議会質疑・答弁
Parliament
- 令和7年
- 12月定例会「一般質問」
令和7年12月定例会
「一般質問」
【質問項目】
-
1.ジェンダーギャップの解消について
- (1)課題認識と取組の評価について
- (2)いわて未来づくり機構の知事の認識と評価について
- (3)盛岡商工会議所会頭の再任に対する評価と期待について
- (4)企業への働きかけとこれまでの取組について
- (5)いわて男女共同参画プランについて
2.こども若者及び子育て施策について
- (1)こどもの遊び場について
- (2)産後ケアについて
- (3)妊産婦の居場所支援について
- (4)家事育児介護等の負担軽減策について
3.教育施策について
- (1)幼保小連携について
- (2)教育にかかる負担軽減策について
- (3)不登校支援について
- (4)内申書の出席日数の取扱いについて
- (5)小規模校での多様な学びの提供について
4.文化芸術の振興について
- (1)幼児期における文化芸術の推進について
- (2)ミュージアム連携について
5.いわての森林づくり県民税について
- (1)木育・森林環境教育について
- (2)森林公園について
6.ツキノワグマ対策について
- (1)緊急的対策の評価について
- (2)学校における対策について
いわて新政会の吉田敬子です。
私が、いわて盛岡にUターンしてちょうど20年になりました。故郷の豊かさや故郷への強い想い、と同時に感じた生きづらさ、すなわち閉塞感は今なお解消されず、正直限界と言いたくなるほどの相当の危機感となっています。『誰かがやらなくては何も変わらない!』と立候補し、結婚妊娠出産を経ながら議員の多様なあり方を模索し続け15年。先輩同僚議員の皆さまはじめ多くの方々のご理解とご支援に心から感謝し、順次質問いたします。
1 ジェンダーギャップの解消について
2025年の県民意識調査で、今の生活に不満を感じる県民の割合が過去10年で最多の36.9%に達した。長引く物価高騰や社会情勢の不安定さの影響が推察される中で、私と同世代の40代50代の働き盛り世代の自殺も深刻な課題となっており、県民の「生きにくさ」を「生きやすさ」に変えられていない、知事の政治手腕が問われる喫緊の課題。
この「生きにくさ」の背景の一つには、若年女性の流出の大きな要因とされる「固定的な性別役割分担意識」などのアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)が根深く存在する。このバイアスこそが、女性が能力を発揮しにくい環境と、魅力的な就職先の不足を生み出している。
女性活躍推進に関する2024年度の調査結果において、女性管理職の割合は22.0%と横ばいで、登用されない理由の最多が「必要な知識や経験、判断力などを有する女性がいない」(56.9%)であり、これこそが「能力不足」という名のもとで行われるアンコンシャス・バイアスだと私は考える。
また、「社会全体で男性が優遇されている」との意識が69.5%と依然として高く、共同通信社が主要企業女性役員に行なったアンケートでは、「男性の意識が旧態依然としている」「昭和感覚」といった閉鎖的な企業体質への警鐘が鳴らされている。
さらには、女性活躍をはばむ課題として、「家事育児介護など家庭の負担」(55.6%)が常に高いまま推移していることからも、個人の努力ではなく社会構造全体に問題があり、「若者女性に選ばれるいわて」を実現するためには有効かつ迅速な対策を講じる必要がある。
(1) 課題認識と取組の評価について
いわて未来づくり機構では、2025年1月に「若者女性に選ばれるいわて宣言」を実施。今年7月に総会&第1回ラウンドテーブルを開催した。共同代表でもあるパネリストからは、『意識改革はすぐには難しい』『自分たちの世代の意識を変えるのは時間がかかる、時間がほしい』などの危機感が薄いとも取れる発言があった。しかし、岩手県にそのような時間の猶予はあるのだろうか。
こうした指導的立場にある層の意識と、早急な変化を求める現状との認識のズレを私は感じたが、知事はどう受け止めたのか。これまでのジェンダーギャップ解消の取組の評価と覚悟を合わせて伺う。
【知事答弁】
(担当部局:政策企画部)
吉田敬子議員の御質問にお答え申し上げます。
ジェンダーギャップの解消に向けた課題認識等についてでありますが、本年度第1回目のいわて未来づくり機構ラウンドテーブルでは、メンバーから、
・ アンコンシャス・バイアスへの理解を深め、固定的な考えにとらわれない意識改革を進める必要がある
・ 固定観念を一度に払しょくすることは難しいため、まずは意識改革から始めたい
・ 女性活躍のためには企業風土の変革が不可欠であり、トップ自ら率先して意識を浸透させる努力が求められる
などの発言がありました。
このディスカッションを通じて、無意識の思い込みを直ちに改めることの難しさを認識しつつも、意識改革の必要性を喫緊の課題として受け止め、ジェンダーギャップの解消に向け取り組んでいくという姿勢が示されたものと受け止めています。
これまで、本県では、ジェンダーギャップの解消に向けて、
・ 経営者などを対象とした講演会・研修会の開催
・ 働きやすい職場環境の整備
・ 家事・育児シェアシートの普及
・ 「いわてグラフ」への特集記事掲載や県政番組の制作・放映
などに取り組んでいるところです。
こうした取組により、経済界をはじめ様々な主体へ取組機運が広がっていますが、地域社会全体のより一層の理解促進と行動変容につなげていくためには、更なる機運醸成や中長期的な取組の継続・深化が必要であると考えております。
引き続き、いわて女性の活躍促進連携会議やいわて未来づくり機構など関係団体等と連携し、こうした官民の取組を更に加速し、オール岩手で、ジェンダーギャップの解消に取り組んでまいります。
(2) いわて未来づくり機構の知事の認識と評価について
知事の「マニフェスト+39」には、「いわて未来づくり機構」を県のシンクタンクにすることが掲げられている。シンクタンクは、政治、経済、科学技術などの幅広い分野での客観的な調査・研究・分析、そして政策提言が求められる。現状で、機構は具体的にどのような県政課題について、政策提言を知事や県に提示し、それが県政に反映されていると評価しているのか。
また、知事が機構に期待するシンクタンク機能とするため、今後どのようなテコ入れを行うのか、方針を伺う。
【知事答弁】
(担当部局:政策企画部)
委員御指摘の、あるパネリストリストが意識改革はすぐには難しいと発言したという指摘は、正確には、「固定観念を一度に払しょくすることはすぐには難しいため、まずは意識改革から始めたい」という発言のことだと思いますけれども、そこにも危機意識は表れていると思います。
いわて未来づくり機構は、県内の経済団体や大学など官民の多様な団体がネットワークを構築し、地域社会の発展に向けてオール岩手で取り組み、実践していくことを目的に設置されました。産学官のトップから構成されるラウンドテーブルでは、アンコンシャス・バイアスやウェルビーイング、デジタルトランスフォーメーション、地域経済の成長など、岩手の新たな課題について、有識者を招き、新たな知見を共有しながら、発展の方向性について議論するとともに、東日本大震災津波や新型コロナウイルス感染症など、喫緊のテーマに関する共同宣言を行って、産学官それぞれの行動を促してまいりました。
加えて、連携・協働による調査研究や事業の企画、実践等を行う作業部会を設け、これまで震災からの産業復興や復興教育、子育て支援、地域での見守り活動、地域公共交通、岩手発の科学技術の普及促進、地域を支える人材育成など、本県が抱える様々な分野の具体的な課題について調査研究と実践を進め、ラウンドテーブルにおいて報告や意見交換を行っています。
また、いわて未来づくり機構では、令和5年からの第4フェーズの目標であります「デジタル化やカーボンニュートラルを推進し、持続可能で人口減少に負けない岩手」の実現に向け、令和6年度に「地域人材育成作業部会」「少子化対策支援作業部会」を設置し、今年度から県内で活躍する若者や女性がラウンドテーブルに参加する「いわて未来枠」を設けるなど、新しい新機軸にも取り組んでおります。
いわて未来づくり機構が、本県の産学官の智慧と行動力を結集するためのネットワークとして、本県の地域社会の総合的な発展に向けて、オール岩手で取り組み、具体的に実践していけるよう、構成団体と連携し、取り組んでまいります。
(3) 盛岡商工会議所会頭の再任に対する評価と期待について
盛岡商工会議所の会頭がこの度5期目に再任された。盛岡商工会議所の会頭が慣例的に県の商工会議所連合会の会長に就くことになっていて、いずれも5期務めるのは歴代で初めてとのこと。現会頭は、県空港利用促進協議会長、県観光協会理事長など県内の主要な団体の要職も務められている。5期目に対して、知事はどう受け止め何を期待しているか。
【知事答弁】
(担当部局:商工労働観光部)
盛岡商工会議所会頭の再任に対する評価と期待についてでありますが、
県内の中小企業・小規模事業者を取り巻く経営環境は、グリーントランスフォーメーション、デジタルトランスフォーメーションへの対応や起業、スタートアップ及び事業承継支援、災害時の支援など、対応すべき課題が複雑化、多様化しており、盛岡商工会議所をはじめとする商工指導団体が果たすべき役割が非常に重要となっている中、谷村会頭のこれまでの団体運営の手腕と経験が必要とされ、再任されたものと受け止めております。
谷村会頭のもと、盛岡商工会議所は、これまで、東日本大震災津波からの復興の推進や、新型コロナウイルス感染症の拡大時、また昨今のエネルギー価格・物価高騰や賃上げ対応などの厳しい状況における中小企業の伴走支援など、県内経済の牽引役として、中心的な役割を果たしています。
また、産学官が連携したILCの東北への誘致や、世界遺産平泉をはじめとする観光振興など、県全体の発展に向けた活動を積極的に展開しています。
盛岡商工会議所は、県内の商工指導団体をリードしていく存在でありますことから、引き続き幅広い分野における重要なパートナーとして連携してまいります。
(4) 企業への働きかけとこれまでの取組について
若い女性の流出は、「まちの存続の危機」であるとともに、「事業所の存続の危機」でもある。ジェンダーギャップ解消の取組として全国的にも注目が集まる兵庫県豊岡市の中貝元市長は、『地元経済界の重鎮でもある商工会議所会頭のコミットがその後、まち全体のジェンダーギャップ解消戦略に向けた全面展開への大きな成功ポイントになった』、『若い女性が豊岡に帰ってこないのは経済界の姿勢にもある』と指摘したことで、商工会議所会頭が「自分たちが行動しなければならない!」とスイッチが入ったという。
幸いにも、本県では岩手県商工会議所連合会会長がいわて未来づくり機構の共同代表を務めている。知事は、この好機を捉え、経済界全体への危機感の共有を図り、企業での取組を強化すべきと考えるが、知事のご所見を伺う。これまでの企業への取組評価、今後の方向性も合わせて伺う。
【知事答弁】
(担当部局:環境生活部)
本県の進学・就職期における若者・女性の転出の背景として、地方における固定的性別役割分担意識やアンコンシャス・バイアスの存在が指摘されており、人口減少や人手不足の観点からも、経済団体と危機感を共有し、企業と連携した取組を推進することが重要であります。
県では、官民連携組織である「いわて女性の活躍促進連携会議」を通じて、アンコンシャス・バイアスの専門家による経営者の意識改革に向けた講演会の開催や、柔軟な働き方の導入に向けた環境整備への支援など、企業におけるジェンダーギャップの解消に取り組んでいます。
これらの取組により、「えるぼし認定企業」や「いわて女性活躍認定企業」、「いわて働き方改革推進運動参加事業者」が増加しており、各企業では女性管理職の登用拡大や性別に関わらない育児・介護休暇の取得促進等の取組が進められています。
また、連携会議を構成する19の団体では、講演会や研修の開催による意識啓発や育児休暇後の職場復帰の支援、女性管理職の登用割合の設定など、全ての団体において女性活躍やジェンダー平等の実現に向けた多様な取組を展開しています。
引き続き、連携会議やいわて未来づくり機構を構成する関係団体等と連携したジェンダーギャップ解消の取組を進め、若者や女性が働きやすい・暮らしやすい「選ばれる岩手」を目指してまいります。
(5) いわて男女共同参画プランについて
次期いわて男女共同参画プランについて、固定的な性別役割分担意識の解消とアンコンシャス・バイアスの理解の促進を重点施策に盛り込んだことは評価するが、これまでの質疑で指摘したことも踏まえ、新年度の具体的な施策につながるよう期待する。
パートナーシップ制度について、全国の7割の33都府県で制度導入済みだが、岩手県はなぜ導入できないのか伺う。
また、県が2019年度に作成した婚活支援冊子「いわてでステキな出会い叶えるbook」に、女性はスカートやワンピースを着て上品に可憐に等と書かれてあるのに対し、「性別による役割の押し付けだ」と批判が殺到、10月末削除した。県行政の中にジェンダー意識が浸透していない証拠ではないか。担当である環境生活部の所感を伺う。
【環境生活部長答弁】
(担当部局:環境生活部)
パートナーシップ制度についてでございますが、県では、令和5年3月に「パートナーシップ制度の導入に関する指針」を策定し、県内市町村における制度導入を促進するとともに、自治体間の連携を推進し相互利用の円滑化を図ってきたほか、性の多様性に関するセミナーを開催し、制度の導入を後押ししてきたところでございます。
その結果、本年4月に4市が新たに制度を導入し、現時点で15市町が導入済みとなり、今後、3市町が導入予定、導入を視野に検討中の市町村も複数あると承知をしております。
また、渋谷区と認定NPO法人虹色ダイバーシティの共同調査によりますと、本県県内でパートナーシップが成立した件数は、本年5月末時点で累計36件と、東北では最も多い件数となっております。
パートナーシップ制度を実効性のあるものにしていくためには、住民に身近な基礎自治体である市町村で制度の導入が進むことが重要と考えられますことから、引き続き、市町村における制度導入を支援するとともに、県全体での更なる制度普及に向けて、他の都道府県の状況も調査・研究しながら、多様なパートナーシップの関係にある人々が制度を利用できる環境づくりを進めてまいります。
次に、県行政におけるジェンダー視点の確保についてでありますが、婚活支援冊子「いわてでステキな出会い叶えるBook」は、婚活に取り組む方の参考として、保健福祉部において令和元年度に作成されたものであり、今回、SNSを中心に、特定の女性像の押しつけではないかという御意見があるものと承知しております。
現在、県では、ジェンダーギャップ解消を進めるため全庁を挙げて様々な取組を行っているところでありますが、今後ジェンダー視点を確保した施策が立案されるよう、次期「いわて男女共同参画プラン」に掲げる理念等について、県組織内においても改めて浸透を図ってまいります。
2 こども若者及び子育て施策について
(1) こどもの遊び場について
ア 子どもの遊び場整備事業について
昨年度開始した子どもの遊び場整備事業は、昨年度は大船渡市と遠野市で、今年度は陸前高田市と釜石市で整備を予定している。遠野市のTOMOKのような成果は評価するが、乳幼児から小学校低学年中心となりがちで、小学校高学年から中学生も満足に遊べる施設の不足が課題だと感じている。より充実した施設整備を可能にするため、県補助1千万円上限の中で、広域自治体による共同整備の後押しをすべきと考える。
また、現在、盛岡市と協定を結んだ民間が資金調達する形で整備を進めているが、これは県補助の対象外となるとのこと。目指す方向性が同じであれば、民間活力も引き出すなど各自治体の実情に合わせた補助制度に柔軟に見直すお考えはないか。さらに、せめて「小学校高学年まで満足できる遊び場」など対象年齢を明確な目標とし、その実現のための予算措置も見直していくことも必要かと考えるが、県の取組の評価と課題、今後の方向性を伺う。
【企画理事兼保健福祉部長 答弁】
(担当部局:保健福祉部)
子どもの遊び場整備事業についてでありますが、県が令和6年度から進めている遊び場の整備に係る市町村への補助については、子育て世帯の声を踏まえ、身近な遊び場の整備を迅速に進めるため、既存の公共施設や民間施設を活用した遊び場整備を市町村と連携して進めているものであります。
この補助事業を活用して、令和6年度は大船渡市の「DACCO」、遠野市の「TOMOK」が設置され、これまでに大船渡市の「DACCO」では、開設以来のべ6万人以上、遠野市の「TOMOK」ではのべ4万人以上に利用され、未就学児を中心に多くの子どもたちに遊びの場を提供しているほか、賑わいの創出や地域の交流の場にもつながっているものと認識しています。
このように、未就学の子どもに対する遊び場の整備は進んでいるものの、議員御指摘の小中学生の遊び場については、昨今の夏の猛暑やクマの出没などにより遊びの場が制限されている状況があると承知しています。
子どもの遊び場の整備については、令和6年度からは国がこども・子育て支援事業債を創設し、遊び場整備にも活用可能となっているほか、民間が主導で遊び場を整備している事例もあり、自治体や民間の創意工夫により様々な形で整備が可能であることから、他自治体の事例も参考にしながら研究してまいります。
イ 部局横断による取組について
旧県営野球場の跡地活用のサウンディング調査では、こどもの遊び場への活用というアイデアも示された。また、農林水産部による屋内木育施の整備、県土整備部によるインクルーシブ遊具・公園の推進と、各部局で単独の取組が先行している。今後、老朽化に伴い県営体育施設の再整備が予定されているが、この機会を逃さず、子どもの遊び場施設を併設することも検討していく必要があると考える(青森市総合体育館を環境福祉委員会で視察。大人気のキッズエリアがあった)。全国には、道の駅やこども科学館と統合新設するなど、戦略的に工夫され魅力的な大型屋内施設が多数ある。
知事のマニフェストにも「子どもの居場所・遊び場づくり」とあり、今年度サウンディング調査を実施したいわて子どもの森だけでなく県としてこどもの遊び場(屋内屋外)の課題やあり方を部局横断的に議論共有し、今後の方向性を示していただきたいが所感を伺う。
【企画理事兼保健福祉部長 答弁】
(担当部局:保健福祉部)
こどもの遊び場の整備に係る部局横断による取組についてでありますが、子どもの心身の健やかな成長のためには、遊びを通じて心身の健康を増進し、情緒を豊かにすることが大切であることから、県では、「いわて子どもの森」や、放課後の居場所を提供する放課後児童クラブ、放課後子ども教室の一層の充実を図るとともに、市町村等と連携し、子どもたちが屋内・屋外でのびのびと遊び過ごせる環境づくりを推進しているところです。
先ほども答弁申し上げましたとおり、子どもの遊び場の整備については、様々な整備の方法があるものと考えており、議員御指摘のとおり子どもの遊び場に関する施策を実施している部局が複数あることから、今後は、関係する部局と情報共有や意見交換を行いながら、子どもの遊び場に関する課題や在り方を研究してまいります。
(2) 子育て施策について
ア 産後ケアについて
9月定例会の一般質問や決算特別委員会では、「宿泊型のみならずデイサービス型の拡充にも両輪で取り組むことが必要と考え、専門人材の確保・育成に係る支援の強化を図るとともに、引き続き、宿泊型の実施を希望する市町村と連携し、受け皿となりうる施設との調整や助産師の紹介を行う等、市町村が目指す産後ケアの実現に向けて、丁寧な調整・支援に取り組む」との答弁であった。
(ア) 宿泊型の拡充と専門人材の確保育成について
デイサービス型と宿泊型を「両輪で取り組む」とのことだが、どのようなスケジュール感で宿泊型の導入を支援するつもりなのか。具体的な目標やロードマップをお示し願う。
また、専門人材の確保育成について、県は2024年度から、県看護協会に「助産師活躍コーディネーター」を配置し調整等を実施している。助産師なら誰でも産後ケアを担える訳ではなく、産後ケアの質を担保するために、過去に実施したように継続的な研修制度を設けるべきと考えるが所見を伺う。
【企画理事兼保健福祉部長 答弁】
(担当部局:保健福祉部)
本年7月に市町村と開催をいたしました「産後ケア事業あり方会議」において、宿泊型の新規での実施やデイサービス型の拡充に向けた共通の課題として、専門人材や受け皿となる施設の確保等が挙げられたところであります。
現時点では、こうした課題について、実施主体である市町村と丁寧な議論が必要でありますことから、県の支援に係る具体的な目標やロードマップをお示しできる段階には至っておりませんけれども、実施を希望する市町村や関係機関と調整を進めているところでございます。
また、産後ケア人材の確保育成については、市町村による産後ケア事業の導入を支援するため、平成29年度から令和元年度にかけて、産後ケア人材の育成研修を実施してまいりましたが、その後、母子保健法の改正により、市町村による産後ケア事業の実施が努力義務とされたことを踏まえ、現在は、産後ケアを含めた助産師の資質向上を図る研修や復職支援に取り組むとともに、助産師が産後ケアをはじめとする多様な分野で活躍できる機運の醸成を目的としたセミナーを開催しているところでございます。
今年度、セミナー参加者を対象に実施したアンケートでは、乳児や出産後の女性に対するフィジカルアセスメントやメンタルヘルス等の産後ケア研修へのニーズが高かったことから、今後、産後ケアに従事する助産師等を対象に、産後ケアに必要な知識や技術の習得を支援する研修の継続的な実施について検討してまいります。
(イ) 施設確保に向けた具体的支援策について
また、施設確保が課題とのことだが、新たなハコモノを建設する必要はなく、医療機関だけでなく、地域のホテルや旅館を産後ケアの受け皿として活用するモデルを県が主導して構築すべきではないか。宿泊施設側の理解促進や、設備改修への助成、市町村とのマッチングをより積極的に行うべきと考えるが、具体的な支援策を伺う。
【企画理事兼保健福祉部長 答弁】
(担当部局:保健福祉部)
産科医療機関が限られている本県において、旅館等の既存施設の活用は有効であると認識しており、これまでも、実施を希望する市町村からの相談に応じ、二戸市では、県が県立二戸病院からの助産師派遣調整を行い、市内の温泉施設等を活用したデイサービス型の拡充を支援するなど、地域資源を活用した事業の実施を支援してきたところであります。
本年7月に開催をいたしました「産後ケア事業あり方会議」においては、夜間の見守り体制の課題などから、宿泊施設を活用した宿泊型産後ケアの実施について、具体的な検討に至っている市町村はなかったところですございますが、いずれの市町村においても、産後の母子が必要な時に支援が受けられる環境の整備が最も重要であるとの認識の下、産後ケア事業も含めた、切れ目のない支援体制の構築に努めているところであります。
県としては、実施主体である市町村の考え方や意見を十分に踏まえながら、これまで同様、実施を希望する市町村と連携し、妊産婦の方々が身近な地域できめ細かなサービスを継続的に受けられるよう、市町村の目指す産後ケアの実現に向けまして、宿泊型を含め、産後ケア体制の支援のあり方について検討を進めてまいります。
(ウ) 県立病院における産後ケアについて
これまでも提言している県立病院における産後ケアについて、釜石病院、二戸病院、大船渡病院の展開をさらに広げていただきたい。地域に産後ケアを実施する機関が少ないなど、地域のニーズに応じて県立病院が対応できる場合、産後ケアを実施しているとのこと、盛岡市で産後ケアは実施されているが3ヶ月の予約待ちの状況。実施している機関があったとしても中央病院など県立病院において実施できるよう体制整備をしてもらいたいと考えるが県の考えを伺う。
【医療局長 答弁】
(担当部局:医療局)
県立病院における産後ケアにつきましては、議員から紹介がありましたとおり、釜石病院に加え、今年度から二戸病院や大船渡病院で実施し、地域に産後ケアを実施する医療機関が無いなど、地域のニーズに応じ、診療に影響がないかたちで産後ケアを実施しているところです。
一方で、県立病院は地域周産期母子医療センターとして、周産期に係る比較的高度な医療の提供や救急搬送の受入れに対応するなど、安全な分娩を提供する役割も担っているところであります。
県立病院の分娩件数は減少傾向にはありますが、限られた人員の中で夜勤などの体制維持に努めているところであり、産後ケアの拡充につきましては、安全な分娩を提供するための体制整備とあわせ引き続き検討してまいります。
(エ) 議論の状況について
県内の分娩可能施設が9市町20施設と年々減少し続けている状況は、母子の命と健康を守る周産期医療体制にとって極めて深刻である。
この危機的状況に対し、岩手県保健医療計画(2024-2029)の策定時にも、周産期医療と産後ケアは一体的に取り組むべきと強く提言してきた。
これは、産科医・助産師等で構成される岩手県小児周産期医療協議会でも重要性が繰り返し指摘されてきた。保健医療計画策定後は、協議会や部会でどのような議論がされているのか。
【企画理事兼保健福祉部長 答弁】
(担当部局:保健福祉部)
小児や周産期医療に従事する機関で構成されます、岩手県周産期・小児医療協議会や周産期医療体制等検討部会におきましては、現保健医療計画の策定に当たりまして、周産期医療の充実に向けた施策の一つとして、産後ケアの取組の方向性についても計画に盛り込むことなどについて議論を行ったところであります。
計画策定後の具体的な産後ケア事業の導入促進に当たりましては、実施主体である市町村が参画し、議論を深めていく必要があると考えております。
このため、これまでも市町村との「産後ケア事業あり方会議」での議論や、産婦人科医会や助産師会など関係団体と個別に情報共有し、意見交換を行ってきたところでありますが、現在、県、市町村、産婦人科医会や助産師会等が一堂に会し、意見交換を行う場を年度内に開催する方向で、調整を進めているところであります。
こうした意見交換の場を通じて、市町村が目指す産後ケアの実現に向けて検討していくとともに、周産期・小児医療協議会とも情報共有を図りながら、取組を推進してまいります。
イ 妊産婦の居場所支援(母子を守る取組)について
妊娠中では20~24歳が、産後では40~44歳の自殺死亡率が最も高くなっているとの調査結果が示されている。児童虐待相談対応件数は増加傾向で2023年度は過去最多の2,992件。死亡事例の約7割が0歳児となっており、育児の負担や孤立、予期せぬ妊娠などが背景にあり、母子を守る上で重要な時期と考える。
2024年12月定例会において、岩手県における困難を抱える妊産婦に対する支援の充実・強化を求める請願が全会一致で採択された。請願では、特定妊婦に対して居場所の提供も含めた支援の充実について求めている。
にんしんSOSいわて等の相談体制は確立してきているが、移転新設予定の母子生活支援施設かつら荘が妊婦から利用できるよう盛岡市と運用に関して調整すべきであるし、広い県土で1つではなく複数施設が必要と考えるが所見と今後の方向性を伺う。
【企画理事兼保健福祉部長 答弁】
(担当部局:保健福祉部)
母子生活支援施設は、児童福祉法に基づき、配偶者のない女性又は夫がいてもDVなどにより生活を共にすることが困難な女性とそのこどもを入所の対象とした施設であり、県内では盛岡市立かつら荘1カ所が設置されています。
施設の設置者である盛岡市からは、法に基づき、単身の妊婦は受け入れておらず、また、現状の施設は旧基準の建物であるため、産後の母子の生活には適した環境ではなく、産婦と乳児の受入れは行っていませんが、かつら荘は今後移転新築を控えており、移転後は、母子生活支援施設として適切な環境の整備を進め、産婦と乳児の受入れも行う予定と聞いているところです。
また、複数施設の必要性については、今年度から県の委託により実施しているにんしんSOSいわての一時的な居場所支援の利用状況も見ながら、女性支援に関係する行政や民間団体で構成する「岩手県困難な問題を抱える女性への支援等連絡協議会」の場などを活用して、妊娠から出産までの切れ目のない支援体制の構築に向けて、市町村や関係機関とともに研究していきたいと考えております。
ウ 産前産後サポート/家事代行ベビーシッターへの補助について
県は、家事育児シェアシートによる啓発(見える化)を実施しているが、具体策を講じる段階だとこれまでも提言している。家事代行サービスやベビーシッターサービスは、費用負担の面などから利用者が限られているものの、その利用を促すことは、家事育児を女性や母親が担うべきだという意識から解放していくことにもつながるものと私は考えている。
産前産後サポートとして家事代行やベビーシッター利用料への助成をしている市町村もあるが、女性のキャリア継続や男性の育児参加を促すためにも、産前産後の最も負荷が高い時期だけでも先行して、県全体で統一的に支援を拡充することが不可欠と考える。家事育児の負担が女性に大きく偏っている現状を具体的にどう変えようとしているのか、家事代行サービス、ベビーシッターへの補助について、県の考えを伺う。
【企画理事兼保健福祉部長 答弁】
(担当部局:保健福祉部)
家事代行サービスやベビーシッターへの補助についてでありますが、議員御指摘のとおり、現状では依然として女性の家事育児負担が大きい状況と認識しておりますが、家事育児負担の大きさは、長時間労働などの働き方の問題とも関連することから、総合的な仕事と子育ての両立支援策の整備に向けて取り組むことが重要であり、行政による支援とあわせて、企業における支援策の充実が必要と考えています。
また、ベビーシッターの利用については、「安全」と「質」に関する不安の声があることから、今般、国の新たな総合経済対策の中に、「安全で質の高い」ベビーシッターを利用しやすくするため、安全に関する基準に適合するベビーシッターの情報提供等を行うプラットフォームの構築が盛り込まれています。
県では、こうした国の動向を踏まえながら、議員御指摘の補助制度も含め、支援のあり方を研究するとともに、総合的な仕事と子育ての両立支援策の整備を進めるため、企業における目標や対策を定めた「一般事業主行動計画」の策定促進に係る働きかけや支援を強化していく考えであります。
3 教育施策について
(1) 幼保小の架け橋プログラムと幼児教育センターの取組について
文科省が「生涯にわたる学びの基盤を作るための重要な時期」とする5歳児から小学校1年生の2年間への支援強化は不可欠と考える。就学前健診では見えにくい言語能力、社会性などを個別チェックする5歳児健診について、引き続き全市町村での実施に向けた支援強化を要望する。
また、幼児期教育と小学校教育の円滑な接続が求められる中、2025年度の「架け橋期のカリキュラム」を作成している市町村は予定含めて29、幼児教育アドバイザーの配置は10市町村15名だが、どのように運用されているかが重要と考える。
2022年に設置されたいわて幼児教育センターは、この「幼保小の架け橋」を担う中核組織であるが、センターの機能が十分に果たされているか、この幼保小接続の現状と課題をどう捉え、今後どのように改善する考えか、所見を伺う。
【教育長 答弁】
(担当部局:教育委員会)
いわて幼児教育センターは、「幼保小の架け橋」の中核として、幼児教育及び小学校教育の教員等を対象とした研修の提供や、園や学校を中心とした関係機関の連携の促進に取り組んでおります。こうした取組により、幼児教育と小学校教育の双方の学びへの理解が着実に進んでいると捉えております。
一方で、幼児教育と小学校教育をつなぐ「架け橋期のカリキュラム」の整備を終えているのは12市町村であり、このカリキュラムの整備促進とカリキュラムに基づいた取組の充実が課題であると認識しております。
このため、県教育委員会としては、今後、各市町村のカリキュラム作成の伴走支援や、研修・実践交流の場の充実に取り組み、市町村、園、学校と一体となって、幼児教育の学びが小学校教育へ円滑につながるよう努めてまいります。
(2) 教育にかかる負担軽減策について
内閣府「インターネットによる子育て費用に関する調査」によると、中学卒業までに約1,900万円、高校卒業までに約2,400万円が必要と推計されている。20年前と比較すると、中学卒業までに必要となる費用は、約350万円〜550万円程度増加、10年前からも約150万円〜210万円増加していると推計される。
高校授業料の無償化はありがたい施策だが、子育て費用の増加分の多くは、授業料以外の通学費、昼食費、教材費、制服、部活動費などの日々の負担である。例えば近年、保護者の負担軽減のため、小学校の算数セットの備品化を検討する自治体が増えている。一時的な行政負担増があっても、長期的に「子育てを支える県」として費用対効果は高いと考える。
家庭の賃金は殆ど変わらず、教育費は高騰する中、家庭における教育費の負担をどう軽減するか、ぜひ考えてほしいが県の所感を伺う。
【教育長 答弁】
(担当部局:教育委員会)
県教育委員会では、国の財源等を活用し、授業料の支援を行う高等学校就学支援金や、授業料以外の教育費の支援を行う奨学のための給付金の支給などを行っているところです。
また、令和4年度から食材高騰に伴う県立学校の学校給食費の値上げ分について支援を行うなど、保護者の経済的負担の軽減を図っているところです。
義務教育に係る教育費の負担軽減についても、各市町村における就学援助が適切に実施されるよう必要な助言等を行っているほか、今般の物価高を受け、令和7年6月に文部科学省の通知により示された教材の学校備品化、制服・体操服の契約の見直しなどの工夫事例について、各市町村へ周知したところであります。
県教育委員会としましては、教育費の負担軽減について、これまでも、国に対し、安定した財源を確保することや、物価高騰への支援策を継続的に講じるよう要望を行っており、引き続き、学びの環境の充実が図られるよう努めてまいります。
(3) 不登校支援について
ア 今後の方針について
本県の不登校児童生徒は前年度比9.8%増の3,351人と過去最多となり、別室登校や欠席を繰り返す児童生徒を含めれば、不安やつらさを抱えた子どもはさらに深刻な数に上る。
不登校対策として、県は市町村教育支援センターの設置支援(27市町村)や、校内支援センターの整備(小学校61.6%、中学校87.2%)を進めている。その一方で、岩手県不登校支援ポータルサイトの情報アクセス性の低さ、2021年度に不登校児童生徒支援連絡会議を設置し6年、不登校支援フォーラムを開催し、県内の不登校の現状や各市町村などの支援内容を知る機会にはなるが、対象者設定の曖昧さを私は感じており、既存施策の限界なのではないか。
全国で多様な施策が展開される中、最も困っている当事者の子どもたちや保護者への直接的な支援、特に経済的負担軽減策が求められている。昨年の一般質問でも提言した通り、長野県のフリースクール認証制度などを参考に、本県においても、環境生活部の若者の居場所支援をフリースクールへ拡充し、県が認証するフリースクールへ運営費補助を行うことで、子どもや保護者の経済的負担軽減を図る取り組みを検討すべきだ。
不登校問題の深刻化を食い止めるため、県は、既存の啓発的な支援から、フリースクール認証制度と運営補助という当事者へ直接届く経済的支援等へと、支援の主軸を戦略的に転換するべきと考えるが、本県の不登校支援の今後の方針を伺う。
【教育長 答弁】
(担当部局:教育委員会)
県教育委員会では、只今議員からご紹介がありました通り、これまで市町村の校内外教育支援センターの設置・拡充、フリースクール等民間団体との連絡会議やフォーラムの開催などに取り組んできたところであり、今年度は、新たに支援ガイドの作成やポータルサイトの構築に取り組んできているところです。
今般、文部科学省から不登校児童生徒への支援について、改めて、学校及びその設置者において取り組むべき内容が通知され、都道府県教育委員会においては、域内の教育委員会や関係機関、フリースクールなどの協議結果を踏まえて、校内教育支援センターの設置支援や、市町村の不登校児童生徒への支援方策の調整等の役割を果たすことが示されたところです。
県教育委員会としましては、この通知をふまえ、引き続き、市町村教育委員会や関係機関、フリースクール等の民間団体との連携強化を図りながら、児童生徒や保護者への一層の支援に取り組んでまいります。
一方、フリースクールへの支援に関しては、国に対して、不登校児童生徒が利用する民間の団体及び施設への経済的支援のあり方について、フリースクールの定義、フリースクール等への補助の考え方や方法、評価基準、補助額等の統一的な見解や財政措置を含め、速やかに検討し、必要な措置を講ずるよう要望しているところです。
フリースクールにつきましては、その活動目的や活動内容等、個々に状況を見ていく必要があると考えており、必要な支援のあり方やどのような支援が可能かなど、国の動向や他県の取組を注視してまいります。
イ オンラインによる学びの提供について
不登校の小中学生がオンライン教材で自宅学習すると、一定の要件を満たせば、学校長の判断で出席扱いにできる。制度は20年も前の2005年から運用が始まり、一人一台端末のデジタル環境が整う中、昨年度の県内の状況は、小学校18名、中学校27名と全体の1.7%に過ぎない。学校等から児童生徒や保護者等への情報提供も十分でないのではないか。
他県では、さらに進んだオンラインを活用した不登校支援を開始。千葉県は、県内小中学生に向けたオンライン授業を配信、埼玉県は、市町村が学習支援を、県が相談支援を担当し、博物館等と連携したオンライン体験活動もあり充実している。このようなメタバース教育支援センターを設置している自治体が増えている。
オンラインを活用した学びの提供を早急に進めるべきと考えるが、所見を伺う。
【教育長 答弁】
(担当部局:教育委員会)
不登校による学習の遅れなどが学校への復帰の不安につながる場合もあることから、オンラインによる学びの提供により、学習等に対する意欲やその成果を認めることは、自己肯定感を高め、学校への復帰や社会的自立を支援することにつながります。
県教育委員会の調査によりますと、指導要録上の出席扱いに限らず不登校児童生徒に対してオンラインによる学びの提供を行った実績がある学校を有する市町村は、30市町村あることを把握しております。
具体的には、1人1台端末を利用して、小中学校において、校内教育支援センターにいる児童生徒に対し、教室の授業のライブ配信や、ドリル教材を活用した学習支援を行う等の取組が行われております。
また、県立高校におきましても、自宅や校内の別室にいる生徒に対し、オンラインで授業の配信を行うなど、不登校児童生徒に対する学びの提供に取り組んでおります。
引き続き、市町村教育委員会と連携して、1人1台端末を効果的に活用し、オンライン授業を配信するなどにより、不登校児童生徒の教育機会の確保に取り組んでまいります。
ウ 内申書の出欠日数の取扱いについて
県立高校の入試で使う調査書(内申書)の出欠日数欄をなくす動きが全国で広がっている。不登校生徒への配慮でもある。2027年度入試までに4割に当たる19都道府県でなくなるとのこと。
2023年度以降は、不登校の生徒の教育機会確保の観点から、在籍中学の出席状況だけで不利に扱わないようにと国は具体的に通知しているとのことだが、本県の不登校生徒の評定の取り扱いは実際どのようになっているか。地域や学校ごとなのか。調査書の出欠日数欄の削除について今後の方向性を伺う。
【教育長 答弁】
(担当部局:教育委員会)
調査書には、学年ごとに各教科の評定、授業日数、欠席日数及び欠席理由等が記載されており、各中学校が受検生それぞれの調査書を作成し、出願時に高校に提出します。
この欠席日数、欠席理由については、選抜に用いず合否に影響しませんが、高校では、入学にあたっての生徒理解や支援を行うため必要な情報と捉えているところです。
県教育委員会としましては、調査書の欠席日数をはじめとする記載事項の在り方について、全国の動向も注視しながら不断に検討してまいります。
(4) 小規模校での多様な学びの提供について
県立高校再編計画の議論が進められる中、地理的な制約をICTで克服し、小規模校でも多様な学びを提供できないだろうか。
複数の小規模校や統合先の学校とネットワークで結び、外国語など特定の科目を合同で実施する合同オンライン授業の実施、大学や研究機関など、遠隔地の専門家や外部講師によるオンライン特別授業を定期的に実施し、小規模校では提供が難しい高度な学びの機会を確保する遠隔地から支援するなどの取組に挑戦しようという考えはなかったのか伺う。
【教育長 答弁】
(担当部局:教育委員会)
本年4月に策定した県立高等学校教育の在り方長期ビジョンでは、高等学校教育の充実に向けた方策としまして、中山間地等に所在する小規模校の教育の質の保証、機会の保障に向けた、教科・科目等の種類の増加、多様な学習ニーズに対応するため、遠隔教育のメリット・デメリットを踏まえながら、普及・拡大に取り組むこととしております。
県教育委員会では、これまでも、小規模校における生徒の多様な学習ニーズへの対応と質の高い学びの保証を図るため、遠隔教育に取り組んできており、令和7年度は、杜陵高校を配信拠点とし、小規模校6校に対して、延べ11科目を教育課程に位置付けて授業の配信を行っているところです。
今後も見込まれる生徒数減少により、更なる学校の小規模化が懸念される中、小規模校における学びの質の保証と機会の保障に向け、遠隔教育の普及・拡大やICTの利活用の一層の推進など、学びの充実に取り組んでまいります。
4 文化芸術の振興について
(1) 幼児期における文化芸術の推進について
2017年の改正文化芸術振興基本法は、年齢や経済的状況にかかわらず、誰もが文化芸術を鑑賞・創造できる環境整備を基本理念とし、乳幼児等への文化芸術教育の重要性を明記した。豊かな創造力やコミュニケーション能力を養うためには、未就学児の時期こそ推進が重要だと考えるが、文化庁の文化芸術鑑賞・体験推進事業は2023年度から未就学児が対象外となってしまった。
県は、文化庁補助終了後の未就学児の文化芸術体験の現状把握ができていないため、今後、市町村や保育現場の取組について状況把握を行っていく必要がある、と9月定例会決算特別委員会で答弁いただいた。
香川県の「芸術士」派遣事業は、子どもの感性と創造力を育む画期的な取り組みとして全国的に注目されている。この事業は、県内で活動する芸術の専門家(2024年12月現在39名認定)を保育所・幼稚園・こども園に派遣し、日々の保育・教育の中で、子どもたちと絵画、造形活動、身体表現など様々な表現活動を行うもの。このような取り組みも参考に、幼児期における文化芸術の推進に取り組んでいただきたいが、県の所感と今後の方向性を伺う。
【文化スポーツ部長 答弁】
(担当部局:文化スポーツ部)
県では、第4期岩手県文化芸術振興指針に基づき、子どもたちの興味・関心の向上や文化芸術活動への参加を促進し、多くの子どもたちに文化芸術に触れる機会を提供する取組を進めていくこととしています。
こうしたなか、県では、日本青少年文化センターの芸術鑑賞プログラムを活用した市町村における芸術鑑賞会の開催支援や、岩手芸術祭の関連事業である「芸術体験イベント」、日本フィルハーモニー交響楽団との「楽しいオーケストラ㏌岩手」の開催など、子どもたちの文化芸術に触れる機会の提供に取り組んでいるところです。
一方で、幼児期の子どもに対する、更なる機会の提供については、まずは保育の現場や市町村等の取組状況やニーズ等の実態を把握することが必要と認識しています。
こうしたことから、各市町村や就学前施設に対して、文化芸術体験の取組状況などについて調査を行うこととし、現在その準備を進めているところです。
議員御紹介の、香川県内で取り組む「芸術士」派遣事業などの先進的な事例につきましては、事業実施の背景ですとか課題等も含めて情報収集を行いながら、県としては、まずは市町村等の状況調査を行い、その取組の方向性については市町村等とも議論してまいりたいと考えています。
(2) ミュージアム連携の取組について
2022年に博物館法改正は、博物館に文化観光・福祉・産業など多様な分野での地域連携を求めている。今年8月に開催された県文化振興事業団創立40周年記念講演会に私も参加し、美術館や博物館は特別なモノではなく暮らしに溶け込む存在であるべき、また、県内5つの美術館を結び青森県が実施した青森5館アートフェスは、連携を通じて観光振興や経済効果を生み出したという。先日、知事は野の花美術館を鑑賞され、美術館の可能性についてお話しさせていただいた。法改正の趣旨を踏まえ、県立・市町村立・私設の美術館の広域連携事業などを展開すべきと考えるが、所感を伺う。
【教育長 答弁】
(担当部局:教育委員会)
県立美術館では、県内の美術館と連携した魅力ある企画展の充実を図るため、これまでに、花巻市の萬鉄五郎記念美術館と「萬鉄五郎展」を共同開催しているほか、盛岡市の深沢紅子野の花美術館の協力による企画展などを開催してきています。
また、毎年度、県内外の美術館と連携し、萬鉄五郎、松本竣介、舟越保武をはじめとする、本県ゆかりの作家の所蔵作品の貸出等を行うことで、県内外への本県作家の魅力発信と鑑賞機会の充実にも取り組んでいるところです。
これからの美術館には、貴重な作品の収集・保管・展示といった従来の役割に加え、文化の力で地域を元気にしていく拠点となることが期待されていることから、他県の事例も参考にしながら、今後も、岩手の芸術文化活動の拠点施設として、県内外の美術館と連携した取組に努めてまいります。
5 いわての森林づくり県民税について
(1) 木育・森林環境教育について
県ではこれまで、県民向け施設への県産木材活用や木製品の導入など、木育や県産材利用を推進されてきたと評価している。特に、2023年の全国植樹祭は、次代を担う子どもたちへの継承の重要性を認識する大きな契機となった。このレガシーを活かし、次のステップへ進むため、森林環境学習の質と量の向上を図る必要があると考える。
緑の少年団の育成について、岩手県森林林業団体から要望も出ていたが、使われなくなった学校林や地域の里山を教育活動に継続的に活用するよう教育現場との連携の強化、森林林業への関心を高めるため、中高校生などを対象とした夏休みを活用したインターンシップへの支援など、将来の人材育成に資する新たな取組も検討すべきではないかと考えるが、いわての森林づくり県民税を活用した木育・森林環境教育について評価と今後の方針を伺う。
【農林水産部長 答弁】
(担当部局:農林水産部)
県では、児童・生徒等の森林への理解醸成を図るため、いわての森林づくり県民税を活用して、森林環境学習会を開催し、これまで延べ約400校、1万人以上が参加したほか、いわて子どもの森や保育所など75施設への木製玩具等の導入、県民の森など4か所の森林公園への木育スペースの整備を進めてきました。
また、森林の働きや林業の役割を学ぶ冊子を配付するほか、林業普及指導員が主体となり、地域の林業経営体と連携し、高校生を対象に林業機械の操作やドローンによる森林調査などの職業体験を実施しており、こうした様々な取組により、木育の推進や森林づくりへの理解醸成、将来の林業の担い手育成に繋がっているものと考えています。
今般お示しした令和8年度以降の森林づくり県民税の最終案では、木育の推進や森林環境学習の展開に継続して取り組むこととしており、今後も、関係団体等と連携し、森林との触れ合い、森林の役割や木材の良さ等を学ぶ機会を積極的に提供するとともに、地域の魅力ある職業である林業の理解醸成に取り組んでいきます。
(2) 森林公園について
今定例会で公表された第2期岩手県公共施設等総合管理計画(最終案)の基準に基づく評価結果では、方向性のたたき台として、森林公園を県民の森へ集約することとなっている。
今後、県として、いわての森林づくり県民税を活用して、森林公園をどのように整備していくのか伺う。
【農林水産部長 答弁】
(担当部局:農林水産部)
今後の森林公園の整備についてでありますが、県では、いわての森林づくり県民税を活用し、森林公園における木育スペースの設置など、利用者ニーズを踏まえた機能強化を図り、多くの県民の皆様に利用されてきましたが、人口減少が進む中、県民の皆様が将来にわたって公共施設を安全・安心に利用し続けられるよう「持続可能な公共施設のあり方」を実現するという全庁的な考え方のもと、今後の森林公園の整備について検討を進めてきました。
公共施設の延べ床面積を2040年度までに85%程度まで削減するという目標の達成に向け、先般公表した「第2期計画(最終案)」で示された評価基準のもと、2034年度までの10年間で、施設の今後のあり方を検討するための「たたき台」として、県民の森について、他の4つの森林公園との集約化を前提に、施設の長寿命化改修を検討するという方向性をお示しました。
今後、利用実態や利用者1人当たりのコストについて評価する「公共施設カルテ」を作成するとともに、施設をめぐる社会情勢等を考慮した上で、市町村や関係団体等と丁寧に議論しながら、森林公園の具体のあり方を検討していきます。
6 ツキノワグマ対策について
(1) 緊急的対策の評価について
ツキノワグマ対策基本方針を改定し、今年度の捕獲上限数796頭を超えてさらに捕獲を進め、ガバメントハンターを前倒しで導入するなどの対策を講ずるとのことだが、県民の安全安心を守るこれまでの緊急的対策を県はどう評価しているか。
【環境生活部長 答弁】
(担当部局:環境生活部)
これまでのツキノワグマ対策の評価についてでありますが、県では、捕獲を実施する市町村にあらかじめ配分している特例許可の捕獲枠を年度途中に追加配分することにより、人の生活圏に侵入してきたクマの捕獲をさらに進め、今年度は捕獲上限数の796頭を超え、10月末時点で1,000頭近く捕獲するなど、被害防止対策に取り組んできたところでございます。
また、9月の緊急銃猟制度の施行に先駆けて、県のマニュアルを抜本改定するとともに、市町村の求めに応じて助言等を行う「緊急銃猟対策チーム」の設置について定めたほか、施行後、速やかに実施した実地訓練の成果を市町村と共有することで、洋野町、釜石市における緊急銃猟の実施に寄与したものと考えております。
今般、県では「ツキノワグマ対策基本方針」を策定するとともに、国に対して、各種対策の強化のための十分な予算措置について要望を行い、今定例会においては、人身被害防止のための箱わな等の設置や、麻酔捕獲実施などに要する経費を補正予算案に盛り込んだところでございます。
引き続き、「基本方針」に基づいた被害防止対策について、庁内関係部局はもとより、市町村、猟友会、警察等の関係機関と連携し、取り組んでまいりたいと考えております。
(2) 学校における対策について
また、学校の児童生徒、保護者、教職員の不安や負担軽減策としての対策が方針に盛り込まれたが、具体的にいつどの程度を検討されているのか。
【教育長 答弁】
(担当部局:教育委員会)
県教育委員会では、ツキノワグマ対策基本方針の策定に当たって、市町村教育委員会及び県立学校の要望を確認の上、国のクマ被害対策パッケージを踏まえ、必要な対策について盛り込んだところです。
その具体的な対策は、特別支援学校におけるスクールバスによる登下校安全対策の強化、専門家の意見を踏まえた岩手県教育委員会危機管理マニュアルの見直しと学校の危機管理マニュアルの改定の促進、教職員等に対するクマ出没時対応も含めた研修の実施、国の各種交付金等を活用した登下校見守りボランティア等への安全装備等の必要な資機材の配備、県立学校、県立社会教育施設等におけるクマ対策に必要な環境の整備などとなっております。
対策の実施時期につきましては、スクールバスによる登下校安全対策の強化や、危機管理マニュアルの見直しについては、既に着手しているところであり、その他の対策については、実施可能なものから速やかに取り組んでまいります。
引き続き、子どもたちが安心して学び、生活できるよう、市町村教育委員会等と連携し、安全対策を徹底してまいります。
