体いっぱい動かせるアソビバと工作など自由発想のツクルバ。放課後児童クラブや保育所も併設。 県内外の様々なリソースに頼りながら、多様な民間企業等が子ども達のために出資(投資)する土壌が羨ましく感じる。(2024年5月に家族で訪問、7月に環境福祉委員会の調査)

 

●「ペップキッズこおりやま」
@福島県郡山市(無料)
既存施設を大改修してできた屋内の遊び場。砂場や料理教室もある。毎年ある地元企業からの寄付が大きい。身体の発達段階に応じた「36の動き」を取り入れたアクティビティ。プレイリーダーがいる! (2024年5月に環境福祉委員会の調査)

 

【屋外】

●宮城県立総合運動公園 @利府町

●宮城県立都市公園加瀬沼公園 @多賀城市

令和6年2月定例会 第4回岩手県議会定例会でも取り上げました。

●吉田敬子
県は、幸福を最重要なテーマとして掲げており、これはソーシャルインクルージョン、誰ひとり取り残さないをモットーにしていると認識しています。
昨年9月定例会の所信表明で、知事は、行政経営について、インクルーシブなどの新たな視点を取り入れていくと発言されました。インクルーシブの視点は、福祉分野や教育分野などに限定されるものではなく、例えば公園整備、観光もインクルーシブの視点が重要であると私は思っています。
来年度当初予算案には、いわて子どもの森の大規模改修や子供の遊び場に対する市町村への補助事業が盛り込まれていますが、市町村に対してもインクルーシブの視点を提言していく必要があると考えています。
このように、あらゆる行政分野において、年齢や性別、病気や障がいの有無にかかわらず、誰ひとり取り残さないインクルーシブの視点を前提とした県政運営を行っていくことが重要と考えていますが、知事の所見をお伺いいたします。

●知事
いわて県民計画(2019〜2028)におきまして、社会的に弱い立場にある方々が、地域や職場、家庭などでのつながりが薄れることによって孤立することのないように、社会的包摂―ソーシャルインクルージョンの観点に立った取り組みを進めることを理念に掲げております。
これまで県立療育センターの開所と県立盛岡となん支援学校の開校、また、医療的ケアを必要とする在宅の超重症児等を介助する家族の負担軽減などを進めてまいりました。
令和6年度当初予算案においても、福祉、消費生活分野における相談支援の充実に向けて、福祉総合相談センターと県民生活センターの整備に係る予算を盛り込んでおります。
さらに、10の政策分野の推進に当たり、分野ごとに、みんなで取り組みたいこととして、高齢者や障がい者を初めとした多様な方々の参画、活躍の方向を盛り込んでおり、あらゆる分野においてソーシャルインクルージョンの観点に立った取り組みを進めてまいります。

●吉田敬子
知事の答弁を踏まえて、私自身も、今任期はあらゆる分野で各部局においてインクルーシブの視点を追求させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 

インクルーシブ公園ができるまで

インクルーシブ公園と今までの公園は、つくられたあともプロセスが少し違います。今までの公園は「行政が計画し、完成するもの」でしたが、インクルーシブ公園は完成後もコーディネーターやプレイリーダーが配置され、イベントの開催などを通して普及と開発に取り組むのです。

岩手県はまだまだこれから。みなさんの身近な公園でもこういう動きがでてくるかもしれません。ぜひ作る段階の対話から関わっていただき、皆さん一人一人の声を届け、形にしていきましょう!

※掲載内容は2024年9月時点のものです。

 

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