議会質疑・答弁
Parliament
- 令和6年
- 12月定例会「一般質問」
- 2月定例会「代表質問」
令和6年12月定例会
「一般質問」
【質問項目】
-
1.こども・若者施策について
- (1)こどもの声の反映について
- (2)いわてこどもプランについて
- ア プランへのこどもの声の反映について
- イ プランの指標について
- (3)若者への支援について
- (4)グローバル人材の育成について
2.子育て支援について
- (1)こどもの非認知能力を育む森林環境教育の取組について
- ア 森と自然の育ちと学び自治体ネットワークについて
- イ 自然保育について
- (2)病気や障がいのあるこどもや家庭への支援について
- ア 切れ目のない支援について
- イ レスパイトへの支援について
- (3)産後ケアについて
- ア 人材育成について
- イ 宿泊型産後ケアへの支援について
- (4)仕事と家庭の両立支援について
- (5)生殖補助医療への支援について
3.多様な学びと居場所づくりについて
- (1)不登校への支援について
- ア フリースクール認定制度等について
- イ 教育支援センター分室について
- ウ こども達の居場所の機能の展開について
- (2)本を通じた居場所である図書館への支援について
- ア 県立図書館について
- イ 本を通じた居場所づくりについて
4.県庁舎の建替えと景観まちづくりについて
- (1)盛岡市庁舎の建替えの影響について
- (2)県庁舎の建替えと内丸プランについて
1 こども・若者施策について
いわて新政会の吉田敬子です。
登壇の機会をいただき、先輩、同僚議員の皆様に感謝申し上げます。
今年は、日本が子どもの権利条約を批准してから30年の節目となります。こどもの人権を守る取組は道半ばであり、こどもの生活環境は、「劣化」と呼ぶべき極めて困難な状況にあります。
体力・運動能力の低水準、こどもの生活習慣病の増加、意欲の減退をはじめ、虐待、貧困、いじめ、自死など、深刻な事件・事故が、連日のように報道されています・
2014年のこどもの貧困対策推進法施行からは10年が経過しました。2012年のこどもの貧困率は16.3%、およそ6人に1人から、2021年は11.5%、凡そ9人に1人と、10年前より改善された一方で、貧困にさらされているこどもの生活状況が良くなったわけではありません。
先般、岩手県社会福祉大会に参加した際、こどもの貧困についての講演がありました。栃木県では、食事だけでなく入浴などの生活支援を行い、家庭機能を補完するこどもの居場所が県内に広がったこと、宇都宮市では、支援のレベルと多様なニーズに応じた居場所を3層構造で設置していることが紹介されました。こどもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、私たちは何をするべきなのか。
こどもの声を聞き、行政を動かすといった、こどもの権利のために活動する第三者機関を設置する自治体は増え、約50自治体にも上っています
(1) こどもの声の反映について
令和4年6月に成立したこども基本法は、こども施策策定時にはこどもの意見反映にかかる措置を講ずるよう国や自治体に義務付けました。具体的な手法として、こどもを対象としたアンケートの実施、審議会・懇談会への参画、直接意見を聴く場の設置などが挙げられています。
2月定例会の代表質問で、知事は、「子どもたちの声を生かす方策について検討し、次代の社会を担う子どもたちの意見の把握と県政への反映に取り組む」と御答弁されました。
例えば群馬県では、知事に対する高校生リバースメンターを始めて1年半といいます。岩手県の希望郷いわてモニターの年齢は18歳からとなっていますが、そもそも性別や世代、障がいを持つ方など多様な人選になっておらず、改善と配慮が必要であるし、こどもについては、未だモニターに入っていない状況にあります。知事に答弁いただいた「検討」を行った結果として、こどもの声をどう県政に生かすこととしたのかお伺いします。
【知事答弁】
吉田敬子議員の御質問にお答え申し上げます。
こどもの声の反映についてでありますが、本県ではこれまでも、「岩手県教育振興計画」や「岩手県子どもの幸せ応援計画」の策定にあたり、児童・生徒等対象のオンライン調査を実施したほか、より広く意見を聞くため、「いわて希望塾」や「いわて若者カフェ」の場における、子どもや若者との対話などに取り組んできました。
これらに加え、今年度は新たに、学校を訪問しての小学生との意見交換や、県内各地域での管内状況調査における高校生との意見交換、首都圏の大学に通う本県出身の学生を対象とした県政懇談会など、子どもや若者の声を知事が直接聴く機会を設けているところです。
また、モニター制度については、県政に対するニーズや意識等を効果的に把握することができる仕組みですが、現在の「希望郷いわてモニター制度」は、18歳以上の県民を対象としていることから、今年度、子どもに特化したモニター制度を導入している先進自治体の取組状況について調査を行っております。
子どもの声の反映については、施策の内容や目的に応じて、多様な手法を組み合わせながら実施していく必要があり、今後も、子ども・若者を対象としたアンケートや懇談により、意見聴取に取り組むとともに、子ども向けのモニター制度も含めた新たな手法について検討するなど、次代の社会を担う子どもたちの意見の把握と県政への反映に取り組んでいきます。
こどものモニターについて検討いただけるということで、本年度調査ということは、来年度以降設置いただけるということではないかなということで、ぜひ期待を申し上げたいと思います。
(2) いわてこどもプランについて
ア プランへのこどもの声の反映について
県は、11月にいわてこどもプランの素案をまとめた。この素案のとりまとめにあたり、具体的にどのような方法でこども達の声を反映したのか、関わったこども達の人数を含め、具体的に伺います。
【企画理事兼保健福祉部長答弁】
プランへのこどもの声の反映についてでありますが、こども基本法では、こども施策を策定、実施、評価するとき、こども・若者、子育て当事者等の意見を反映するために必要な措置を講ずることを国や地方公共団体に義務付けており、この趣旨に則り、それぞれの政策の目的等を踏まえ、こども・若者の最善の利益を第一に考えながら、こども・若者の意見を聴き、反映させることが求められています。
このため、こどもプランの策定に当たっては、幅広い対象から意見を聴取するためのアンケート調査とあわせて、こども達や施策関係者へのインタビュー調査といった方法で意見聴取を実施しました。
アンケート調査の例としては、令和5年の12月から令和6年の1月にかけて、県内の小学5年生、中学2年生及びその保護者を対象に「子どもの生活実態アンケート調査」を実施し、小学5年生5,394人、中学2年生5,298人、合計10,662人のこどもから生活の状況などの意見を聴取したところです。
また、インタビュー調査については、49団体158人のこども達や施策関係者から意見を聴取しており、そのうちこども達については、県内で募集した13人の中学生を対象に、ワークショップ形式により詳細な意見を聴取したところです。
アンケートは、小学5年生、中学2年生ということで、ワークショップは中学生と高校生も対象とされていますが、これは例えば大学生にはやられていないわけですが、県として必要ないと考えているのかお伺いしたいですし、これはこどもプランの策定に関係してやられたかと思いますが、定期的にやっていく必要があると思いますが、その点も改めてお伺いします。
【企画理事兼保健福祉部長答弁】
大学生の意見聴取について、直接は実施しておりませんが、県政懇談会での知事と大学生の懇談等、こどもプランに直接関係するところではなくとも意見を伺う機会はございますので、そういったところでの意見を反映しているところであり、若者の自立支援ネットワークの会員構成団体等、若者の支援者に対しても意見聴取を行っているところです。
また、こどもモニター等の施策の活用も含めてプランに反映させていきたいと考えているところです。
例えば滋賀県だと、こどもの意見聴取の対象を概ね小学4年生から大学生として、定期的に実施することと決めていて、また、声を上げにくい子どもの意見を聴取するために、不登校のこども達も含めた取組をしっかり年何回やると決めています。
今回プランを作るためにこども達の声を聞いただけでなく、その進捗をどうするかということが必要と思いますが、県政モニターのこどもの話もさせていただきましたけれども、それと、こちらのプランの取組との連携ということでも良いと思いますが、そこをしっかり定期的にやっていくということについて、改めてお伺いします。
【企画理事兼保健福祉部長答弁】
今般、プラン策定にあたり、5年ぶりにこどもの生活・実態アンケート調査を実施しました。毎年実施できれば良いのですが、対象者も多数であり学校現場への負担も大きいことから、どのような形で毎年定期的にモニターできるかについては、関係機関の負担も考えて検討していきたいと考えています。
ぜひよろしくお願いいたします。県政モニターの仕組みがしっかり出来れば良いのかなと思っております。
イ プランの指標について
このプランの素案における目指す指標は、合計特殊出生率、男性の家事時間割合、総実労働時間とあります。こどもや若者が主語のものが何一つないわけですが、こどもプランの目指す姿として相応しいのか疑問を感じます。
県内中学生との意見交換では、「どんな感じで助けてくれるのか、未来を支えてくれるのか、目指す姿を見てわかると良い」というような意見も出ていますけれども、果たしてこどもたちにとって見てわかる内容になっているのか、岩手県子ども・子育て会議ではどのような意見が出て、また、どのように反映されたのか、この素案の「目指す姿」を示すに至った考え方について改めてお伺いします。
【企画理事兼保健福祉部長答弁】
いわてこどもプランの目指す姿についてでありますが、プラン策定に当たり、今年度、子ども・子育て会議を3回開催し、1回目では、骨子や策定方針を、2回目では、プランの中間案を、3回目では素案を審議いただきました。
会議では、妊産婦のメンタルケアの充実、こどもが将来を想像できるような教育の支援、こどもの遊び場整備等の多岐にわたる意見が出され、その多くをプランにおいて掲げる具体の取組に盛り込みました。
目指す姿については、「こどもが大切にされていることがわかるように」といった中学生からの意見を取り入れ、個人やこどもの尊重、こどもと大人や社会との関係性、こどもを取り巻く環境や支援体制という3つの観点から、こどもを真ん中に置いた内容となるよう、整理をしたところです。
なお、目指す姿指標については、本プランは県民計画と一体的に推進していくものであることから、
・ 県民計画におけるいわて幸福関連指標との整合を図ることを前提に、
・ 若い世代の就労、出会い、結婚、妊娠・出産、子育ての願いを叶えるとともに、仕事と生活を両立できる環境づくりを進めることを体現するものとして、設定したところです。
男性の家事時間が増えたり、総実労働時間が減れば、こどもに関わる時間が増えるという意味では、こどもの幸せに関わるかもしれませんが、合計特殊出生率はこども一人ひとりが関わることではなくて、こどもを真ん中にして、こども達がいかに幸せに感じているかだとか充実しているのかというのは、なかなか数値では測れないのは重々承知していますが、そういう意味でも、こどもプランがきちんと進められているのかこどもの声を聞いて、こども目線になったこどもプランにならなければ意味がないと思いますので、こどもの立場としては、この3つの指標はあまり関係しないことであると思いますので、そこは指摘させていただきたいと思います。
(3) 若者への支援について
県では、いわて若者カフェを開催していますが、今年度からは新たに、社会課題の解決に取り組むNPOへのインターンシップを開催するなど、若者の交流や情報交換、若者の活動を応援する居場所として良い取組と思っています。
また、「いわて若者アイディア実現補助事業」は、若者の声が反映され、アイディアを実現できる機会の創出にも貢献しているものと考えます。
いわて若者カフェのこれまでの取組の成果について、県としてどう評価しているか。また、これまでの盛岡市に加え、今年6月からは久慈市、宮古市、陸前高田市、一関市の4つに連携拠点を設置したところであり、今後はさらに拠点を広げることを提言させていただきますが、見解をお伺いします。
【環境生活部長答弁】
「いわて若者カフェ」は、若者同士やカフェマスターとの交流などを通じて、若者の主体的な活動を支援できるよう、県公会堂に設置しているものです。令和5年度の利用者数は、若者が自ら企画立案した活動等の活発化により、前年度と比較し5.4倍となったところです。
今年度は、既に昨年度1年間を上回る利用者数となっております。新たな取組である地域課題に取り組むNPOでのインターンシップも好評であり、若者カフェが若者の活動・交流をつなぐ場として定着し、若者が地域活動への参加意欲や地域への愛着を深めるきっかけにもなっていると捉えています。
一方で、県央地区以外のニーズに十分に応えられていないといった課題等があったことから、本年6月に宮古市、久慈市、一関市、陸前高田市に連携拠点を設置し、地域の特色を生かしたイベントの開催や相談対応、若者アイディア実現補助の採択団体への伴走支援等を行っているところです。
今後も、若者カフェを通じて、若者の主体的な活動や交流を県内全域に広げていけるよう、地域おこし協力隊やNPO等との連携を深めるとともに、連携拠点の他地域への設置も検討しながら、運営をしていきます。
その拠点にはまだなっていないですが、県内では同じように、高校生を対象に居場所を支援している活動もあるので、ぜひ拡げていく取組をしていただきたいと思っております。
(4) グローバル人材の育成について
県では高校生と大学生を対象に、それぞれ海外派遣研修やグローカル人材の育成を実施しています。また、令和4年度からは、小学生から大学生までを対象に、JICA海外協力隊などを講師にオンラインによる講演会を実施しています。
語学学校を世界展開する企業、FFエデュケーションファーストがこのほど発表した英語圏以外の国・地域の2024年版「英語能力指数」では、調査対象116カ国・地域のうち、日本は過去最低の92位に転落、急速な国際化に逆行し、英語力の低下に歯止めがかかっていません。地域別指標では関東地方が最高で、東北地方が最下位とのことです。
外国語の習得支援やグローバルに関わる仕事への意識醸成や動機づけを得る機会として、海外での短期体験など、社会人になってからのグローバルな視野を広げる支援も必要と考えますが、社会人のグローバル人材の育成にはどう取り組むのか伺います。
【ふるさと振興部長答弁】
社会が急激に変化し、グローバル化が進展する中、国際的な視野と地域に貢献する視野を持った人材の育成は大変重要であるものと認識しています。
県では、これまで、高校生を対象とした海外派遣研修や県内大学生等を対象とした海外留学支援を実施し、多様な考え方や異文化に対する理解、外国語による実践的コミュニケーション能力の向上を図るとともに、児童・生徒・学生を対象としたオンライン講演会を実施し、学生等のグローバルな視点を育てるなど、国際感覚のある人材の育成に取り組んでまいりました。
一方、現在、県が実施するグローバル人材育成に係る取組は、基本的に大学生以下を対象としていること、また、現在策定を進めている次期「岩手県多文化共生推進プラン」においても、「グローカル人材の育成」などを施策の柱に据える予定としておりますことから、議員御指摘の趣旨も踏まえ、社会人も含めた、今後のグローバル人材育成の取組の具体策について検討を進めてまいります。
先の城内議員の一般質問の中でも、知事の海外出張のトップセールスについて取り上げられていましたけれども、知事が海外に打って出るときという所信表明をされておりましたが、私は、城内議員がおっしゃるとおり、知事だけがそこに行ってやるだけではなくて、県民の皆様も含めて産業人材に世界を見てほしいという思いがありまして、今回検討いただけるとのことですので、ぜひ今後に期待させていただきたいと思います。
2 子育て支援について
(1) こどもの非認知能力を育む森林環境教育の取組について
主体性、協調性、自己肯定感など、こどもの非認知能力を高めるには、小さい頃からの遊びが重要と考えています。外遊び、自然体験、公園、プレイパークなど、屋内、屋外のこどもの遊び場の整備を保健福祉部、農林水産部、県土整備部など部局横断的に取り組んで欲しいとことはこれまでも提言し続けております。
「森のようちえん」をはじめとする、自然を活用した幼児教育・保育は、「非認知能力」を育む上で非常に重要だとおもっております。令和3年4月に普代村に開園した「つちのこ保育園」が、本県初となる森のようちえんで、近年は、同様な取組を目指す保育施設が増えております。
また、岩手県森林林業会議からは、令和7年度林業関係施策に関して、緑の少年団数及び団員数の減少や、活動の減少に対する支援など、森林環境学習への推進を求める要望もあり、これは幼児期からの森林環境教育の必要性でもあると捉えております。
ア 森と自然の育ちと学び自治体ネットワークについて
本県も「森と自然の育ちと学び自治体ネットワーク」に初年度から加盟しておりますが、ネットワークでの交流や学びはどう生かされているのか伺います。
【企画理事兼保健福祉部長答弁】
森と自然の育ちと学び自治体ネットワークについては、森と自然を活用した保育と幼児教育が子どもたちのしあわせな成長の基盤であることを、全国各地の自治体と幅広く共有することを目的として、平成30年度に設立されたものであり、本県もその趣旨に賛同し、初年度から参加しております。
ネットワークでは、令和3年度から、自治体間の交流や学びあいを目的としたフォーラムを開催しており、本県も構成自治体として参加し、他県の先進的な取組事例について情報共有を行っているほか、市町村に対してもフォーラムへの参加を呼びかけているところであります。
本県においては、自然保育に重点を置いた取組を行う施設はまだ少数でありますことから、県としては、引き続き、ネットワークの活動を通じ、森と自然を活用した保育、幼児教育の考え方について、市町村や教育・保育施設等と幅広く共有を図ってまいります。
イ 自然保育について
長野県等が実施している自然保育認証制度は、自然保育の社会的な認知および信頼性の向上を図り、森林環境学習のすそ野を拡げるためにとても有効な制度であり、先般、佐々木宣和議員も取り上げておりますけれども、普代村からも県に対し要望が出ています。本県においても同様の取組を行ってほしいと考えますが、自然保育の支援のための具体的な取組の方向性について伺います。
【企画理事兼保健福祉部長答弁】
本県では、議員から御紹介のありました普代村の「つちのこ保育園」において取り組まれているところであり、県では、業務のICT化に対する補助や、保育料の無償化による保護者の経済的負担の軽減のほか、いわての森林づくり県民税を活用した活動支援により、その取組を支援してきたところであります。
県としては、まずは、こうした補助の活用や、森と自然の育ちと学び自治体ネットワークの活動を通じた先進事例の紹介等により、自然保育の意義や効果について理解が広がることが重要と考えております。
自然保育認証制度については、取組が拡大していく中で効果が期待されるものと考えており、自然保育に対する保護者のニーズや、市町村、教育・保育関係団体等の意向などを把握しながら、そのあり方について研究してまいります。
普代村から県に対する要望について、県から普代村にA判定というものを回答していると普代村の推進室長から伺いました。このA判定というのは、提言の趣旨に沿って措置というように思っておりますが、そもそも普代村は、自然保育認証制度を作ってほしいという要望をしているのですが、この制度について今後作っていくということでよろしいのかお伺いします。
【企画理事兼保健福祉部長答弁】
こちらの反映区分となっているのは、2つ普代村からご要望いただいていまして、1つが議員から御紹介いただいた自然環境保育認証制度の創設と、あとはその活動費や運営費への村と協調しての支援という2ついただいております。この後者の部分について、反映させていただいたということで、区分させていただいておりました。
正しくは、前者の方については、御意見を参考にさせていただくという形ですべて反映という形になっていないというのは、その通りでございます。
そうですよね。制度をまだ県としてやるという意識がない中で、A判定を普代村に回答するというのは、私はポジティブに捉えて、やっていただけるものだと思って、普代村の方と話をさせていただきましたけれども、そうした市町村からの要望に対する県の判定の返し方についても、今後これで良いのかと思いました。
先程部長の答弁で、まだ、自然保育に関する理解を広めることが必要とおっしゃいましたけれども、認証制度を行うことで、私は理解が深まると思っております。他県は、理解を広めるために認証制度を作っておりますので、ぜひそこの趣旨をしっかり捉えていただきたいです。
森と自然の育ちと学び自治体ネットワークは、県は参加していただいているのですが、ずっとオンラインですよね。来年1月は鳥取県でありますけれども、オンラインではなく、現地にもぜひ行って、これまでは農水の皆さんとも連携してもらいたいということで、委員会で取り上げてきましたけれども、一緒に実際の現地も見ていただきたい。ネットワークの趣旨に賛同しているわけですね。ぜひ参加していただきたいと思いますが、改めてお伺いします。
【企画理事兼保健福祉部長答弁】
ネットワークの参加については、コロナ禍の期間中ということもあってオンラインでの参加でありましたことから、なかなか現地に赴くことができなかったということであります。
普代村で始まりました取組等については、評価、取組の状況などもきちんと我々もヒアリングさせていただきますとともに、認証制度は、6県で実施されていると伺っておりますので、それぞれの地域において、当事者の方々や運営している方々の想いがあってやっているのではないかと思いますので、本県にあった取組がどうなのかということ等もヒアリングしながら、進めてまいりたいと考えております。
(2) 病気や障がいのあるこどもや家庭への支援について
ア 切れ目のない支援について
病気や障がいのあるお子さんを持つご家庭からたくさんの声が私に届きます。生まれてすぐ長期間の病院生活が始まったこと、支援や制度が複雑であること、制度の狭間に埋もれて何の支援もない子がいること、相談する余裕すらないこと、どこの誰に相談して良いのか分かりづらいこと、成長過程で悩みや不安が変化すること、そしてある日突然やってくること。お母さん達がすごく頑張りすぎていること。頑張らないと情報にも支援にもたどりつかない現状です。
命に関わる重い病気のこどもは全国に2万人いると推計されていますが、正確な数は分かっていないため、国は今年度調査をすると聞いています。
小児がんや重い病気と闘うこどもたちと家族をサポートするための取組の一つとして、ファシリティドッグという存在を知りました。臨床経験のある看護師とペアになり、特定の病院に医療チームの一員として常勤する、専門的に訓練された犬のことです。こどもたちの心の励みとなり、不安やストレスの軽減、治療への前向きさ、食欲やリハビリへの促進などの効果が期待でき、海外では多くのファシリティドッグが活動している一方、現在日本で活動するファシリティドッグは、神奈川県立こども医療センター、静岡県立こども病院、東京都立小児総合医療センター、国立成育医療研究センターなどで、4頭ほどに留まるといいます。
また、こども家庭庁では2025年度、こどもの入院に家族が泊まり込みで付き添う「付き添い入院」の環境改善に向け、新たな支援事業を始める方針です。
本県では、小児科のある9つの県立病院のうち、3つは付き添い食の提供をしている現状です。
県では、入院・在宅・通院通学・発達への支援、家族支援など、病気や障がいのあるこどもや家庭への切れ目のない支援の現状について、どのような課題認識を持っているのか、また、今後の支援策について伺います。
【知事答弁】
病気や障がいのある子どもや家庭への支援についてでありますが、重い病気や障がいと向き合うことは、子ども自身にとっても、家族にとっても大変なことであり、必要な支援を受けながら、より良い環境の下で日々を過ごしていくことが必要であると考えています。
そのため、県では、小児慢性特定疾病や重症心身障がい児への医療費助成、小児専門医療体制の整備、小児医療を担う医療従事者の育成・確保、医療的ケア児支援センターの機能充実などの取組により、病気や障がいのある子どもや家庭への支援を行っています。
また、切れ目のない支援を行っていくためには、関係機関との連携が不可欠であることから、本年3月に策定した岩手県保健医療計画において、「重症心身障がい児や医療的ケア児、慢性疾患児が生活の場で療養・療育できるよう、医療・介護・福祉・教育等関係機関との連携を推進」することを施策の方向性として掲げております。
県としては、引き続きこうした取組の充実に努めるとともに、議員御紹介の様々な取組や、国の動向について情報収集を行いながら、必要な対応を検討してまいります。
イ レスパイトへの支援について
先日、医療的ケアを必要とするお子さんが亡くなり、母親が逮捕されるという事案がありました。子育ては、健常児であっても日々やるべきことに追われ、悩みと葛藤の連続です。病気や障がいがあったり、医療的ケアが必要なお子さんを支える家族の苦労は計り知れず、家族にばかり負担がのしかかる社会の在り方は、現在も変わっていません。
県内各市町村において医療的ケア児やその家族等が利用できるレスパイト機能を持った施設は、令和6年6月時点で宮古市1、釜石市1、一関市1、矢巾町2、平泉町1の6施設のみであり、令和5年度の利用状況は、実利用人員5人のみと聞いています。広い県土に限られた施設しかなく、レスパイトを受けたくても受けられない現状です。
そのような中、矢巾町、紫波町、住田町では、在宅におけるレスパイトに対して独自の助成を行っており、このような取組を拡げていくことも有効と考えています。
家族の負担を軽減するレスパイトの本県の現状について、課題認識と今後の取組方針を伺います。
【企画理事兼保健福祉部長答弁】
レスパイトへの支援についてでありますが、県内において医療的ケア児の受入実績のある短期入所事業所は、福祉型が1か所、医療型が6か所でありますが、家族の介護負担軽減に対するニーズは高く、その拡充が重要であると考えております。
医療的ケア児に対応できる事業所を確保するためには、医療的ケアの複雑さや個々の疾病にも対応できる専門的スキルを持つ看護職員の配置が求められるなど人材確保が課題となっており、県ではこれまでも看護職員を対象とした研修や、事業所への出張講座等を実施してきたところであります。
さらに、事業所の参入を促すため、今年度は、地域で医療的な見地から助言等を行う「医療的ケアアドバイスチーム」を創設し、医療機関との連携体制の構築により、医療面の不安の軽減を図るほか、医療的ケア児及びその御家族と事業者とのマッチングの機会も検討してまいります。
また、在宅におけるレスパイトの拡充が図られるよう、地域の訪問看護事業者に参入を促しながら、各市町村に対しても様々な機会を通じて情報提供を行いながら、事業の実施を働きかけてまいります。
(3) 産後ケアについて
本県では、分娩可能な施設が限られており、現在では33市町村中9市町村のみとなっています。
年々、分娩後の入院日数は短期間になっているため、十分に育児技術を習得しないまま退院を迎える方も多く、不安を抱えたまま遠方の自宅や里帰り先に帰り、育児を開始します。近年は、祖父母世代も働いていることで、里帰りしたからといって十分な産後の支援を受けられる状況にない母子も少なくありません。
妊娠中や出産から1年以内に自殺した女性は、2022年から2023年の2年間で、少なくとも118人に上ることがわかりました。うち、妊娠中が28%、産後が72%となっています。
また、令和4年度の児童虐待死は、0歳児が44%となっています。
産後の母親の身体的、精神的苦痛が、生まれたばかりの赤ちゃんに向いていることが窺えます。
ア 人材育成について
今年10月、産前・産後サポート事業ガイドライン及び産後ケア事業ガイドラインが改訂になりました。産後ケアの対象者として、里帰り出産の母親、死産や流産を経験された方、養親、里親も追加されたほか、医療的ケア児・多胎児家庭・きょうだい児への配慮や、早産・低出生体重児等に係る修正月齢での利用も盛り込まれました。
実施担当者については、出産後4ヶ月までは原則助産師を中心とした実施体制としますが、研修を受講した上で理学療法士も置くことができるとされました。
本県の現状としては、今年度には、県内全市町村で産後ケアを実施するようになったものの、その内容には未だ格差があり、人材不足等により産後ケアの充実強化を図れない市町村もあります。
ガイドラインにおいても、産後ケアの実施者に対する研修を行う必要があるとされている通り、助産師等に対する産後ケア研修の充実により、人材育成を支援することが重要と考えますが、ご所見を伺います。
【企画理事兼保健福祉部長答弁】
産後ケアを担う人材育成の支援についてでありますが、
県では、産後ケア事業に代表される母子保健事業を実施するために必要な専門的知識を身に付けるため、これまで、事業の担い手である市町村の保健師・助産師等を対象に研修を実施し、専門職員の資質向上を図ってきたところです。
議員御指摘のとおり、本年10月に国の産後ケア事業ガイドラインが改訂されたことから、ガイドライン改訂による全国的な取組の状況を注視しつつ、地域の状況に応じ、妊娠・出産・子育て期にわたる切れ目のない支援が行われるよう、関係機関と連携し、専門人材の育成等に取り組んでいきます。
最近、理学療法士の皆さんが、自主的に県内で研修会等をされていますし、産後ケアをやっていきたいという、助産師さんだけではなく支援者の方もいっぱいいる中で、こういう人材を積極的に利活用させていただけるような研修の充実は、必要だと思います。
NPO法人まんまるママいわてさんのところにも、実際に研修を受けたいということで、勤務しながらそちらの方に研修しているという助産師さんもいらっしゃいますので、ぜひ県が主催して、強化してやっていただきたいと思っております。
イ 宿泊型産後ケアへの支援について
NPO法人まんまるママいわての利用者アンケートから、花巻市においては出生数の46%が、北上市においては3割が産後ケアを利用し、宿泊型産後ケアへのニーズは増えているとの結果が出ています。また、釜石市や大船渡市では、旅館を利用してデイサービス型産後ケアを実施するなど工夫しています。
山梨県では、平成28年から産前産後ケアセンターを県主体で設置しています。同県では、センターの設置により得た知見として、小規模市町村による実施が困難な事業については、広域的な連合体を構成することが有効であること、宿泊型産後ケア事業は利用者の満足度が高く、産後の母親の不安軽減に一定の効果があることに言及しています。
昨年の12月定例会において、宿泊型産後ケアの整備についての請願が採択されました。「宿泊型産後ケアの拡充については、それぞれの地域の実情に応じた事業が展開できるよう、事業の具体化に向けて、連携が必要となる医療機関や民間事業者、助産師など地域の関係者と議論を進める」と知事から答弁いただきましたが、どのような議論をし、どう取組を進めることとしたのか、県内の助産師の活用促進支援の実績と合わせて伺います。
【企画理事兼保健福祉部長答弁】
宿泊型産後ケアについてでありますが、
身近な地域できめ細かなサービスを受けられる環境の整備という点で、産後ケアの推進は重要であり、宿泊型産後ケアについては、設備及び助産師等専門人材の確保などの課題があることから、市町村の意向や他県の状況等も参考にしながら、検討する必要があると考えております。
また、助産師活躍推進事業でありますが、今年度はこれまで、窓口設置等の体制の整備をし、助産師確保を求める市町村と関係団体や医療機関と調整を進めております。
県としては、引き続き、助産師等、産後ケアを担う人材の確保に努めるとともに、圏域単位での連携の必要性も考慮しつつ、圏域ごとに開催している「連絡調整会議」の場などを活用し、市町村や地域の関係者との意見交換を行いながら、各地域の実情に応じた事業のあり方について議論を進めていく考えです。
検討など議論を進める段階の中で、私もこれまでの委員会等で、県立病院における産後ケアのことを取り上げさせていただいていますけれども、県立釜石病院で実際に今、産後ケアをやられていまして、そういったことを保健福祉部としても連携して、共有していただきたいと話をさせていただいていますが、釜石病院での産後ケアについての情報共有はどの程度されているのか伺います。
【企画理事兼保健福祉部長答弁】
釜石病院での産後ケアについては、釜石病院で分娩ができなくなったということも背景にあって、出産については大船渡でしていただきますけれども、母子保健の分野は身近な地域で行って、そのあとの産後ケアについても、身近な地域で行えるようにといった趣旨で、大槌町と釜石市で、県内でも数少ない広域的な取り組みとして、釜石病院で産後ケアを行っているというふうに認識しております。
例えば宿泊型産後ケアについては、24時間体制で助産師等を置かなくてはならないということで、やはり想定されているのは医療機関でありますとか、分娩を取り扱う助産所ということになっております。
個々の病院の体制など事情もありますので、こうした釜石病院での産後ケアの事例というのは、医療局、保健福祉部、釜石市ともきちっと共有しておりますので、こういった部分を横展開できないかというのは、内部的には協議しているところではございます。
先日、県立病院総合学会というところで、県立釜石病院における産後ケアの現状と課題について、これまでの4年間の実績を助産師さんが報告されていることを知りました。
その中で、本当に素晴らしいことに、アンケートもしっかり取られていて、98%が満足、リピート率55%、予約希望の全てに対応できなくて残念であるという心の内も書かれておりますけれども、ここの中では、栄養士、理学療法士と共同してやることが、高い満足度の評価につながっていくということ、県立病院である釜石病院でやっていることがすごく県の中でもモデルになっているんじゃないかと思っていますので、これまでの委員会でもぜひ県立病院でやっていることをしっかり宿泊型も含めてやっていただきたいと言っておりますが、なかなか「検討する、検討する」という答弁が進まないので大変残念に思っているのですが、請願が採択されたという重みについてはしっかり県当局に感じていただきたいと思っております。
改めて答弁いただきたいと思います。
【企画理事兼保健福祉部長答弁】
昨年12月に請願が全会一致で採択されまして、それを受けてというわけではありませんが、産後ケアに係るアクセス支援などについては、今年度から県としても導入をさせていただいたところでございます。
宿泊型の産後ケア施設については、度々本会議や委員会等でもご質問いただいている部分で、例えば議員から山梨県の事例をご紹介いただきました。
山梨県の事例ですと、県央部に設置をして、全市町村から1時間以内でアクセスできるような地区で、担い手となる施設もあったというような条件があって、できたということもあろうかと思います。
山梨の施設ができて8年が経過していますが、まだなかなか全国的に広がっていないというところもあり、地域の事情とか、アクセスの問題とかがありクリアするべき課題がいろいろあるんだろうというふうに考えております。
ただ、議員からご紹介いただいたとおり、ニーズが非常に高いというというのは、我々も十分認識しておりますので、実施主体である市町村とも十分意見交換しながら、岩手に合った取組とはどのような形であるべきかということについては、不断に検討して取り組みを進めて参りたいと思います。
児童虐待は0歳児が多いということと、産後の自殺が多いということも挙げさせていただきました。
出産してすぐから1年というところで、少しでも身体的、精神的に不安定な部分を軽減していくことが本当に大事だと思っております。
先程、山梨県の事例がなかなか広がっていないとおっしゃっていましたが、全国では逆に医療機関で宿泊型をやっていただけているんですね。そのため、あえて都道府県で宿泊型施設を作る必要がないという現状にあります。岩手は宿泊型がないのですが、他県は逆に宿泊型は多く、選択肢が多い現状ですので、そこは山梨県の取組が広がらないという意味では捉えておりません。色々なやり方があるというのはその通りですので、ぜひ釜石病院の件も含めて早急に、何とか進めていただきたいと思っております。
(4) 仕事と家庭の両立支援について
本県の令和3年度女性活躍推進に関するアンケート調査結果においては、企業における女性活躍を推進する上での課題として、「家事育児介護等の家庭の負担が重い」が55.2%と最も高くなっております。
2017年に、女性の活躍推進促進連携会議において発足した女性の就業促進部会は、今年10月に、特に優先して取り組むべき3つの柱に関する提案書を知事に提出しました。
提案書の中では、家事や育児介護などの負担が女性に偏っていることに加え、活用できる家事代行サービス等の外部サービスの選択肢が少ないなど、外注のハードルが高いことが指摘されており、家事・育児に係る外部サービスの充実、その費用に対する助成制度の創設が提案されています。
11月に開催した県政懇談会は、子育てをテーマに行い、この場でも参加者から家事代行やベビーシッターについての提言があったと伺っております。
今年度から実施している家事育児シェア大作戦での啓発活動も良い取組ではありますが、いわて女性の活躍促進連携会議を所管する環境生活部では、これら提案をどう受け止めているのか、また、女性に偏りがちな家事や育児・介護の負担について、具体的にどう軽減していくのか伺います。
【環境生活部長答弁】
仕事と家庭の両立支援についてでありますが、
県が行った令和5年県民意識調査の結果においても、「共働き世帯の男性の家事時間割合」が女性に対して4割と低い状況となっていることから、今年度から新たに、夫婦や家族が協力して家事・育児を行う意識の醸成を図るため、「家事・育児シェアシート」により、家庭内の負担割合の現状と理想を見える化し、家事シェアについて考えるきっかけとしてもらうこととしたところです。
また、家事自体の負担軽減と最適化にもつなげていくため、シェアシートの普及にあたっては、時短家電の割引や時短便利商品の提供など、企業協賛をいただきながら、社会的な広がりを作っていく啓発キャンペーンを11月に実施したところです。
今後も、シェアシートの活用を通じた意識啓発を継続していきたい考えであり、継続にあたっては「女性の就業促進部会」の提言を踏まえ、家事代行サービスを行う企業等との連携も検討していきたいと考えています。
引き続き、庁内各部局や関係団体等と連携を図り、職場や家庭、地域社会等の様々な場において固定的な性別役割分担意識が解消され、女性に偏っている負担が軽減されるよう取り組んでいきます。
検討していっていただけるということで、知事の県政懇談会でも、「困っている人に支援が届かないのは県行政としても悩んでおり、連携していきたい」ということを、子育て支援の件で参加された家事代行をされている業者さんに対して話されておりましたので、知事もそれについては理解されていると議事録でやり取りを見て思いましたので、期待させていただきたいと思っております。
(5) 生殖補助医療への支援について
国内の出生数は減少を続けて、近年その傾向が顕著になっていますが、一方で生殖補助医療による出生数は増加を続けており、全体の1割に迫る勢いとなっております。不妊の検査・治療の経験がある夫婦は約4.4組に1組といわれています。
令和4年4月から保険適用となった生殖補助医療に対し、本県では、令和5年度より交通費の助成を開始しました。また、独自支援を実施する市町村も少なくありません。
私がヒアリングを行った方の中には、県内から仙台へ年間往復30回以上の通院をされた方もおり、現在の通院回数上限である10回や、市町村基準額の引き上げなどの拡充も今後検討していく必要があるのではと考えております。
不妊治療に対するハードルを感じる方も少なくなく、開始する年齢が35歳以上の割合が高いのが現状で、プレコンセプションケアの一環として、不妊治療を行う前に実施する、保険適用ではない不妊検査に対する助成制度を設けるなど、さらなる支援の拡充が必要と考えております。交通費助成の実績についての評価と課題認識、また、今後の生殖補助医療への支援に係る取組方針を伺います。
【企画理事兼保健福祉部長答弁】
生殖補助医療への支援についてでありますが、
不妊治療のうち、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療は、保険適用となっていますが、診療を行うことができる医療機関は、盛岡市内の2か所のみとなっており、広い県土を有する本県の地理的状況などから、移動に係る受診者の負担軽減を図るため、生殖補助医療を受けた方に対する通院交通費の一部助成を、県独自の支援策として、令和5年度から実施しています。
令和5年度は91件、令和6年度は10月末現在で44件の利用実績があったところであり、年度末実績を確認した上で、事業評価を行うこととしています。
本助成については、県内の専門医や関係者で構成する「岩手県不妊治療協議会」において、実施状況の報告を行っており、本事業を進める中で、保険適用以降の受療動向や不妊専門センターの相談状況等について把握しながら、今後の支援のあり方について検討していきたいと考えております。
お隣の青森県では、今年度から不妊治療費の自己負担分の全額補助を開始されております。こうした取組は、県内でも市町村ががんばって回数制限に対して補助をするとか独自にやられていますけれども、まだ限られていますので、県で様々な支援策を検討していっていただけるとのことですので、どうぞよろしくお願いいたします。
3 多様な学びと居場所づくりについて
(1) 不登校への支援について
2023年度の問題行動・不登校調査結果が公表されました。本県の2023年度の不登校児童生徒は、前年度より17.9%増の3,052人と過去最多になりました。
オンラインフリースクールを運営するSOZOWはこのほど、不登校の小中学生の保護者に実施したアンケート結果を公表しました。こどもが不登校になった際、学校からどんな情報提供を受けたかについて、「情報提供はなかった」との回答が49.7%と半数近くに上りました。
不登校のこどもの数が年々増加する中、仕事を辞めざるを得なかったり、これは5人に1人といわれていますが、精神的に不安定になったりして孤立する保護者もいて、支援が必要であると考えます。
ア フリースクール認定制度等について
山形県等では、一人でも多くの児童生徒やその保護者への支援を目指して、「不登校児童生徒の支援ハンドブック」を作成し、学校だけではなく先生方にも配布、また、リーフレット型の「相談支援ガイド」も作成し、不登校の児童やその保護者へ配布するなどされております。
家庭の経済的な負担軽減となるよう、また、児童生徒や保護者へのフリースクールの周知の意味でも、長野県のようなフリースクール認定制度を創設していただきたいと考えますが御所見を伺います。また、こうした取組を含め、今後はどのような方針で全てのこども達の学びを確保していくのか、新たな支援策はあるのか伺います。
【教育長答弁】
不登校対策は、全国的に、教育支援センター、フリースクール、学びの多様化学校、オンライン活用など、児童生徒一人ひとりに応じた多様な施策が展開されており、長野県では、本年4月に、活動目的、利用児童生徒数、スタッフの資格など、一定の基準を満たすフリースクールを認証する独自の制度を創設したものと承知しています。フリースクールなどの施設については、保護者等に対して、その支援情報の提供が不足しているとの指摘がなされているところであり、文部科学省が策定した「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」いわゆるCOCOLOプランにおいても、早期支援のために、フリースクールなどに関する適切な情報や支援が受けられるようにすることが重要であるとされています。
県教育委員会では、フリースクール等民間団体等との連携を図るため、令和3年度から不登校児童生徒支援連絡会議を設置し、不登校児童生徒の支援に係る課題等について、意見交換や情報共有を行い、会議の内容について各学校に情報提供するとともに、県のホームページに掲載し、情報発信を行っているところです。
また、今年度は、この支援連絡会議が主催となり、7月と11月に「不登校支援フォーラム2024」を開催し、フリースクールの関係者や専門家によるパネルディスカッション、不登校の経験者や保護者による体験談の発表を行うなど情報発信、啓発に取り組んでいるところです。引き続き、児童生徒の学びの場や居場所の確保のため、フリースクール等民間団体との連携を強化しながら、児童生徒や保護者の一層の支援に取り組んでまいります。
新たな支援策は無いという答弁だったと私は理解しましたが、令和3年度から連絡会議をやられて、意見交換会、情報共有、啓発を3年間ずっと続けて、具体策が無いということですか。
【教育長答弁】
令和3年度からこの会議を創設しまして、毎年度、フリースクールや教育支援センターの参加者数が増えておりますし、その中で、単なる会議ではなく、保護者あるいは児童生徒向けのフォーラム等を開催するなど、毎年度工夫を凝らしながら、進化を続けてきていると思いますので、来年度も一層の拡充を図っていきたいというように考えております。
フォーラムの中身の充実を図ってほしいということは、私は一切言っていなくて、支援策を検討してほしいということをずっと言っております。例えば今回のフォーラムの情報は、フリースクールに通っている実際に不登校の当事者の御家庭には届いてなかったというように聞いているのですが、参加者を増やすことばかり一所懸命やっていくのではなくて、支援者のために、不登校の児童生徒と御家庭のために、もっと支援策を検討してほしいということをお伝えしているのですが、そこのフォーラムにいっぱい参加してもらうということを今後もやっていくということでしょうか。
【教育長答弁】
今回のフォーラムの参加者アンケートから、「支援センターやフリースクールがあることを知って良かった。」、「親のせいではないことがわかり、心が少し楽になった。」、「当事者のこども達だけではなく、大人にも胸を打たれる内容でした。」などの感想が寄せられておりまして、こういうフォーラムを継続して展開していく、そして、意識啓発、情報発信をしていこうということは重要な取組ではないかと思っております。
情報共有の仕方についても、他県の事例を取り上げましたけれども、今不登校のこども達は、確かに関心があって、そこに行ってみようと思うかもしれませんが、自分がいつ不登校になるかわからないこどもとその御家庭に対しては、例えば常にハンドブックやリーフレットを作っていると、そういうものがあるということも情報共有の一つとして良い取組になると思っております。なかなか前に進まないので、ぜひ他県のやられているような取組を、フリースクール認定制度までがんばっていただきたいですけれども、そこに至らなくても、情報共有の在り方について工夫してやっている教育委員会はありますので、ぜひもっとやっていただきたいと思っております。
イ 教育支援センター分室について
今年度から設置した県立教育支援センターの県立図書館への分室設置は大変評価しております。
大分県では、県教育センターと県立図書館において、2013年から本県と同様の支援を開始し、見学、調べ学習、職場体験、読み聞かせなど、「日常業務」の中で様々なプログラムも展開しています。また、2016年度からは、「不登校支援図書館活用ハンドブック」を作成し、県内への普及を目的とした事業をスタートし、複数の市町村を対象に、同様の取組ができるよう県が支援をしています。
市町村の教育支援センターの設置に当たっては、ぜひ市町村立図書館への設置を支援し、多様な学びの選択肢を増やしてほしいと考えますが、所見を伺います。
【教育長答弁】
教育支援センターは、学校に登校することが難しい児童生徒にとって学習機会の確保や居場所として大切な役割を担っています。
このため、県教育委員会では、本年4月に、県立図書館内に「ふれあいルーム盛岡」を設置し、不登校児童生徒の多様な学びや居場所の確保と保護者等に対する相談体制の充実、強化を図ってきたところです。
また、県教育委員会では、すべての市町村に教育支援センターが設置されることを目標に、その整備を支援しており、現在27の市町村において整備がなされています。
市町村の教育支援センターは、市町村庁舎の他、公民館等の社会教育施設など、様々な施設を活用して設置されているものと承知しています。
県教育委員会としては、県立図書館内のふれあいルーム盛岡における生徒の支援状況や教育相談の実績などを市町村教育委員会に情報提供するなど、連携・協力して、誰一人取り残されない学びの保障に向けて取り組んでまいります。
県立図書館分室に通っていた生徒の一人で、これまで不登校だった高校生が、図書館に通い先を見つけて、その後に自分の意思で、今の自分の高校ではなくここだったら通えるという学校に編入して、分室を卒業したと聞いております。
どこか一箇所ということではなく、その子に合った居場所を提供できる選択肢を増やしてほしいと考えておりますので、ぜひ市町村に対してもこういう活用の仕方があるということをお伝えいただければと思います。
ウ こども達の居場所の機能の展開について
東京都美術館では、2012年から10年以上実施する「とびらプロジェクト」の取組の中で、「学校がしんどい」と感じるこどもと保護者のためのプログラムを2021年から開始しました。多様なこどもたちに、美術館を「居場所」のひとつとして知ってほしいという願いから生まれた企画で、とても良い取組と考えています。
県立図書館が不登校のこども達の居場所としての機能を発揮していることは、すでに結果として現れており、今後はぜひ本県でも、不登校のこども達の居場所の機能を美術館や博物館へも展開していただきたいと考えますが、ご所見を伺います。
【教育長答弁】
県教育委員会では、県立図書館内のふれあいルーム盛岡における不登校への支援のほか、従前から、県内3か所に設置する青少年の家において、不登校やひきこもり傾向のある児童生徒を対象とした、創作やスポーツなどの様々な体験活動を通じた学習の機会や居場所を提供する事業に取り組んできているところです。
また、美術館や博物館は、学校では体験することが難しい芸術や科学、歴史等に関する豊富な情報の提供が可能な施設であり、様々なプログラム等を用意し、多くの児童生徒を個人又は団体で受け入れており、児童生徒にとっても貴重な存在となっています。
一方で、教育支援センターの設置には、その利便性や受け入れ態勢の整備といった観点からの様々な検討も必要であることから、県立美術館や博物館への展開は将来的な検討課題として、まずは県立図書館内のふれあいルーム盛岡における支援の充実に取り組むこととし、他県の先進事例等の情報収集に取り組んでまいります。
図書館での取組は先程お話しさせていただきましたけれども、美術館、博物館だとこども達が好きな分野があって、まだまだ図書館が今年度始まったばかりですので図書館の機能ということを今後評価していく中で、ぜひ美術館、博物館というところも、実際に東京都の美術館ではやられておりますので、その子の特性に応じた選択肢を増やしていっていただけたらと思っております。
先程、フリースクール認定制度についてお話しさせていただきましたけれども、フリースクールであったり、美術館、博物館であったり、こども達の特性で、選べるところを増やしていきたいと思っての提言ですので、ぜひよろしくお願いいたします。
(2) 本を通じた居場所である図書館への支援について
文化庁の2023年度国語世論調査では、1ヶ月に1冊の本も読まない人が過去最多の6割を超えたことが明らかになりました。若い世代の読書離れが指摘されますが、実際には年代にかかわらず進行する実態があるといいます。
一方で、本に親しむこどもは多いという現状です。2023年度読書状況によると、1ヶ月で1冊以上読んだ小中学生は95%を超え、高校生でも79%。読書が楽しいと思う児童生徒は8割を上回っており、家庭での読み聞かせや学校での読書の時間などの取組の成果と考えています。ただし、量だけでなく質の確保も重要で、こども達の読書意欲を阻害しないよう、学校図書館の図書の選定更新にはしっかり取り組んでいただきたく、今後も注視させていただきたいと思っております。
ア 県立図書館について
文学の国いわてを謳う本県でありますが、県立図書館の資料購入費は全国最低水準になっています。資料購入にかかる過去5年の当初予算額については、東北6県の平均が3千万円台から4千万円台、全国の平均は5千万円台で推移している中、本県は2千万円台で推移しています。
この10年で全国の書店数は約3割減ったと言われており、本県でも同様に書店数が減少、本に出会う機会の創出はもちろん、すべての人の居場所としての機能も果たす図書館の役割は極めて重要と考えています。
県立図書館は、生涯学習推進の中核的な施設として、県内町村の公民館図書室を含むすべての市町村立図書館等と連携・支援を行う必要がありますが、その資料等の購入費の現状は、市町村ニーズに応えるのに十分との認識であるか伺います。また、岩手県図書館協議会に対し、岩手県公立図書館等振興指針を改訂し、岩手県内の図書館に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の方向等を定めることについての諮問もありましたが、今後の方針を伺います。
【教育長答弁】
県立図書館は、県民のニーズに対応したサービスの提供に努めるとともに、市町村立図書館等の支援と連携を図る役割を担っております。
このため、県立図書館は、その運営にあたって「生涯学習推進の中核的な施設」、「県全域に関する資料の専門的な図書館」、「図書館を支援する図書館」などの機能を果たすことを目的に資料収集方針を定め、この方針に基づき収集を行っております。
資料の収集を行うにあたって、購入費の確保は課題でありますが、限られた予算の中で県民及び市町村のニーズに応えるため、利用者や市町村立図書館等から要望があった資料について、優先的な購入に努めているところです。
また、岩手県公立図書館等振興指針につきましては、図書館を取り巻く環境の変化や県内公立図書館の現状と課題を踏まえ、本県の公立図書館の目指すべき方向性を示すよう、今年度から改訂作業を進めてまいります。
今年度から改訂作業を進めていらっしゃるとのことで、県立図書館の資料購入費は、確かに予算は限られている中ではあるとは思いますけれども、全国の中でも最下位だということで、県立図書館には私も何回かお話しを伺ったりしておりますけれども、だいぶ本棚が空いてきている場所もあって、タイトルは違うけれども同種のものを置いてみたりとか、そういった工夫をしていることもお伺いしまして、県立図書館として資料をしっかり持っていただきたいですし、今、市町村にある本屋さんが減っている中で、児童生徒には学校図書館がありますが、図書館という場所で、本に触れる機会を持つことができ、全ての世代の方々が使える資料が豊富にあったら良いなと思っていますので、今後、計画指針の改定も含めてぜひお願いしたいと思っております。
イ 本を通じた居場所づくりについて
県内では、図書館や書店に限らず、読書会の開催、店舗の一角への図書スペースの設置、本を通じた地域イベントの開催など、工夫を凝らした取組が見受けられ、これらは、こどもから大人まで全ての世代に対する本に親しむ環境づくりであるとともに、本を通じた居場所づくりでもあると感じています。
このようなまちライブラリーなど地域と連携することにより、本を通じた居場所づくりを推進していくべきと考えますが、今後の方針を伺います。
【教育長答弁】
本を通じた居場所づくりについてのお尋ねでございますが、県教育委員会では、本県における読書活動の充実を図るため、読み聞かせやお話会を行うボランティア等の資質向上を目的とした研修会を実施し、読書に親しむための環境づくりに資する人材育成に取り組んでいるほか、県立図書館が地域団体等へ図書をまとめて貸し出す「団体貸出」により、図書館以外での読書活動の推進に取り組んでいるところです。
これらのボランティアや地域団体等を支援する取組により、県内の学校や福祉施設、社会教育施設等において読み聞かせやお話会、地域文庫の開設などが行われ、県民の本に触れる場の創出や居場所づくりに寄与しているものと認識しております。
県教育委員会としましては、今後も、市町村と連携しながら、ボランティアや地域団体等の取組を支援し、県民が本に親しむ環境づくりに取り組んでまいります。
本を通じた居場所づくりということで、本というのはこども達だけではなく、全世代を通じての居場所になると思います。大人も、家庭と仕事だけではない第三の場所というところが接点としてあると、幸福度が高まると言われていますので、取組にぜひ支援していっていただきたいと思っております。
4 県庁舎の建替えと景観まちづくりについて
県は、老朽化が進む岩手県庁舎の在り方に関する報告書の素案をまとめました。県庁舎のある内丸地区は、1957年に全国で初めて国、県、市それぞれの公共施設を一つの団地とした「一団地の官公庁施設(内丸団地)として整備されましが、盛岡地方裁判所や岩手県民会館など、どの建物も築50年以上が経過しており、岩手医大の跡地活用も含め、エリアとして一体的な更新が求められています。
盛岡市による(仮称)内丸プランの中間取りまとめにおいては、今後の取組の方向性として、必要に応じて「一団地の官公庁施設」の見直しを検討すること、緑地の設置など、来訪するすべての人がゆとりと潤いを感じられる、居心地の良い空間を創出するためのガイドラインを設けるなど、歩いて楽しむウォーカブルなまちづくりに取り組む、ともあります。
県庁舎の在り方に関する報告書の素案では「改修のみ実施」、「一部建替え」、「全て建替え」の3つの整備案が示されていますが、どの案を採用するかの建物本体の議論のみならず、県産木材の積極的な活用、景観や空間デザイン、町並みなど、エリアとしての一体的な議論を行い、県と盛岡市が共通認識を持って整備すべきであると考えております。
先日、ニューヨークタイムズ紙に盛岡市を選出して下さったクレイグ・モドさんの出版記念イベントが開催されました。内丸周辺に対する熱い想いなども改めて語られ、知事も御出席されました。
(1) 盛岡市庁舎の建替えの影響について
盛岡市庁舎の建替えの議論も同時にされていますが、盛岡市からは県に対してどのような要請があったのかお伺いします。
【ふるさと振興部長答弁】
盛岡市新市庁舎整備審議会からの答申を受けて、盛岡市では、9月議会定例会での説明やパブリックコメントを経て、年内には整備エリアを内丸地区とする新市庁舎整備基本構想が策定される見通しと承知しております。
盛岡市では、検討を進めている「(仮称)内丸プラン」について、土地利用や景観など、エリアの将来像を共有することが重要であるとの認識の下、新市庁舎の用地選定に当たっては、関係者との十分な調整や丁寧な交渉を進めていくこととしており、県と盛岡市は、これまで実務者間で、庁舎の在り方や事業の進捗状況に関する情報共有や意見交換を行ってきたところです。
これを踏まえまして、今般、県に対して、内丸地区内の県管理施設及び県管理用地である「岩手県営内丸駐車場」、「岩手県議会議員会館」及び「内丸緑地」の敷地について、当地区内の再整備を目的とした検討についての協力依頼があったところです。
(2) 県庁舎の建替えと内丸プランについて
県庁舎の建替えについては、(仮称)内丸プランの策定と一体的に議論がされるべきと考えておりますけれども、どのような形で進められているのか。また、これから50年先、100年先を見据えた県庁舎の在り方に係る知事の所見について、内丸地区への想いと併せて伺います。
【知事答弁】
内丸地区は昭和32年に全国で初めて「一団地の官公庁施設」に指定され、以来、本県の行政・経済の中心地として、その社会経済活動を牽引してまいりました。この歴史的背景を踏まえ、50年先、100年先の岩手県庁舎のあるべき姿を展望する必要があると考えます。
盛岡市の「(仮称)内丸プラン」においても、県都の「顔」と言える内丸地区の歴史的背景を重んじ、将来にわたってその活力を維持するための再整備であることが明記されており、県庁舎の整備も同様の方向性で進めております。
現在、「岩手県庁舎の在り方に関する報告書」の取りまとめに向け、有識者懇談会で議論いただいておりますが、その整備手法やコンセプトについては、今後、広く県民の皆様から意見を伺うこととしております。
それらの意見を踏まえた上で、来年度から基本構想・計画の策定に着手いたしますが、街づくりへの貢献という観点も大切にしつつ、将来にわたって県民福祉向上の拠点として、県民に親しまれ愛される庁舎となるよう取り組んでまいります。
先程のふるさと振興部長からの答弁では、盛岡市から内丸駐車場、議員会館、内丸緑地に対しての協力依頼があったということですけれども、ある意味、大分この辺の景観が変わるということですが、知事は県民から意見を伺うということは述べられていますけれども、盛岡市から内丸駐車場、議員会館、内丸緑地を活用させていただきたいという依頼を受けていて、私は盛岡市役所がその辺に移動するというのはなかなか想像がつかないわけですけれども、改めて知事の思いを伺いたいと思います。
県庁舎についてはそのとおりなのですが、そこも含めて、私は本来、盛岡市のことではありますが、県に対して依頼があるということは、もっと広いエリアで、県庁舎をどうするかだけではない議論が必要なのではないかと思いますけれども、改めて伺います。
【知事答弁】
盛岡市が「(仮称)内丸プラン」を策定する過程においても、広く市民の皆さん、県の関係者と、そして全国的に活躍する専門家も招聘し、意見交換しながら進めており、盛岡市の河南公民館だったと記憶しておりますが、そういうシンポジウムの一つに私も盛岡市民の一人として潜り込んで話を聞いたこともありますけれども、やはり広く意見を集めながら、また、専門家の意見、確かその時は盛岡市出身の東大工学部卒で都市計画が専門でやっている学者さんを招いていたと記憶しておりますけれども、そういった専門家の意見を参考に進めていけば、悪いようにはならないのではないかと感じました。
盛岡市の城ができるときも、蒲生氏郷でしたか、豊臣政権の枢要を占める大名の意見も参考にし、そして、三戸、福岡から移るということで、様々地元の人達の考え方も踏まえて、今の内丸の基になるお城や周辺ができたものと思いますので、そういったことも参考にしながら進めていけば良いのではないかと思います。
悪いようにはならないのではないかということですけれども、確かに盛岡市のことではあるのですが、例えば、議員会館だと我々議会側も困りますし、内丸緑地も私個人としては憩いの場であって、私も当初は県庁舎の議論だけで考えていたのですけれども、先程ふるさと振興部長からの御答弁で、盛岡市からの依頼があったということは、もう少しエリア一体として、土地空間、団地としてどうしていくのか、その中で役所機能をどう担保していくのかという視点で、もっと幅広く議論していただきたいと思っております。
令和6年2月定例会
「代表質問」
【質問項目】
-
1.知事の5期目の県政運営について
- (1)県主導型政治への知事の意気込みについて
- (2)若者女性・子どもの声の県政への反映について
- ア 若者女性の声の反映について
- イ 子どもの声の反映について
- (3)インクルーシブな視点に基づく県政運営について
- (4)グローバルな視点に基づく県政運営について
-
2.人口減少対策について
- (1)社会減対策としての男女賃金格差の是正について
- (2)自然減対策としての産後ケアの充実・強化について
- (3)自然減対策としての子どもの遊び場・居場所の整備について
- (4)子育て支援サービスの拡充について
-
3.地域医療・福祉政策について
- (1)知事の目指す地域医療の在り方と県民の意識醸成について
- (2)小児の在宅医療について
- (3)こどもホスピスについて
-
4.教育について
- (1)図書館等を活用した多様な学びと居場所の提供について
- (2)県立高校における県外募集の推進について
-
5.安全安心な地域づくりについて
- (1)福祉避難所と個別避難計画について
いわて新政会の吉田敬子でございます。
会派を代表し、登壇の機会をいただいたことに感謝を申し上げます。
先日、日本を代表する立場におられる方の女性に対する時代錯誤と感じる発言がありました。
政治の中枢で未だにこの状況ならば、真に平等な世界の実現も難しいのではないか、人々の意識がいくら変化しても、政治に携わる人たちの意識が変わらないならば、人々の生きづらさは続くのではないか、そんな残念な気持ちでおります。
人口減少をはじめ、子どもの貧困、児童生徒の不登校、若者の自殺、困難を抱える女性、育児や介護、高齢者の孤立など、山積する課題に対し、スピーディに、かつ丁寧に対応すると同時に、子どもや女性、若者、障がいのある方、高齢者まで、一人ひとりがその声を上げようと思える環境づくりを私は大切にしていきたい。
そんな思いを込め、以下知事に質問いたします。
1.知事の5期目の県政運営について
(1)県主導型政治への知事の意気込みについて
知事は、ブログにおいて定期的にオピニオンを配信されています。昨年10月5日は、「タニタ元社長の、都道府県から日本を再構築する大構想」と題して配信されました。
タニタ元社長は、その著書において、「知事の権限で『地域主導型政治』を実現する」内容を盛り込んでおり、「日本全体を活性化させるため、政府に頼り切る時代はもう終わり。これからの社会に必要なのは『地方の力』」と述べています。
知事も同感され、オピニオンの中で、「都道府県が、より主体性を持って、域内を振興し、国の制度変更の提案をし、日本を再構築すべき時代だと思います」と締めくくっています。
国の方針を待たずとも県主導でやって行くとの意気込みと解釈し、その知事の想いに期待しますが、県政史上最多となる知事の5期目における県主導型の県政運営にかける意気込みを伺います。
知事答弁
吉田敬子議員の御質問にお答え申し上げます。
県政運営への意気込みについてでありますが、タニタ元社長の谷田大輔さんの「地域経済を100倍にする経営戦略」では、日本は弓状に長い国土で、地域によって多様性があり、中央集権の政治でコントロールするのは難しく、経済や福祉、教育などすべての分野において都道府県単位で「土地に合わせた政策」を進めるべきと主張されています。
こうした主張は、内需拡大型の構造改革を行い、強い地方経済に支えられた強い日本経済を実現し、それぞれの地方が地域資源を活用し、その地方らしい豊かさを実現していく姿を目指すことに通じると考えています。
例えば、東日本大震災津波の被災3県知事が、復興構想会議等の委員になり、被災地に必要な施策を制度化するなど、国を動かしてきたことや、新型コロナウイルス対策において、全国知事会と政府が頻繁に意見交換をし、現場をよく知る知事会の総意を国の対策に反映させることにより、地方から日本のコロナ対策を作り上げたことなどは、地方主体の政策立案と実行の実績と考えます。
全国知事会等とも連携して、地方分権・地方創生を更に推進し、県政運営に当たっては、岩手県の底力を引き出して、誰もが生活、仕事、学びに、岩手県をベースにして、希望を持ってお互いに幸福を守り育てることができるよう、オール岩手で県民本位の県政を力強く進めて参ります。
私も買って、読ませていただきました。知事の御答弁をいただきましたので、今後の手腕を注視させていただきたいと思っております。
(2)若者女性・子どもの声の県政への反映について
県政懇談会「いわて幸せ作戦会議」は、参加者の意見を県政に反映させようという趣旨のものだと認識しています。
例えば、令和3年11月に釜石で開催の県政懇談会の参加者の1人、「自然あそび広場にここ」代表の深澤さんは、「森のようちえん・やまほいく」など他県の自然保育の認定制度を例に、「いわての森林づくり県民税」の活用などについて提案されております。それに対し知事は、「森林行政としての自然保育という観点からも検討したいと思います。」とかなり前向きに懇談会では応えられています。
深澤さんの意見はまさに、私が県議会で取り上げている内容とも同じ趣旨の提案でありますが、県政懇談会は、若者・女性が普段感じている重要な視点を、知事自らが直接聞くことができる貴重な場といえます。そこで伺いします。
ア 若者女性の声の反映について
これまで、県政懇談会に参加した若者や女性の声はどう検討し、県政に反映させてきたのか。具体例も交えながらお示し願います。
知事答弁
県政懇談会は、知事が直接、県民から意見・提言を伺い、県政に反映させるものであり、県民の県政への参画と協働を推進することを目的に開催しています。いただいた意見・提言については、全庁で共有し、県としての施策の検討等にあたって参考としています。
懇談会は年間10回程度開催していますが、若者や女性の声としては、県営住宅を活用した「いわてお試し居住体験事業」の期間延長に関する意見を踏まえ、令和6年度から、これまで1年間までとしていた一般枠の入居者の居住期間を2年間までに延長する予定としました。
また、若い世代の働き方が多様化することで、関係人口の増加につながるとの意見について、複数の事業者の連携により年間を通じた仕事を創出する「特定地域づくり事業協同組合」制度の普及促進や関係団体への支援に取り組み、大槌町などで組合が設立されたという例があります。
再質問
確認ですが、政策地域部から全ての各部局に共有しているということでよろしいか、お伺いします。
知事答弁
その通りです。
イ 子どもの声の反映について
令和5年4月施行の「こども基本法」では、地方自治体は、子どもの意見を聴きながら、子どもに関する取組を進めていくこととされています。ぜひ今後は子どもたちとも懇談をして頂きたいと考えていますが、知事の所感をお伺いします。
知事答弁
「こども基本法」では、国及び地方公共団体に対して、「こども施策の策定、実施、評価に当たっては、その対象となるこども等の意見を反映させるために必要な措置を講ずる」こととされており、具体的な手法として、子どもを対象としたアンケートの実施、審議会・懇談会への参画、直接意見を聴く場の設置などが挙げられています。
本県ではこれまで、新たな「岩手県教育振興計画」や「岩手県子どもの幸せ応援計画」の策定に向けた、児童・生徒等対象のオンライン調査を実施しました。また、より広く意見を聞くため、「いわて希望塾」や「いわて若者カフェ」の場で、子どもたちや若者との対話などに取り組んで参りました。
引き続き、県政懇談会も含めて、子どもたちの声を生かす方策について検討し、次代の社会を担う子どもたちの意見の把握と県政への反映に取り組んでいきます。
ありがとうございます。ぜひ子どもたちとの懇談会、私も参加させていただきたいと思っております。
(3)インクルーシブな視点に基づく県政運営について
県は「幸福」を最重要なテーマとして掲げており、これはソーシャル・インクルージョン、誰1人取り残さないをモットーにしていると認識しています。
昨年9月定例会の所信表明で知事は、行政経営について、インクルーシブなどの新たな視点を取り入れていくと発言されました。
インクルーシブの視点は、福祉分野や教育分野などに限定されるものではなく、例えば、公園整備、観光もインクルーシブの視点が重要と思っています。
また、来年度当初予算には、子どもの森の大規模改修や、子どもの遊び場に対する市町村への補助事業が盛り込まれていますが、市町村に対してもインクルーシブの視点を提言していく必要があると考えています。
このように、あらゆる行政分野において、年齢や性別、病気や障がいの有無に関わらず、誰一人取り残さないインクルーシブの視点を前提とした、県政運営を行っていくことが重要と考えていますが、知事の所感を伺います。
知事答弁
「いわて県民計画(2019~2028)」では、「社会的に弱い立場にある方々が、地域や職場、家庭などでのつながりが薄れることによって孤立することのないように社会的包摂、ソーシャル・インクルージョンの観点に立った取組を進める」ことを理念に掲げています。
これまで県立療育センターの開所と県立盛岡となん支援学校の開校、医療的ケアを必要とする在宅の超重症児等を介助する家族の負担軽減などを進めてきました。
令和6年度当初予算案においても、福祉・消費生活分野における相談支援の充実に向けて、福祉総合相談センターと県民生活センターの整備に係る予算を盛り込んでおります。
さらに、10の政策分野の推進にあたり、分野毎に「みんなで取り組みたいこと」として、高齢者や障がい者をはじめとした多様な方々の参画・活躍の方向を盛り込んでおり、あらゆる分野において、ソーシャル・インクルージョンの観点に立った取組を進めて参ります。
知事の答弁を踏まえて、私自身も今任期において、あらゆる分野で各部局に対し、インクルーシブの視点を追求させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
(4)グローバルな視点に基づく県政運営について
ニューヨークタイムズ紙が発表した「2023年に行くべき52ヵ所」に盛岡市が選出され、今後は、評価して頂いた岩手の個性や特色ある街並みや文化伝統を守っていくことも重要と考えています。
一方で、知事は、令和5年9月定例会の所信表明で「これからの4年間は、岩手の価値や魅力を全国、海外の人と共有するため、世界に打って出るとき」と言及されておりますが、グローバルな視点に基づく県政運営に加えて、私は特に、次代を担う若者へのグローバルな視点の育成こそが大事だと考えています。
外交官出身の知事だからこそ、その重要性は十分理解されているはずであり、積極的に取り組んでいただきたいと考えています。知事5期目において、若者のグローバル人材育成に向けた新たな取組があるのか伺います。
知事答弁
グローバル人材の育成は極めて重要であり、次代を担う若者が国際的な視野で地域社会を支え、新たな活力を生み出すことが期待されます。
県では、青少年の海外派遣、外国人講師等とのワークショップを通じた英語力の向上、「いわてグローカル人材育成推進協議会」による大学生の留学支援などを実施してまいりました。また、コロナ禍を契機に、海外で活躍する本県出身者による青少年向けのオンライン講演会も開始いたしました。
今年度は、高校生の海外派遣研修を4年ぶりに再開し、国際機関等の訪問、ホームステイや学校訪問など、実際に海外の人々と触れ合うことで、参加者からは、海外への関心が一層高まり、将来、国際的な職業に就きたいと思うようになった、などの声が寄せられております。
国際交流の再開により、昨年秋に代表団が来県したドイツ・ラインラント・プファルツ州から、学生交流についての打診や、高校生が北米派遣で訪問した世界銀行から、グローバルキャリア形成を考える機会の提案など、新たな交流の契機が生まれていまして、こうした様々な世界との新たな繋がりも生かし、グローバル人材の育成について更に検討してまいります。
グローバル人材育成ですが、対象が30歳以下の学生になっているわけですね。若者というと、盛岡市では39歳以下としているのですけれども、学生までではなくて20代、30代の若者や法人も含めたグローバル育成に努めてもらいたいと思います。
先程知事からは、さらに拡大していきたいということでいただきましたので、注視させていただきたいと思っております。
2.人口減少対策について
政府は新たな少子化対策を進めることとしておりますが、若者は果たしてどう評価しているだろうか。将来に希望が持てるだろうか。若者にとって魅力ある職場や創出拡大、自らの就労で経済基盤を安定させるための支援に加え、長時間労働の慣行や、女性に偏る家事育児負担を変えていくことが重要と考えています。
(1)社会減対策としての男女賃金格差の是正について
就学就職期の若者、特に女性の県外流出が顕著です。若者が残らない・戻らない原因としては、東京圏との賃金差や地元に希望する職がないことが挙げられ、特に女性は閉塞感を感じているとの調査結果もあります。
女性や若者にとって魅力ある職場づくりや起業・スタートアップ支援、賃上げへの補助、お試し居住体験など、良い取組は見られますが、男女の賃金格差の是正の取組も重要と考えています。
男女賃金格差は、平成30年の76.6%から、令和4年は78%へと若干縮小してはいるが、管理職の少なさや非正規の多さ、また、格差が少ないのは福祉など女性が多い職種に限られる傾向にあるなど課題は多くあります。
男女の賃金格差の課題認識と今後の取組方針についてお伺いします。また、どんな職場や職種が女性に魅力ある職場と考えるか知事の所見を伺います。
知事答弁
家事や育児に費やす時間の男女間の隔たりが大きいため、短時間勤務や非正規を選択せざるを得なくなることや、アンコンシャス・バイアス等を背景に女性の管理職登用が進まないことなどが大きな要因となって、男女間の賃金格差を生じさせております。このような状況を改善していくことが重要であります。
令和6年度当初予算案においては、新たに男女が協力して家事・育児を行う意識醸成を図る取組を盛り込んでおり、女性の管理職や総合職への登用を拡大するため、「いわて女性活躍エグゼクティブアドバイザー」による経営者層への働きかけなども行っていくこととしております。
また、女性がデジタル分野において即戦力として活躍できるよう、そのスキル取得のためのキャリア形成支援の強化も図っており、これらの取組を通じて、女性が、それぞれのライフステージやライフスタイルに応じた柔軟で働きやすい職場環境のもとで、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事につくことができる岩手の実現を図ってまいります。
魅力的な職場を「具体的にここ」というようにはなかなか言えないと思いますが、例えば来年度、岩手県はアパレル産業の新規事業がありますけれども、そういうアートとか、アパレルを含めて、デザインに関係するものというのは若者にとっての魅力の一つだと思っていますので、そういった業種に特化して、岩手はアパレル産業にすごく力を入れていますから、魅力を作っていただきたいと思いますし、先程、福井議員が賃上げを取り上げておりましたけれども、私は男女の賃金格差をいかに縮小していくかが、流出した女性が戻ってくるきっかけにつながると思いますので、そこを力強く推し進めていただきたいと思っております。
(2)自然減対策としての産後ケアの充実・強化について
今、社会減について取り上げましたが、自然減対策としまして、知事は先日県内の産科診療所を訪問され、産後ケアの取組を視察されました。産後ケアの重要性を痛感されたとご感想を述べていましたが、12月定例会において、宿泊型産後ケアの整備など、産後ケアの充実強化を求める請願が県議会で採択されたことも踏まえ、産後ケアの充実・強化に係る今後の取組方針を伺います。
知事答弁
県では、全ての市町村での産後ケア事業の実施を目標に掲げ、産後ケア利用料の無償化に対する補助や産後ケア事業の事例集の作成・配布などを通じ、市町村の取組を支援してきており、産後ケア事業を実施する市町村は32まで拡大いたしました。
一方で、市町村によって対象となる産婦等の利用度や、宿泊型やデイサービス型など実施するサービス類型に差異が見られます。委託先となる産科医療機関や助産師等の人材の確保のしにくさや、産婦の数が少ない小規模市町村における単独での事業実施の難しさなどが要因にあると考えています。
県では、令和6年度当初予算案において、産後ケアの更なる利用促進のため、市町村が実施する、産後ケア利用時の子どもの一時預かりや交通費の支援に要する経費への補助、産後ケアに係る人材確保のため、県内の助産師の活用促進支援などの事業を盛り込んだところです。
また、宿泊型産後ケアの拡充については、それぞれの地域の実情に応じた事業が展開できるよう、事業の具体化に向けて、連携が必要となる医療機関や民間事業者、助産師など地域の関係者と議論を進めていきます。
再質問
確認ですが、宿泊型産後ケア施設に関する請願が県議会で採択されたことも踏まえて、今後、その施設を作っていけるかどうかという議論に入るということでよろしいですか。
知事答弁
県内には、宿泊型の産後ケア事業の在り方を模索し、検討を行っている地域があり、実施に向けては、整備費も含めた設備や人員の確保、利用者確保のための広域利用の在り方などが課題となっております。
広大な県土を有する本県において、宿泊を伴う広域利用型のケアセンターを設置することについては、その利用人数や助産師等専門人材の確保などの課題がありますことから、市町村の意向や他県等の事例も参考にしながら検討する必要があると考えております。
なかなか、やるとかやらないとか御答弁は難しいのかもしれませんけれども、宿泊型産後ケア施設の整備に関して、県議会で請願が採択されて、県議会としても必要であるということでありますので、「検討して」ということですが、脆弱な周産期医療だからこその産後ケア事業があるべきだということを、私自身、環境福祉委員会の中でも議論させていただいておりまして、産後ケアだけではなくて、周産期医療とセットで検討を進める段階ということでやっていただきたいと思っております。
請願が採択されたということは、ぜひしっかり受け止めていただきたいと思っております。
(3)自然減対策としての子どもの遊び場・居場所の整備について
昨年12月に山形県を視察させていただきました。山形市に令和4年4月に開館したシェルターインクルーシブプレイスコパルという場所がありますが、とても素晴らしい子どもの遊び場と感じました。屋内には大型木製遊具をはじめ学びの個室や体育館もあり、子どもだけでなくおじいちゃんおばあちゃんも一緒に体をめいっぱい動かしている印象でした。地産地消の軽食も提供されており、屋外にはインクルーシブ遊具も設置されています。無料駐車場も300台完備されていて、利便性も優れています。
このような施設は山形県内各市町村に充実されていました。新年度、子どもの遊び場への助成に乗り出して頂くこととしており感謝しておりますが、予算額からすると小規模なものかなと想定しております。
全国に比較して岩手県は肥満傾向にある児童生徒が多く、食事や運動不足が原因と見られています。屋外での遊びはもちろんですが、雪の降る冬場や夏の暑さ対策も含めて季節や天候関係なく思いっきり遊べる屋内施設も県内には必要と考えています。
子どもだけでなく多世代が交流し遊べる場所が重要と考えますが、県内の子どもの遊び場や居場所の整備についての今後の方針を伺います。
知事答弁
今年度行った子育て世代との意見交換や、少子化要因の分析において、行政に求める子育て支援策として、天候に左右されずに、子どもが気軽に遊べる場所に対するニーズが高いことが明らかとなりました。
子育て支援策の更なる充実のためには、県内の各地域において、子どもたちがのびのびと遊び過ごせる環境づくりを進めることが重要でありますが、新たに大型施設を整備する場合、整備費用やその後の維持管理経費など財政的な課題もあり、整備にも時間を要するところです。
こうしたことから、子育て世代のニーズに迅速に対応し、悪天候時や冬期間においても未就学児などが安心して遊ぶことができる遊び場を確保するため、県では、令和6年度当初予算案において、市町村が実施する、既存の公共施設や民間施設を活用した遊び場整備に対する補助事業を盛り込んだところです。
住民同士の交流の場となっている公共施設や、多くの住民が利用するショッピングセンターなど、子どもから高齢者まで幅広い世代が集まる施設に遊び場を整備することにより、世代間交流の活性化も期待されることから、市町村と連携し、このような施設への遊び場整備を促進していきます。
市町村に対する補助は大変ありがたいことと思っております。先程、知事の答弁で未就学児という話がありましたけれども、私が行ったコパルという場所は、高校生まで体育館を使ったりして結構遊んでいて、未就学児だけではなく、もう少し幅広く、小学生も元気に活動できるような場所が必要だと私は思っておりますので、新たな事業をやっていただきながら、今後さらなる拡大を是非検討いただきたいと思っております。
(4)子育て支援サービスの拡充について
子育てと家族の介護が重なるダブルケアは、毎日新聞の独自の分析によると30〜40代の働く世代が9割を占め、離職を迫られる人も少なくなく、社会を支える現役世代により重い負担が生じています。そのうち女性が全体の7割と、偏っているのが現実です。
県では在宅育児支援金を創設しましたが、現金給付型だけでなくシッターや家事育児代行などのサービス給付型も重要で、ひとり親家庭や地元に親族のいない家庭を前提に、良質で安価な育児や介護のケアサービスへの選択肢を増やして頂きたいと思っています。
知事からはこれまで、「現在実施している事業の効果や課題等を検証しながら、施策の一層の充実を図っていきます。」と答弁いただいておりますが、同じような答弁が10年くらい続いているように感じます。子育て支援サービスの拡充について、これまでの検討がどう反映されるのか、今後の具体的方針をお示しいただきたいです。
知事答弁
県では、これまで、子育て家庭の多様な保育ニーズに対応するため、市町村が実施する延長保育や一時預かり、病児保育、ファミリー・サポート・センター事業等の取組を促進してまいりました。
地域で子どもの預かり等を行うファミリー・サポート・センター事業については、隣接の市町村と共同で実施する事例もあり、現在、16市町村、14か所と拡大してきました。その他の市町村においても、「子育て応援ヘルパー事業」を実施する等、独自のサービスに取り組んでいるところです。
今年度の人口問題対策本部会議における検討結果を踏まえ、子育て支援サービスについては、子育て家庭に身近な市町村が地域の実情に応じた少子化対策に取り組めるよう、令和6年度当初予算案において、県が専門家等と連携し伴走型支援を実施する、地域課題分析型少子化対策支援事業などの事業を盛り込んだところです。
県としては、家庭の状況に応じて多様なサービスを選択できるよう、国のベビーシッター派遣事業や既存の子育て支援サービスの情報提供等に努めるほか、少子化対策に向けた新たな市町村支援事業の活用を促すことにより、地域における子育て支援サービスの充実を後押ししてまいります。
先程ベビーシッターの話がありましたけども、国の施策として、ベビーシッターの派遣は拡充していただけるみたいですが、これというのは岩手県ではほとんど活用されていなくて、首都圏での利用がほとんどであります。
独自に県でそれを担える人材を育てながら、また、首都圏では、都道府県ごとにベビーシッターや家事育児代替の自治体からの補助も、例えば東京都でもされていますし、県内では陸前高田市や八幡平市など、先程知事答弁もありましたけれども、ヘルパーの補助が行える自治体も増えてはきましたが、まだまだ少数であります。
ぜひ、私たち子育て世代としては、育児だけではなく、やはり介護とのダブルケアという部分で、外部に少しでもサポートしてもらえる環境を作っていきたいという人達がたくさんいらして、使いたい人はたくさんいらっしゃいます。
サービスを選択できるような地域づくりに努めていただきたいと思っておりますので、もう少し研究を重ねていただきたいと思っております。
3.地域医療・福祉政策について
(1)知事の目指す地域医療の在り方と県民の意識醸成について
産科・小児科医をはじめとした慢性的な医師不足、医師の地域偏在に加え、今年4月から始まる医師の時間外・休日労働時間の上限規制、いわゆる医師の働き方改革、来年度の県立病院の赤字予算案と、本県の医療を取り巻く環境は厳しさを増しており、医療体制の維持に向けた県のさらなる取組の強化が重要となります。
また、知事が初当選された翌年の平成20年10月、「県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議」を設立し、自らの健康は自分で守るとの認識や相互に信頼できる「かかりつけ医」を持つこと、症状や医療機関の役割分担に応じて受診することを県民に求めています。
県民運動が始まって16年になります。先月1月には県民みんなで支える岩手の地域医療推進大会があり、私も参加させていただきました。知事は「県民の7割が診療所を受診しているとアンケートで回答。県民全体で意識醸成が図られている」と述べている。令和2年3月には、国の「上手な医療のかかり方アワード」の自治体部門で岩手県が優秀賞受賞とのことでありますが、実際には県民のどの程度がかかりつけ医を持っているのか疑問にも感じています。
知事の課題認識と目指す本県の地域医療の姿について所見を伺います。また、県民の意識醸成をどのように図っていくのかお伺いします。
知事答弁
本県では、平成20年度から、県内の産学官の関係団体が参画する「県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議」を設立して、「みんなの力を医療の力に」をスローガンにして、県民総参加型の地域医療体制づくりを進めてまいりました。
本年4月からの医師の時間外・休日労働時間の上限規制開始に向けて、各病院において、勤務環境改善計画に基づいたタスク・シフト等の取組によって、医師の負担軽減を推進しているほか、宿日直許可の取得や一部の病院が上限時間の特例を受けることなどの対策を講じています。
本県では、奨学金による養成により、県内の医師数は着実に増加しているものの、医師不足・偏在が課題となっておりますので、かかりつけ医の重要性や医療機関の役割分担に応じた適正受診について、さらに理解を深め、限りある医療資源を守っていく県民一人ひとりの取組が必要です。
先月「県民みんなで支える岩手の地域医療推進大会」を実施し、国の「上手な医療のかかり方プロジェクト」の大使であるデーモン閣下とともに、かかりつけ医を持つことによる医師の負担軽減の重要性を発信いたしました。
今後も、県民が居住する地域で、必要な時に適切な医療が受けられる地域医療体制を確保・維持していくため、今般新たに制作した広報動画等による県民の意識醸成を図るなど、推進大会で県民に呼び掛けた「かかりつけ医と働き方改革・医療を守る二刀流」を進めて参ります。
(2)小児の在宅医療について
少子高齢化、人口減少社会の中、県民の命と健康を守る医療や介護を充実させるための施策として在宅医療の推進は重要です。
在宅医療というと、高齢者のイメージが強いですが、必要とされているのは高齢者だけではありません。近年、我が国の周産期医療レベルは世界的に最高水準となり、周産期死亡率は低下し、超早産児や重症新生児の救命率も改善されました。
生命予後が改善する一方、気管切開・人工呼吸器や経管栄養などの医療的ケアを必要とする在宅療養児が年々増え、県内の医療的ケア児は253人いらっしゃいます。
来年度から県は在宅医療の支援を強化する方針ですが、超高齢社会に備えて高齢者を対象とする在宅医療の整備が進められてきた一方で、医療依存度の高い小児や、障がい・病気のある小児を対象とした在宅医療の体制や地域資源は十分とは言えません。利用可能な社会資源は乏しく、保護者、特に母親に過大な負担がかかっているのが現状です。
医療的ケア児支援センターの設置から1年、コーディネーターや看護師等の養成、レスパイト機能の確保など、在宅での療養・療育を支援するため、小児在宅医療の提供体制の整備をどのように行うのかが課題です。
本県の小児在宅医療の現状や特徴、医療依存度の高い小児や、障がい・病気のある小児が地域で暮らすことの意義を踏まえつつ、そのために本県に必要なケアや家族支援の在り方について取組方針を伺います。
知事答弁
小児在宅医療の提供体制については、県の周産期・小児医療協議会の構成員からもその強化が必要であるという意見をいただいており、現在策定中の次期保健医療計画で小児医療分野の重点施策に位置付けているところです。
県内の重症心身障がい児や医療的ケア児の多くは自宅で生活しており、日常的に介護や医療が必要な小児とその家族が、居住する地域に関わらず適切な支援を受けながら生活するためには、地域における小児在宅医療提供体制を充実させていく必要があります。
県ではこれまで、訪問看護師を対象とした研修による人材育成や短期入所受入施設の拡充、地域支援体制の整備に取り組んでまいりました。
令和6年度当初予算案には、これら取組に加え、新たに地域で医療的ケア児等の支援を担う市町村などの体制強化に向け、医療関係者で構成するスーパーバイズチームを設置するための経費を盛り込んだところであります。
関係機関と緊密に連携しながら、日常的に介護や医療が必要な小児とその家族が地域で安心して暮らすための支援を充実させてまいります。
子どもが高齢者と異なるのは、成長していくことです。保育園に行く時期があったり、学校に行く時期があったり、ライフステージが劇的に変化する中で、成長するにしたがって関わる支援者の職種も多くなっていきます。
新しく来年度も色々な支援策をやっていっていただけるとのことでありますけれども、在宅医療の小児の部分はやはり高齢者のイメージとは全く違う、段階によって様々な支援策も必要となりますので、レスパイト機能もまだまだ少ない現状ですし、取組を強化していっていただきたいと思っています。
(3)こどもホスピスについて
小児がんなどの命に関わる重い病気と闘う子どもたちは全国に2万人いるとされています。長期間の入院や治療などで制限のある生活を余儀なくされる一方、成長や発達を地域で支援する体制は十分とはいえず、家族が心理的に孤立してしまうことも課題となっています。
命に関わる重い病気や障がいのある子どもと家族が安心して過ごせる「ホスピス」というものがあります。「ホスピス」と言うと主に高齢者医療の領域で、「苦痛を和らげるために緩和医療を行いながら、人生の終末期を穏やかに過ごす場所」として知られていますが、「こどもホスピス」は、生命にかかわる病気の子どもたち、LTCと呼ばれていますが、そういった子どもたちを中心に、慢性疾患や障がいのある子どもたちとその御家族みんなの輝き合える時間を共有したいと言う思いで活動が続けられております。そうした活動はいま全国に広がり、岩手県内でも昨年末に団体が立ち上がりました。子どもなら当たり前に経験できるものを提供し、病児が生きている「今」を豊かにする場所が「こどもホスピス」です。
「こどもホスピス」については、こども家庭庁が、成育医療等基本方針に基づき、今年度初めての実態調査を行っている段階ではありますが、本県の生命にかかわる病気の子どもたちの実態をどう把握し、必要性をどう考えているか知事の所見を伺います。
知事答弁
こどもホスピスに関しては、現在、法令等に基づく施設の定義はありませんが、令和5年3月に閣議決定された、成育基本法に基づく「成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針」において、いわゆる「こどもホスピス」などの、小児がんの患者や小児慢性特定疾病を抱える児童等が家族や友人等と安心して過ごすことができる環境の整備について検討を進めるとされています。
生命に関わる病気と闘うことは、子ども自身にとっても、家族にとっても大変なことであり、諸外国や国内において蓄積されつつある新たな知見を活用しながら、より良い環境のもとで日々を過ごしていくことが必要であると考えています。
現在、国において、実態調査が行われており、その調査結果を踏まえ、課題を把握した上で、必要な支援を検討するとされておりますが、県としても、必要な対応を検討してまいります。
岩手県でも団体が活動を始めたばかりで、私も活動に参加させていただいておりますが、子育て世代をはじめ、こういうホスピスというものが県になかったのをびっくりしたという声を聞いております。
子どもなら本来当たり前に受けられる色々な体験をできる「こどもホスピス」というのは、海外では、特に欧米の方では当たり前にありますので、まだまだこども家庭庁の方でも調査という段階でありますけれども、今後、それを注視しながら、岩手県でも積極的に取り組んでいただきたいと思っております。
4.教育について
子どもの生活環境、情報環境は大きく変化しておりますが、子どもにとって自然体験、多くの友だちとのあそび体験はいつの時代にも必要だと思っています。私が子どもの頃にはまだ自由な時間と空間があったように思います。いま、そのような遊び環境が少ないと感じています。子どもを閉じこもらせない、追い詰めない空間や環境、子どもを解放する時間、空間、コミュニティなど、地域も学校ももっと子どもの心や体を解放できる環境に変えていかねばならないと考えています。不登校や引きこもり、自殺が顕著な日本社会、そんな困難な時代を乗り切る力を子ども達には身につけてほしいと思っておりますし、それは大人の責任であると思っております。
(1)図書館等を活用した多様な学びと居場所の提供について
不登校児童生徒が増加する中、来年度から県教育支援センターの分室を県立図書館内に開設する新たな取組をスタートします。学校図書館の環境整備と合わせて、県立図書館との連携をさらに期待しています。
他の社会教育施設なども同様に、自然体験・野外活動や、芸術や文化などの学びも提供できると良いのではないかと考えております。
児童生徒に対し、誰一人取り残すことなく、図書館など学校以外の場所や地域において、多様な学びと居場所を提供する意義について、知事の所見を伺います。
知事答弁
県教育委員会では、児童生徒に寄り添った教育を推進し、誰一人取り残されない学びを実現していくため、魅力ある学校づくりに加え、図書館をはじめとした社会教育施設等を活用した多様な学びの場や居場所の確保に取り組んでいるところであり、こうした取組は重要であると考えています。
今後、県内各地域の社会教育施設等においても、児童生徒の多様な学びの場や居場所としての活用が図られ、学校・家庭・地域・行政が一体となって、様々な学びや体験活動を支援することによって、一人ひとりの可能性を伸ばし、岩手の未来の担い手として育んでいくことを期待いたします。
今回、県が図書館にこういった不登校の児童生徒の居場所を設けようとしたことはとても意義のあることだと思っております。
でも図書館だけではなく、例えば美術館だったり、博物館だったり、そういった場所も子どもたちの居場所としては良いのではないかと思いますし、ホームスパンなどの体験についても、授業の一環とするなど、今後は出来る限り様々な支援策をぜひ拡げていっていただきたいと思っておりますが、今後、教育委員会とも議論させていただきたいと思います。
(2)県立高校における県外募集の推進について
公立高校の入学試験の志願状況が発表されました。県立高校の全日制の志願倍率は平均で0.8倍と、昨年を下回り過去最低となりました。
少子化が進む中で、県内各地の高校は県外からの生徒を受け入れる「いわて留学」に力を注いでおり、令和5年度は9校計25人の入学実績となっています。
前任期の教育こども政策調査特別委員会で、島根県の一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームさんから「高校の魅力化」について伺いました。島根県は平成22年から「しまね留学」を開始し、コーディネーターの配置の効果もあり、県外からの入学者数は平成22年度の54人から令和5年度は215人にまで増加したと聞いております。
令和6年度の入試では、13校でいわて留学による募集を行なっているとのことであるが、学校の活性化や魅力発信、入学者の確保にもつながる施策であり、県として一層推進していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
知事答弁
県教育委員会では、中学校卒業予定者数の減少等を踏まえ、県内生徒の学ぶ機会の確保を前提としつつ、平成27年度から葛巻高校で県外生徒の受入れを始め、その後、順次拡大し、近年の入学実績は、令和3年度3校19人、令和4年度8校31人、令和5年度9校25人となっています。
県外募集の情報発信はインターネットも活用し、今年度から、県外募集を「いわて留学」と銘打って情報発信しています。
実施校においては、県外から入学した生徒と県内生徒が共に学ぶことにより、互いに刺激し合い切磋琢磨するなど、教育的効果も高いことから、引き続き県立高校の魅力やいわて留学に関する効果的な情報発信を行い、市町村等と連携しながら「いわて留学」の一層の推進に取り組むことを期待しています。
5.安全安心な地域づくりについて
1月1日発生の能登半島地震、避難所の状況を報道で見るたび、東日本大震災の教訓は全国へ一体どこまで生かされているのだろうかと歯痒い思いと同時に、女性や妊産婦、乳幼児、高齢者や障がい者等へ配慮された本県の支援態勢の点検も急務だと痛感させられました。
(1)福祉避難所と個別避難計画について
東日本大震災では、犠牲者の過半数を高齢者が占め、また、障がい者の犠牲者の割合についても、被災住民全体のそれと比較して2倍以上に上ったといわれています。
高齢者、障がい者、妊産婦や乳幼児など、要配慮者やその家族が避難できる福祉避難所について、昨年5月時点で県内に398箇所ありますが、災害対策基本法に基づき市町村が指定しているのは97箇所にとどまっています。市町村のばらつきもありますが、設置状況、各市町村の受入対象者の把握状況など、現状課題と今後の取組を伺います。
また、令和3年に市町村の作成が努力義務になった個別避難計画の作成率は県内20.3%という状況です。その向上に向けた今後の取組についても併せて伺います。
知事答弁
市町村では、福祉避難所として社会福祉施設の活用を積極的に進めていますが、一部地域では福祉施設等に限りがあることから、県では、市町村を直接訪問し、旅館等の宿泊施設の活用や、避難所運営に従事する人材の確保などを助言してまいりました。
関係機関等と連携しながら、身近な地域で福祉避難所が確保されるよう市町村に働きかけてまいります。
個別避難計画については、高齢者や障がい者等の円滑かつ迅速な避難の確保を図るとともに、福祉避難所で受け入れるべき対象者の把握を進めるためにも、作成を一層促進していくことが必要であります。
県では、希望する市町村にアドバイザーを派遣し、地域ぐるみによる計画作成などを助言してきており、計画の作成件数が支援前の2件から205件と大幅に増加した市町村もあったところであります。
今後は、こうした取組事例を市町村と共有して、全県で計画作成が進むよう取り組んでまいります。
再質問
社会の強さは、最も豊かな人たちが持つ富の多さではなく、最も弱い立場の人たちの幸福によって計られるものと私は思っております。是非、命を大切にした県政運営に取り組んでいただきたいと思っております。
また、花巻東高校野球部の佐々木麟太郎選手がスタンフォード大学へ進学が決まりました。菊池雄星選手、大谷翔平選手とはまた違う新たな道を切り拓いていくことに対して、エールを送りたいと思っております。
目標を達成したからといって、目的が達成されたわけではないというのが佐々木監督の言葉ですが、ぜひ目的に向けて県政運営に努めていただくようお願いいたしますが、最後に知事の意気込みをお伺いします。
知事答弁
佐々木麟太郎さんの決断というのは、また見たことのない景色を岩手県民に見せてくれるなという、そういう期待を抱かせるものであります。若い皆さんががんばる、ますますそれが可能になる、よりやりやすくなる、そういう環境を岩手の中に作っていかなければならないというように思うところであります。
世界が岩手を読んでいる、世界が岩手を求めている、そういう時代になっておりますので、県民と力を合わせて、そこにどんどん行きたいと思っております。
