議会質疑・答弁

Parliament

令和4年12月定例会
「一般質問」

【質問項目】

  1. 1.子どもを生み育てる環境について

    • (1)合計特殊出生率について
    • (2)産前産後サポート・産後ケアの推進について
    •   ア 産後ケアの無償化について
    •   イ 宿泊型産後ケアセンターの設置について
    • (3)産後パパ育休(男性版産休制度)の推進について
    •   ア 男性の家事育児参加について
    •   イ 県職員の育児休業等の促進について
    • (4)特定妊婦等への支援について
    •   ア 支援を必要とする妊婦への支援について
    •   イ 公的財政支援と居住支援等について
    •   ウ 学校医の設置について
    • (5)社会的養護の取組について
    • (6)バスや自動車等への置き去り事故への対応について
    • (7)子どもたちの声を生かす仕組みについて
  2. 2.子どもの教育環境の充実について

    • (1)多様な学びの場の提供(不登校対策)について
    •        ア 不登校児童生徒等への支援について
    •        イ 不登校児童生徒等の出席扱いのあり方について
    •        ウ 私立専修学校への運営費補助について
    • (2)読書活動の推進について
    • (3)学校司書の配置と学校図書館の機能充実について
    • (4)インクルーシブ遊具を備えた公園について
  3. 3.パートナーシップ制度の導入について 

    • (1)パートナーシップ制度の導入について
    • (2)要望への対応について

いわて新政会の吉田敬子です。
一般質問の機会を与えてくださいました先輩・同僚議員の皆さま、そして県民の皆さまに感謝を申し上げます。コロナにより私たちの日々の生活が制限され、一変して3年、長いようで、あっという間ですが、特にも子供たちへの影響を考えると、本当に心苦しくてなりません。そして、まだまだ課題の多い子育ては、コロナでさらに孤立化しています。今任期最後になる一般質問は、子どもの権利、また母子の命と女性の健康と権利を守るということ視点に重点を置いております。
今朝のサッカーワールドカップの日本の逆転勝利、私も大変に感動させていただきました。同じことをいつも取り上げ訴えていますが、私も決して諦めない気持ちで、以下、通告に従い質問いたします。
知事はじめ執行部の皆さまの明快な答弁にご期待申し上げます。

1.子どもを生み育てる環境について

(1)合計特殊出生率について

 県では、「いわてで生み育てる支援本部」を設置し、県民運動のキャッチフレーズとして「いわての子みんなでつくる大きなゆりかご」を10月末に決定した。人口減少対策へ新ポストを設置するとのことだが、本県の合計特殊出生率は令和2年
1.32 から令和3年 1.3 へ減少、目標である1.58へも程遠い状況。出産や子育てを支援する公益財団法人「1more
baby応援団」の調査で、約75%が第2子以降の出産をためらう「2人目の壁」を実感していることが今年6月わかった。経済的な問題などは緩和されつつも高止まりし、一方では心理的な理由が増加傾向にある。女性の就業率が向上したものの子育て世代の女性は非正規雇用が多く賃金が低いことや、育休制度が改善しても今なお男性が利用し難い風土が残されていることなど、制度が活かされていない点が挙げられ、子育て環境に不安を抱く人が依然として多く、仕事と家庭の両立も課題である。国においては、出産育児一時金の引き上げや妊産婦をサポートする伴走型支援と、0〜2歳までの経済的支援の創設、首都圏では、シッター代や家事代行への助成支援がある。都会と地方ではサービスの格差があり、本県においても独自の支援が必要と考えるが、県は、合計特殊出生率を目標に近づけるため、どのような支援を検討しているのか、知事にお伺いします。

答弁
吉田敬子議員の御質問にお答え申し上げます。
合計特殊出生率についてでありますが、国の「出生動向基本調査」によると、理想の数の子どもを持たない理由としては、子育てなどに係る経済的負担が最も多いほか、高年齢での出産や育児の重い負担など、心理的、肉体的な理由も増えてきており、こうした要因が複雑に絡み合って、第2子以降の出産をためらう、いわゆる「2人目の壁」となり、合計特殊出生率の減少に影響を及ぼしているものと認識している。
県ではこれまで、妊産婦の医療費助成、岩手版母子健康手帳や男性の育児参加を促す子育て応援マンガの発行などのほか、本年度は、産後ケア利用料の無償化を行う市町村への補助、新型コロナや物価高騰の影響が大きい子育て世帯への支援金を給付するなど、子育て世帯への経済的支援や生み育てやすい環境の整備に取り組んできたところ。
さらに、現在策定中の第2期政策推進プランでは、人口減少対策の強化を重点項目に設定し、結婚、妊娠・出産、子育ての各ライフステージに応じた取組を総合的に進めていくこととしており、「2人目の壁」を感じることのないよう、令和5年度当初予算編成において、子ども子育て世帯の経済的な負担軽減につながる取組の具体化を図っていく。

再質問
 昨日の一般質問では、子どもの医療費助成の現物給付を高校生まで拡大されるという事で、大変評価いたしますし、いわて県民計画第2期アクションプランの指標の見直しの中でも、不妊治療の休暇制度等の導入事業者数を見直して、新しく指標として入れていただき、大変に評価しておりますが、先ほどの知事のご答弁で、令和5年度の当初予算の中に経済的な負担の軽減のための措置はされるという事だが、具体的なもの、私は先ほど課題として、心理的なところがあると、仕事と家庭の両立の課題、経済的な負担になるという事もあると思いますが、具体的に令和5年度に何を検討されているのか伺う。

答弁
 今、まさに来年度予算編成に向けて検討を進めているところでございます。経済的な不安が大きいところがございますので、例えば、いわゆる「2人目の壁」ということで、多子世帯なども念頭に置いた支援施策を検討しています。
そのほか、心理的な部分ですが、労働環境について、子育てにやさしい企業等認証という取組をしておりますが、育児などをするにあたっては、男性の参画がしやすいような環境づくりが必要でございます。これは企業とともに取り組んでいかなければならないということで、こうした機運醸成、県民運動も始めましたけれども、様々県民の皆様方、企業なども巻き込んで男性の育児参画などもできるような労働環境について来年度当初予算に盛り込むべく、現在検討を進めているところでございます。

再質問
経済的な負担軽減措置として子供の医療費助成の部分だけなのか、それ以外に何かあるのか。検討中という答弁だったが、県民運動として企業に対してやっていることを、やっていくことなのかと思うが、大変素晴らしいキャッチフレーズの県民運動で、実際の負担を感じている方々に、いかに負担軽減を図っていく策を県としてやっていくのか、企業にお願いすることももちろん大事ではあるが、首都圏のシッター代や家事代行への助成制度を紹介したところだが、そういったものはないということか。

答弁
議員から様々他県の例示をいただきました。私どもも、他県の先進事例をベンチマークしております。その中で、岩手県の課題なども踏まえて、特に未婚率が高いこと、30代後半の有配偶出生率が低いことを念頭におきまして、様々な経済的施策を具体的に検討しているところでございます。

答弁に対する指摘
国からの大きな支援がきて、10万円の補助も始まると思うが、それ自体はとても有難いことであるが、そのサービスの格差があって、実際にお金だけでなく、仕組みとして特に地方は、作っていかなければならないと考えている。しっかり検討、検証、議論していただき、令和5年度の予算反映されることを願っている。

(2)産前産後サポート・産後ケアの推進について
 ア 産後ケアの無償化について
質の高い安全な周産期医療を適切に提供していくためには、医療圏の設定の見直しや周産期母子医療センターの集約化・重点化を図っていく必要があり、現在、医療提供体制の検討を行っていると認識している。医師や助産師等の技術の維持や向上には、1施設あたり年間の分娩件数600件の確保が望ましいとも伺っている。今後、ハイボリュームセンター設置など集約化・重点化が図られる中、出産場所が居住地と離れたとしても、身近な地域での産前産後サポートや産後ケアの充実が重要だと認識している。今年度から県は産後ケアの実質無償化を開始しているが、各市町村における取組内容には差があり、広域利用を進めていくとの答弁を常任委員会では頂いたが、その検討状況はどのようなものか。市町村の課題は何と把握しているか。

答弁
県では、全ての市町村において産後ケア事業を実施することを目標に掲げ、県内市町村の先行的な取組を参考としてもらうため、事例集を作成・配布するなどして、市町村の取組が促進されるよう支援してきたところ。
市町村が産後ケア事業を実施するに当たっては、委託先や人材の確保が課題となるほか、小規模市町村においては産婦の数が少ないことから、市町村によっては単独での実施が難しいことも想定されるため、複数の市町村が一つの産科医療機関等を共同で利用する「広域連携」も有効であると考えている。
広域連携を推進するため、保健所単位で開催している「連絡調整会議」の場を活用し、利用者のニーズや活用可能な地域資源等の把握を行った上で、事業展開に向けた関係機関との調整等を行うため、現在、圏域ごとに意見交換等を進めているところ。
今後、妊産婦等が身近な地域できめ細やかなケアを受けられるよう、市町村単独で実施が難しい部分については、県としても各市町村や関係機関との調整等により、広域的な連携を促進しながら、市町村の取組を支援していく考え。

再質問1
今年度、既に意見交換されていると思うが、具体的に広域連携はいつからできるのか伺う。

答弁
例えば、沿岸地区、釜石と大槌で広域連携が始まりました。少しずつノウハウが増えてまいりましたので、連絡調整会議の場などにおいてこういった事例などを御紹介するほか、地域の資源が様々異なりますので、そこは皆で協議をしながら、地域に合った取組というのを我々も一緒になって考え、討議を進めて参ります。
具体的にいつという形で今は申し上げられる段階にはありませんが、これは速やかに県内全部で、それを進めるために今年度産後ケアの無償化に取り組んでいるわけでございますので、この施策と併せまして、全県で展開できるように進めて参りたいと考えています。

再質問2
 釜石・大槌では、居住地でない方が、釜石の方が大槌で、大槌の方が釜石で利用できるよう広域連携で進めていただきたいと話をした。盛岡の分娩施設の利用について盛岡広域でやっているが、滝沢市や雫石町の利用料は、盛岡市民でないため、無償化の対象外になっている。そういった仕組みを広域でやっていただきたいとの意味である。
釜石、大槌での連携の内容について、利用する産後ケア施設のある市町の住民でない方も利用できるように連携しているのか。

答弁
地域で委託先や人材が少ない小規模の町村で広域的に活用しようという例で申し上げました。議員からいただいた事例は確かにそのとおりだと認識しております。自治体をまたいで分娩にかかる事例は多数ございますので、そういった部分での広域連携も県として必要な支援、調整をして参りたいと考えております。

 イ 宿泊型産後ケアセンターの設置について
先日、遠野市助産院ねっとゆりかごの開設15周年式典に出席した。宿泊施設を活用したデイサービス型の産後ケアを開始しており、遠野市が助産師を直接雇用し、産後ケアの充実を図っている良い事例と考えている。地域にはコロナ禍も重なり、空いている旅館やホテルがある。県が資質向上を図ってきた助産師等を直接雇用し、旅館やホテル等を活用するなど宿泊型産後ケアセンターの設置を検討すべきと考えるが所見を伺う。

答弁
産後ケアについては、妊産婦が身近な地域できめ細かなケアを受けられる環境の整備が重要であり、県においても、産後ケア利用料の無償化などに取り組み、地域における産後ケアの拡充や利用促進に取り組んできたところ。
こうした取組を進める中、産後ケア事業に取り組む市町村は年々増加し、現在、29市町村となっており、地元の宿泊施設を利用してデイサービス型事業を始めるなど、地域資源を活用した新たな取組も進んできている。
議員からは、宿泊施設を活用した県による産前産後ケアセンターの設置を御提案いただいたところであるが、広い県土を有する本県の地理的状況なども踏まえ、まずは、市町村など身近な地域での産後ケアの充実に向けて、各圏域の連絡調整会議等の場で、助産師や宿泊施設等を活用した取組事例を紹介するほか、単独で実施が難しい市町村には広域での連携を提案するなどにより、市町村の取組が促進されるよう、引き続き支援していく。

再質問
広域連携については、花巻市、北上市においては、県内初めての産後ケア事業を 2016年に開始しており、そこからの拡がりは、私たちにとっても素晴らしい事業をしていると評価している。
花巻市、北上市の中部地域はすでに実績もあり、宿泊のニーズも独自のアンケート調査から分かっていて、宿泊型産後ケアセンター設置の具体検討に花巻市は入っている。市町村事業であるのは承知しているが、広い県土を持つ岩手県、県が「生み育てる」ことに重点を置いているのであれば、しっかり予算を取り、人を配置して、広域連携に向けてどのような形で進めていくのか、連絡調整会議でやっていくとの答弁はあるが、それぞれの連絡調整会議でやっていくだけでなく、県が何で無償化を始めたのか、そもそもの議論になり、産後ケアが、実際に大事だから県が実質無償化を始めた。であるならば、広い視野、ビジョンを持って無償化を始めたと思うので、県の前向きな検討を進めていただきたい。
花巻や北上の具体検討に県は、どのようにかかわっていこうとしているのか。

答弁
安心して子どもを生み育てられる環境をつくるため、県としても今年度新たに予算を確保いたしまして、産後ケア利用料の無償化に取り組んでまいりました。県としては、まずはベースラインとして、全ての市町村において事業が実施できるようという視点で着手したところでございます。
様々なニーズがあるということは承知してございます。デイサービス型で好評を博している事例もございます。宿泊型のニーズもあるということもそのとおりだと思います。
具体に今、花巻市さんで検討されているということでございますので、我々も管内の市町村の保健所の圏域会議の他にも、県としても具体的にどういう形でできるのか検討していきますが、産後ケア事業は市町村事業ということで、国からの財政支援というのは、県に直接というのはメニューがない中で、どのようにできるのかというのは、やはり市町村と連携していかなければならないということがございます。そういう部分で、我々も一緒になって知恵を出して取組を進めて参ります。
また、宿泊型など、より充実した産後ケア事業への対応についても、保健所単位で設置する連絡調整会議等の場において、地域のニーズや市町村の意向等を十分に確認するとともに、必要に応じて、医療機関や民間事業者、助産師など地域の関係者との意見交換を行いながら、それぞれの地域の実情に応じた広域連携などのあり方について議論を進めていく。

再質問
県が今回、産後ケアの無償化を始められたことについて、利用者にアンケート調査するなど、声を聞きとらないと、連絡調整会議では、次に繋がるニーズの把握が難しいのではないか。
県として、アンケート調査をするなど、利用者の声を聞いて深堀して取り組んでもらいたいと思うが、知事の所見を伺う。

答弁
生まれたばかりの赤ちゃんとその親御さんのケアというのは、市町村にとっては、市町村住民になった時から、その市町村の中ですくすく育って大きくなっていってほしいということで、市町村それぞれの腕の見せ所であり、市町村の存在意義をかけて産後ケアに取り組んでいるというところもありますので、それがうまくいくように県も市町村と一緒に取り組むということが大事ですから、そういう中でも、専門性や広域性の部分で、市町村単独ではできない部分を県がきちんと補っていくということだと思っております。
そういう中で、それぞれの市町村の背中を押し、先行している市については、さらに励ます意味で県からそれぞれの事業を補助するということを全国でもまだ例は少ないんですけど、岩手県はやっているところであり、決して市町村だけに任せるということではなく、県、市町村が一体になって、生まれたばかりの住民とその親御さんをしっかりケアするということを進めていきたいと思います。

(3) 産後パパ育休(男性版産休制度)の推進について

 ア 男性の家事育児参加について
知事は、昨年9月定例会の私の一般質問に対し、「共働き世帯の妻に家事労働が集中しないよう、男性の家事・育児への更なる参画が必要である」旨を答弁されている。秋田県では、出産前から夫婦で産後の環境の変化や子育てへの考えを共有し、親になった喜びを感じることができるよう、NPO法人ファザーリングジャパン東北と連携し、プレパパや乳幼児の父親を対象とした子育て等を学ぶ講座を県内8か所で開催し、男性の育児参加を促進し、父親育児の機運を高める事業を、県事業として実施している。北上市でも今年度から同様の講座を開始したと聞いている。今年10月スタートした産後パパ育休の推進と合わせ、男性の家事育児参加を促進する取組としてどのようなことを検討しているか。

答弁
県では、男性の育児参加を含めた、仕事と子育ての両立や多様な働き方など、将来のライフプランをパートナーとともに考えてもらうため、新婚世帯やこれから結婚を予定している方などを対象に、出産や妊娠、育児休業などの制度活用や家事・育児の分担などをテーマとしたライフプランセミナーを開催しているところ。
また、女性活躍担当部署と連携して「いわて女性の活躍応援セミナー」を開催し、経営者や管理職に向けて、男性社員のワーク・ライフ・バランス推進の取組事例の紹介を行うなど、男女問わず誰もが働きやすい職場環境づくりに取り組んでいるところ。
さらに、今年度は、いわてで生み育てる県民運動の一環として、結婚・子育ての機運醸成や、子育てに関わる諸制度の紹介などを行う映像コンテンツを作成しており、今後、各種研修会等での活用を想定しているところ。
このような取組を通じて、ライフプランを考える機会を積極的に提供し、男性のワーク・ライフ・バランスを推進しながら、家事や育児への参加を促していく。

イ 県職員の育児休業等の促進について
 県職員の男性職員の育児休業等の取得について、令和3年度の取得率は97.5%となっているが、取得期間が1カ月以内は62.2%と課題がある。今後、産後パパ育休の取得促進についても、民間に推進していくと同時に、県もしっかり取り組むべきと考えるが、その検討状況について伺う。

答弁
男性職員の育児休業の取得状況をみますと、出産直後の配偶者の心身回復が必要な時期に育児休業等を取得したいというニーズは高い傾向にあり、この時期に産後パパ育休や休暇を一定期間取りやすい環境整備を行うとともに、主体的に育児に関わるという意識を持つことが重要であると考えております。
本県ではこれまで、男性職員の育児休業等の取得に向けて、庁議の場で男性職員の育児休業の取得状況を共有しながら、全庁を挙げて1か月以上の休業等の取得を促進しているほか、子育て支援セミナーにおける男性育休経験者の体験談の共有や育児計画支援シートの作成により、男性職員が育児に関わるよう意識の醸成に取り組んでまいりました。
県では、本年10月から産後パパ育休制度の柔軟化を行ったところであり、引き続き、産後パパ育休を含め男性職員の育児休業等の取得促進と育児に関わる意識の浸透を図り、男女が家事や育児に平等に参画しパートナーシップを発揮できるよう環境づくりを進めてまいります。

(4)特定妊婦等への支援について
ア 支援を必要とする妊婦への支援について 

矢巾町で 2019 年、自宅のトイレで出産した男児を屋外に投棄し死亡させたとして 10 代母親が逮捕された。花巻市で 2021
年、出産直後の男児を湯の中に沈めて死亡させ、遺棄したとして30代母親が今年3月に実刑判決を受けた。さらには今年9月大船渡市で、出産直後の赤ちゃんの遺体を自宅に遺棄したとして20代母親が逮捕された。乳児への虐待や遺棄などの痛ましい事件が県内で近年増加傾向にある。なぜいつも母親だけが処罰されるのか。母親を処罰することだけが根本的な課題解決ではないはず。
予期せぬ妊娠や経済苦などで出産前後に支援を必要とする「特定妊婦」が全国で増えていて、本県では特定妊婦として市町村が対応している件数は、令和元年は
140人、令和2年は174人と増加。厚労省の報告書によると、2003 年7月以降、生後 24 時間未満に虐待死した赤ちゃん 173 人のうち、実母の年齢は 19 歳以下が 27.2%、20〜24
歳が19.7%と、24歳以下で半数近くを占める。出産場所は自宅のトイレや風呂場が約48%に上り、医療機関はゼロ。貧困や虐待から児童買春の被害にあった少女たちの体験や思いを写真や手記で伝える「私たちは買われた」展が9月開催された。また先月末、予期せぬ妊娠で悩む女性や虐待死を救いたいとの思いで、女性の健康を支える県内の医師たちが中心となり、「岩手リアルプラットフォーム連絡会」が設立された。「若年妊娠」「予期せぬ妊娠」など支援を必要とする妊婦に対し、県が行う支援は極めて少ないと感じるが、課題認識と今後の取組を伺う。

答弁
県は、各保健所を女性健康支援センターと位置付け、「若年妊婦」や「予期せぬ妊娠」などに悩む方からの相談を受け付けているところであるが、相談件数は年間数件にとどまっており、支援を必要とする妊婦を把握し、適切な支援につなげることが課題であると認識している。
このため、市町村における家庭訪問等によるアウトリーチ型の相談支援など、支援機能の充実を図るとともに、民間団体等と連携した支援が重要と考えている。
このような中、国においては、本年6月に児童福祉法等の一部改正を行い、支援を要する妊産婦等に対するサポートプランの作成を市町村の業務として位置付け、令和6年度から施行されることとなった。
予期せぬ妊娠は、女性の心身に大きな影響を及ぼし、重篤な結果をもたらすおそれもある。支援のきっかけとなる相談の選択肢を増やしていくことが重要であり、県としては、特定妊婦の早期把握や相談支援の更なる充実が図られるよう、市町村や民間団体との連携強化に努めていく。

答弁に対する指摘
 先ほど、妊娠・出産・育児、切れ目のない支援の話をしたが、このような事例も同じく妊産婦の支援のはずだが、現状では、そこが零れ落ちている状況であると、先ほど話した。
相談窓口に繋がることが一番であるが、なかなか繋がらない現状のため、このような事件に繋がっている。これは氷山の一角であり、出産に至らなくても悩んでいる女性はたくさんおり、コロナで孤立化もしている。ぜひ、母子の命を守る事業を拡充頂きたい。

 イ 公的財政支援と居住支援等について
 今年8月、予期せぬ妊娠などに悩む女性などの相談を無料で受け付ける県内初の民間の相談窓口「にんしんSOSいわて」が開設された。相談内容に応じて、公的機関への仲介や特別養子縁組制度の紹介、産婦人科への同行など支援している。匿名制ということもあり、10代の相談が多く、女性だけでなく男性からも相談が寄せられ、親御さんからの相談もあり、開設から3ヶ月で27ケースと聞いている。県内では妊娠相談窓口を開設している自治体もあるが、十分に活用されていない。盛岡市の窓口「妊娠SOS相談」に昨年8月からの1年間に寄せられた相談件数はたったの1件のみという。また、各保健所に設置されている県の女性健康支援センターへの予期せぬ妊娠など妊娠に悩む者からの相談件数も1件、2件程度である。行政相談は名前を名乗る必要もあり、身元を知られたくないという方のハードルがとても高く、また県立中部病院には県内唯一の思春期外来が設置されていて、その取組を高く評価する一方、こちらも病院へ行くというハードルが高いのが現状である。
民間窓口の開設は大きな前進だが、より安定的で継続的な運営には公的財政支援も必須だと考える。国では安心安全で健やかな妊娠・出産、産後を支援する体制の中で、「若年妊娠等への支援」も掲げているが、本県は事業実績なし。まずはこの相談窓口を知って頂くためにも、相談が多い10代の層である県内高校生に、相談窓口カードの配布をしてはどうか。
また、県内には入院できる助産所がなく、母子生活支援施設は妊婦の受入を行っていないと聞いている。県からの公的財政支援と、厚労省の産前産後母子支援事業を活用するなど、居住支援を早急に検討すべきと考えるが、ご所見を伺う。

答弁
「予期せぬ妊娠」などに悩む方にとって、民間の相談窓口が設置されたことは、相談の選択肢が増えることとなり、支援を必要とする妊婦の早期把握や、相談支援の更なる充実につながるものと期待される。
「にんしんSOSいわて」には、開設以来、継続的に相談が寄せられていると聞いており、今後、運営団体等と連携し、県民に対して周知を図りながら、支援を必要とする方に、安定的かつ継続的な相談支援が提供されることが重要であると考えている。
また、特定妊婦が出産前後に一時的な居場所を必要とする場合、県では、婦人相談所において一時保護し、相談支援を行っているが、「にんしんSOSいわて」においても、一時的な居場所の提供に向けて準備を進めていると聞いている。
特定妊婦への居場所の支援については、まずは、「にんしんSOSいわて」における相談内容等を注視、分析し、県内における現状やニーズを把握した上で、県と市町村、民間団体との連携も含めた支援のあり方について、十分に検討を進めていく必要があると考えている。

再質問
 ニーズを把握したうえで、との答弁であるが、ニーズがあるという事を私は話している。妊婦が滞在できるところがない状況であるが、これはニーズと言えないのか。

答弁
県では、婦人相談所において公的な部分での居場所づくりを行っているが、行政の相談支援は心理的なハードルが高い。そうした中、「にんしんSOSいわて」が居場所づくりについて検討を始め、県としても内容を精査し必要な支援につなげていく。

 ウ 学校医の設置について
先述のプラットフォーム主催の講演会では、リプロダクティブヘルスライツや性犯罪・性暴力対策として性教育の重要性について多く語られた。青森県では、現在、産婦人科校医を学校医として配置しており、東京都教育委員会では、今年10月から都立高校へ産婦人科医を学校医として配置すると伺っている。本県も産婦人科の学校医の設置を検討してはいかがか。

答弁
妊娠・出産に関する指導については、児童生徒が、性に関する正しい知識や行動選択を身に付けさせることが重要なことであり、産科医師や助産師などの専門家から指導助言をいただくことは効果的と考える。
学校では、児童生徒の発達段階に応じて、関係教科の保健体育及び家庭科において、それぞれ必要な「性に関する指導」に加え、特別活動等において、産科医師や助産師などの専門家を講師に性に関する講演会を開催しており、県内の公立高校では令和2年度に47校、63.5%で実施したところ。
議員御提案の産婦人科の学校医の設置については、産科医師の対応等が困難な点も考えられることから、保健福祉部や県医師会などの関係機関と、相談していきたいと考えている。
県教育委員会としては、児童生徒が性や妊娠、出産とそれに伴う健康課題について理解し適切な行動選択を身に付け、生涯を通じて自らの健康を適切に管理し、改善していく資質や能力を育てていくよう、関係機関と連携しながら、保健教育を推進していく。

答弁に対する指摘
昨日の一般質問の答弁でもあったが、保健福祉部のライフプランニングの中で、新たに今年度から、若年層に向けて、様々取り組んでいることを評価している。今後、学校現場に入り助産師さんを活用することは有難いと思っている。産婦人科医が少なく、多忙のであることは認識しており、助産師の活用を保健福祉部と連携していく、教育に取り込むことが重要である。今後を期待している。

(5)社会的養護の取組について
虐待などを理由に実の親と暮らせない社会的養護を必要とする子どもは、2020
年度、全国に4万2千人。平成28年児童福祉法改正により、里親や特別養子縁組などで養育されるよう、家庭養育優先の理念が規定された。本県には、2つの乳児院、6つの児童養護施設、児童心理治療と児童自立支援がそれぞれ1つずつ計10の児童福祉施設がある。令和2年はのべ約315名の児童生徒が入所。家庭的養護の推進が言われている中、身近に知る機会を増やし里親登録数を増やすこと、一時的に預かる一時里親制度の周知も課題と私は感じる。また、本県にはファミリーホームが一つもない。ファミリーホームの開設に向けた相談・指導などの設置支援も推進すべきではと考える。
里親や子どもが孤立しないよう包括的に支援する「フォスタリング機関」が先月創設されたが、本県の里親登録数や委託率など里親制度の現状、ファミリーホーム開設支援の現状、児童養護施設との連携について、県の課題認識と今後の取組を伺う。

答弁
本県の里親登録数は、平成 29 年度の 183 組から、令和3年度には 219 組と
36組増加したものの、里親等委託率は、高校卒業時で委託解除となった児童が多かったことなどにより、平成29年度の27.3%から、令和3年度には 23.3%と4ポイント減少している。
また、ファミリーホームについては、開設についての相談は寄せられているものの、事業者側の職員体制が整わないなどの理由から、まだ県内には開設には至っていないところ。
里親養育支援については、乳児院や児童養護施設に配置されている里親支援専門相談員が、児童相談所や里親会と連携しながら、委託里親への相談支援や一時里親事業のマッチングを行うなどの取組を進めているところ。
県としては、岩手県社会的養育推進計画に基づき、里親等委託率の向上に向けて、家庭養育の受け皿となる里親の確保を進める必要があることから、里親登録者が少ない地域で里親説明会を開催するなど、里親制度の普及・啓発を強化するとともに、今年度新たに開設した「フォスタリング機関」と緊密な連携を図りながら、質の高い家庭的養育の提供に取り組んでいく。

(6)バスや自動車等への置き去り事故への対応について
 子どもが送迎バスに置き去りにされる事案が各地で後を経たない。一関市で先月2日、小学1年の児童が一時的に置き去りとなった。児童の保護者が何かあったらクラクションを鳴らすよう教えていたことで、発見が早く大事には至らなかったが、子ども達に教えることも重要だが、決して許されざる大人の過失である。来年4月から全国の保育所などの送迎バスへのブザーなど安全装置の設置が義務化される。県内の保育所等における送迎バスの保有数と安全装置の設置の状況と県の支援について伺う。

答弁
本年9月に送迎バス車内で発生した園児の死亡事案を受け、県では、県内全ての保育所、幼稚園、認定こども園等、計 656
施設を対象に緊急点検を行ったところであり、その結果、バス送迎のある施設は112施設で保有台数は 184 台、このうち見落としを防止する安全装置の設置は3施設であった。
県では、現在、送迎バスを有する全ての保育所等に対し、送迎バスの運行に係る事故防止の取組や、危機管理マニュアルの策定等に関する実地調査を実施しており、その中で安全管理を徹底するよう指導を行っているところ。
また、設置が義務化される、置き去り防止のためのブザー等の安全装置については、国において、財政支援を予定しており、県としても対象施設が必要な整備を行うことができるよう、早急に検討を進めていく。

(7)子どもたちの声を生かす仕組みについて
 子どもの権利を大切にしようという「こども基本法」が来年4月施行される。子どもの権利は、「子どもの権利条約」で決められ、県内でも12市町村で子どもの意見を収取する機会がありました。小学生のみ対象、またアンケート実施のみ、など限定的な印象ではあるが、そのような場があるということは評価できるのではないか。いわて子どもプランの政策に子ども達の声を生かす仕組みが重要と考えるが、所見を伺う。

答弁
本年6月に成立した「こども基本法」は、基本理念に国連の「子どもの権利条約」に規定する「子どもの最善の利益を第一」とする考え方が盛り込まれ、国及び地方公共団体に対し、子ども施策の策定、実施、評価に当たっては、その対象となる子どもたちの意見を反映させるために必要な措置を講ずることを義務付ける規定が設けられたところ。
子どもの意見の反映については、子どもを対象としたアンケート等の実施、審議会・懇談会等への参画、直接意見を聴く場の設置など様々な手法が考えられるところであるが、個々の施策の目的等に応じて、意見聴取するテーマの設定、聴取の手法や頻度などについて、具体的に検討する必要があると考えている。
子ども政策に対する子どもの意見反映及び子どもや若者の参画に関して、現在、国において、地方公共団体の先進事例や諸外国の取組についての情報収集やモデル事業を実施しているところであり、その内容等も参考にしながら、子どもたちの声を生かす仕組みづくりについて検討していく。

2.子どもの教育環境の充実について

(1)多様な学びの場の提供(不登校対策)について
ア 不登校児童生徒等への支援について

本県の不登校児童生徒は、年々増加傾向にあり、特にも小学校で増加傾向にあり小学校段階の不登校対策が重要になっていると考える。岩手県の不登校対策は、「子ども達を学校へ戻す」という選択肢しかないと感じる。他県では、まずはフリースクールの存在を知ってもらおうと県教委のHPに県内全てのフリースクール情報を掲載したり、様々な取組がされている。昨年12月の教育子ども政策調査特別委員会の調査では、校内居場所カフェを設置している高校と、子ども達が安心して冒険でき不登校の児童生徒の居場所ともなっている川崎市のプレイパーク「子ども夢パーク」へ伺った。県外では、多様な学びや居場所の提供が進んでいるように感じた。
県教育委員会では、10月に新たに「いじめ対応不登校支援等アドバイザー」を設置した。不登校児童生徒支援連絡会議で今後の支援のあり方について検討していくとしているが、不登校児童生徒等の学びの場の確保など、どのように進めていくのか伺う。

答弁
これまで県教育委員会では、令和元年10月に文部科学省から発出された「不登校児童生徒への支援の在り方について」の通知等に基づき、不登校児童生徒の支援に関する基本的な考え方の周知や支援体制の整備として、県の総合教育センターに教育支援センターを設置するとともに、市町村教育委員会やフリースクール等の民間団体と連携して、不登校児童生徒の教育機会の確保に努めてきたところ。
昨年度から、不登校児童生徒の支援に係る今後の連携の在り方等を協議することを目的として開催している「不登校児童生徒支援連絡会議」において、議題となったフリースクール等の運営及び活動状況を市町村教育委員会とすべての公立学校に情報提供をしたところであり、今年度は、市町村教育委員会が設置している教育支援センター担当者にも出席いただき、ICTを活用した学習支援やスクールソーシャルワーカーとの情報共有、学校との連携の在り方等について議論を深め、教育支援センター相互の交流も深まったところ。
今後は、ICTやオンラインの特性等を活かした学習支援や体験活動、家庭訪問等を含めたアウトリーチ型支援を行うような体制づくりが有効な手段の一つと考えられることから、県教育委員会としては、国の補助事業を活用しながら、市町村教育委員会やフリースクール等の民間団体とより充実した連携体制の整備を進めていく考え。
その中で、県内全ての市町村に教育支援センターを設置することを働きかけるなど、積極的に教育機会の確保に努めていきたい。

再質問
支援センターを設置している市町村数を、アクションプランの指標見直しで加えたことは評価しているが、アドバイザーを設置することも、その通りであるが、リスクが県内各地にある。
教育長は、先進県や先進校、県内のフリーススクールの視察に行ったことがあるか伺う。

答弁
フリースクールについては、実際のところは私はまだ拝見していない。
不登校児童生徒支援連絡会議については、来年度は3年目になるため、これまでの会議の成果や、市町村の教育支援センター設置は 33
市町村のうち、22市町村、3分の2にとどまっていることから、今後はまず市町村に教育支援センターを設置していただくこと、そして、国の提言の中では学校内に教育支援センターを整備するという方向性も示されている。
また、学校に行けない児童生徒に対しては、やはりフリースクール等、民間の施設等との連携が欠かせないものと考えており、次年度以降の連絡会議において、本県におけるフリースクールあるいは特例校の設置、夜間中学校の設置等、幅広い受け皿の検討の議論を進めていくことが必要と考えている。

再質問
不登校児童等について、目指すべきは、学校復帰のみではなく、学校へ通えていない子ども達の学習の機会の確保と考えるが、知事の所見を伺う。

答弁
不登校児童生徒の学習の機会の確保については、個々の状況に応じたきめ細かい支援を行うというような観点から、地域の実情に応じて、教育委員会・学校と多様な教育機会を提供している民間団体とが連携して、相互に協力・補完し合いながら不登校児童生徒に対する支援を行うことが肝要と考えている。

答弁に対する指摘
知事のご答弁であれば、ふるさと振興部の方でも、国に要望することも、その通りであるが、資料を見ると、他県では独自にしっかりやっているところもある。教育長には、先ほど、現場に行っていただきたいと話したが、知事のご答弁で、すべての子供たちに、しっかり学びの機会を確保するというのであれば、フリースクールの方々との連携もそうだが、フリースクールの支援も大事となってくる。強く要望する。

 イ 不登校児童生徒等の出席扱いのあり方について
出席扱いの可否について、一定の要件はあるものの、判断するのは校長というのが現状。子ども達それぞれの状況に応じて対応せざるを得ないのは理解するが、学習支援や多様な体験活動等により、児童生徒の「社会的自立」を目指すことが重要で、出席扱いを認める条件が学校や自治体によって判断に幅があるのは公平ではないと感じる。これからの学校の在り方に加え、出席扱いのあり方についても広く議論いただきたいと考える。不登校児童生徒の教育支援センターやフリースクールの出席扱いの状況、また、ICTを活用した自宅学習を出席扱いにできる要件が文科省で出ているが、本県の小学校、中学校の実績はどのようになっているのか。

答弁
市町村教育委員会設置の教育支援センターに通っている児童生徒については、出席扱いとなっている。
フリースクール等の民間団体に通っている児童生徒については、児童生徒の出席及び学習活動等の状況を学校が直接報告を受け、一定の要件を満たしていることを確認することが必要とされており、本年9月の不登校児童生徒支援連絡会議において確認したところ、3団体で出席扱いとなった例があると伺っている。
また、不登校児童生徒のうち自宅におけるICT等を活用した学習活動を出席扱いとした児童生徒数については、令和3年度の実績として、小学校で6名、中学校で4名と把握している。

 ウ 私立専修学校への運営費補助について
先の9月定例会で各議員が取り上げた星北高等学園へ私も伺った。ふるさと振興部長も視察されたと伺っているが、同校では、小中学校等で不登校や学校不適応を経験した生徒や、発達特性の強い生徒も受け入れている。県では、私立専修学校である同校に対して、令和4年度、生徒一人当たり35,960円の運営費補助金を交付している。全日制私立高等学校並みの運営費補助金と同等額に増額すべきと考えるがいかがか。

答弁
私立専修学校への運営費補助についてでありますが、私立専修学校については、私学助成について定めた「私立学校振興助成法」において、経常的経費を補助することができる旨の規定がなく、その運営費に係る国庫補助制度がないことから、県単独で運営費補助金を交付しているところ。
その一方、県の一般財源だけでは限りがあることから、本年6月、政府予算要望において、大学入学資格が付与される私立専修学校高等課程に対し、高等学校に対する支援と同様の支援ができるよう、国に対して国庫補助制度の創設と普通交付税措置を要望しているところ。
引き続き、国に対して制度改善を要望していきたいと考えており、議員、御指摘のとおり、先月22日、星北高等学園にお邪魔し、理事長、校長から直接お話を伺ってきたところ。そうしたことを踏まえ、また、他県の支援状況等も踏まえながら、県として可能な支援について、引き続き検討していく。

(2)読書活動の推進について
子ども達の心の健やかな育ちに必要なたくさんの経験。最も身近で手軽に得られる体験は、絵本の読み聞かせだと言われている。人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠かすことのできない読書活動。それを支える県内の取組の1つに、昨年8月に開始の「象と花プロジェクト」がある。皆さんが読み終えた本を新しい1冊に替えて、病気と戦う子ども達に届けるというもの。支援の輪が広がり、1年間で銀行をはじめ県内43箇所に回収ボックスが設置され、これまで24,253
冊が集まり、岩手医科大学附属病院の小児科に入院する子ども達へ毎月本が届けられ、計102冊が届けられていると聞いている。とても素敵なプロジェクトだなあと感じている。
全国の小中学校1校あたりの図書購入費が 2021 年度、9年前の 12 年度より7万〜10 万円減ったという報道を見て、とても残念に思う。
本県の学校図書館図書標準の達成状況について、小学校、中学校、それぞれ0%のところもあれば100%のところもある。また、図書館資料選定基準の作成状況についても全国に比して、半分以下のである。さらに、図書館資料廃棄基準の作成状況についても同じく全国平均の半分程度となっている。県は子ども達の読書活動の推進目標として、読書の冊数を掲げているが、子ども達が一番図書に触れる機会の多いはずの学校図書館にある本の質が基準に達していない現状で、読書の冊数を計ることについて、どう評価しているか。今後の取組方針も伺う。

答弁
県教育委員会では、文部科学省が実施した「学校図書館の現状に関する調査」の結果を踏まえ、学校図書館の充実を図るため、「第6次学校図書館整備等5か年計画」に基づく地方財政措置の適切な予算化や、収蔵されている図書の質の維持に向けた更新や廃棄の基準の策定について、この11月に市町村教育委員会に通知したところ。
読書活動を推進していくためには、学校図書館等の充実による「本に親しむ環境づくり」とともに、「読書への関心を高める取組」が重要なものと考えており、令和元年度から令和5年度までを計画期間とする「第4次岩手県子どもの読書活動推進計画」に基づき、読書活動推進に係る人材育成と資質向上を図るとともに、ブックリストの作成・配布とその活用促進に取り組んできた。
こうした取組のもと、県内の令和3年度の1か月の平均読書冊数は、すべての校種において全国平均を上回っている状況である。
来年度は令和6年度からの次期計画の策定年度となることから、学校図書館の取組状況や、子どもの読書活動に係る国の有識者会議の議論の状況、スマートフォンの普及状況等の子どもを取り巻く環境を踏まえるとともに、地域の声もお聞きしながら、計画策定に取り組み、子どもの読書活動の一層の推進を図っていく。

答弁に対する指摘
「象と花プロジェクト」には続きがあり、盛岡一高の探究活動の中の一つで、「象と花プロジェクト」に関心を持った生徒が何名かいたと聞いた。その生徒は、小学校の時、読みたい本が少なかったという経験があって、「象と花プロジェクト」を知り、自分の母校である小学校にプロジェクトと連携して本を寄贈する取組を始めたと聞いた。正にこれが、子供たちの声で、図書館に読みたい本がなかった現状がある。冊数だけでなく、しっかり図書館の整備、図書の整備をしていただきたい。

(3)学校司書の配置と学校図書館の機能充実について
児童生徒と本をつなぐ役割を果たす学校司書の必要性を周知する必要があり、配置目標も設定し、学校図書館サービスの改善・充実を図るべきと考えるが所見を伺う。また、学校図書館は、子ども達の居場所ともなりうる場所。不登校対策の一つとしても学校図書館の充実強化が有効と考えるが所見を伺う。

答弁
本県では、県立学校については、障がい者雇用の一環で任用している校務補助員を学校司書として勤務させており、令和4年度は 13 校で配置となっている。
また、未配置の学校についても、校務分掌上、学校図書館業務を学校事務職員の役割として明確に位置付け、司書教諭等と連携・協力しながら従事しており、学校図書館の運営体制の充実に取り組んでいるところ。
市町村立小中学校については、先ほど答弁申し上げた通知の中で、国から提供された図書館整備状況について、全国平均との比較や市町村ごとの課題が把握できるデータをそれぞれの市町村教委の方へ提供して、地方財政措置の適切な予算化を通じて学校司書の配置に努めていただくよう強く働きかけたところ。
また、学校図書館は、「読書センター」、「学習センター」、「情報センター」としての機能に加え、別室登校や特別な配慮が必要な児童生徒などにとっての「居場所」としての役割を併せ持っていることから、不登校対策をはじめとした多様なニーズに対応できる魅力ある学校図書館として、図書資料等の充実も含めた整備充実に向け、市町村教育委員会と連携しながら各学校を支援していく考え。

答弁に対する指摘
私も今年に入り、県内小学校の学校図書館を何か所か視察した。学校司書がいる、いないで、差が歴然としていた。例えば、今年4月、新しい本が200冊配布されたのに、8月に訪問した際、まだ図書館に配架されていなかった。コロナに相まって、司書がいないところでは、ボランティアも入られない状況である。せっかく本を買っても、学校で配架されないという、とても残念な状況である。そのため、子供たちが借りられない。新しい本は配架されず、司書がいないので、古い本のままである。たくさん読まれる本は、(痛みがあっても)直されない状況で、そのまま置かれていた。小学校で司書がいると、ポップ掲載されて、内容が分かりやすくなっており、子供たちで図書館が賑わっていた。(司書がいる、いないで)全く違うと感じだ。ぜひ、充実を図っていただきたい。
先ほど、フリースクールに行っていただきたいと話したが、学校図書館にも行っていただきたい。不登校対策の一つの居場所にもなると思う。

(5)インクルーシブ遊具を備えた公園について
本県には約 1,300
箇所の都市公園があり、そのほとんどの公園に、児童遊具広場が整備されているが、バリアフリー法施行から10年以上経った現在でも、障がいの有無にかかわらずあらゆる児童が一緒に遊べる広場は、残念ながら極めて少ない状況である。県内では、一関市の一関遊水地記念緑地公園や宮古市のうみどり公園があるが、整備事例は多くない。そのため、広場の性格や必要な整備費、アクセシビリティや安全性の確保、管理のあり方などについて知られていないことも多い。こうした背景を踏まえて、東京都では「だれもが遊べる児童遊具広場」整備ガイドラインを作成し、障がいの有無に関わらず、子ども達が安全に遊ぶことができる遊び場の整備に取り組んでいる。本県もぜひガイドラインを作成していただきたいが、インクルーシブ遊具を備えた公園の県内の現状と今後の取組の方向性について伺う。

答弁
いわゆるインクルーシブ遊具は、車いすに乗ったまま楽しめるブランコなど、障がいがある人もそうでない人も一緒になって遊ぶことができるユニバーサルデザインに配慮した遊具のことであり、本県の都市公園においては、市が管理する一関遊水地記念緑地公園と宮古市の旧市役所跡地にある、うみどり公園に設置されていると承知しております。
県では、高田松原津波復興祈念公園において、国の「都市公園の移動等円滑化整備ガイドライン」を踏まえた設計を行い、遊具は設置していないものの、園路の勾配を車いす使用者に配慮した構造とするなど、バリアフリーに配慮した施設整備を行ってきたところであります。
県といたしましては、全ての利用者が、より円滑に利用できるよう、公園施設の整備を行う際の考え方を示した当該ガイドラインに基づき、費用や安全管理の面などの課題も考慮しながら、県立都市公園の施設の更新等を行ってまいります。
また、都市公園の主な設置主体である市町村に対しましては、他の都道府県や県内の事例を情報提供するなど、ユニバーサルデザインの視点に立った公園整備について、理解促進に努めてまいります。

再質問1
高田松原公園の園路をバリアフリー化していると言うことで遊具ではないのか。

答弁
高田松原津波復興祈念公園は、震災の教訓を伝える場となっておりまして、いわゆる遊具は設置しておりません。
ですが、多くの皆様に来ていただけるように車いすも通れるような幅が広い園路とか、勾配も緩くするなどといった施設への配慮をしております。

再質問2
高田松原はそのとおりですが、遊具のある県立公園、都市公園では花巻などにありますが、障がいが有っても無くてもというところの遊具を、子どもたちの視点に立って、県内で老朽化したままになっている市町村の公園がある一方で、遊具が更新されている状況もあるのですが、バリアフリーという障がいが有っても無くても子どもたちが遊ぶことができる施設というのは大切な視点だと私は思っていて、そこをしっかり県が障がいが有っても無くてもという視点で公園の整備をしていただきたいと思って取り上げさせていただいております。
私も盛岡から宮古に行くのがすごく近くなったので、うみどり公園には良く行くのですが、たくさんの子供たち、家族連れが来ており、実際に障がいがあるお子さん達も遊んでおりました。
県のアンケート調査でも子どもの遊び場が少ないという話しがある中で、県としてのガイドラインの設定を考えていただきたいと思いますが、あらためて伺います。

答弁
東京都のようなガイドラインということだと思いますが、東京都のガイドラインは、児童遊具広場や遊具を対象としたものとなっておりますが、考え方は、ユニバーサルデザインの視点で整備する、それから計画段階から利用者、当事者が参加する、維持管理を想定した整備をすると言ったようなことを基本的な考え方としてうたわれております。
それから国の「都市公園の移動等円滑化整備ガイドライン」につきましてもこれと同じような考え方が整理されております。
したがって、東京都のガイドラインではなく、県としては、今後の都市公園の遊具の更新等に当たりましては、国のガイドラインを踏まえながらユニバーサルデザインに配慮した対応を行っていきたいと考えております。

3.パートナーシップ制度の導入について

(1)パートナーシップ制度の導入について
パートナーシップ制度は、9府県を含めて全国239の自治体に広がり、東北地方では今年に入り青森県、秋田県が導入した。県内では2市が導入予定、4市町が導入検討している。導入自治体の数は全国の1割強だが、人口で換算すると6割を超す。制度導入に関しての課題について、9月議会で、①導入する自治体ごとに対象の範囲や認定の手続きが大きく異なると混乱が生じかねない、②市町村と県が別個に制度導入すると利用者が双方に申請する手間が生じてしまうとの見解だったが、県が導入する意義は大きく、当事者の方々にとっては、二重になることへの負担感ではなく、むしろ後押しになる存在と聞く。市町村の導入を後押しし、負担や格差が生じないよう市町村と連携することこそ県の役割ではないか。また、県営住宅への運用は市町村での制度では対象とならない。県でもパートナーシップ制度を導入すべきと考えるが、ご所見を伺う。

答弁
パートナーシップ制度については、県内でも複数の市町村で導入に向けた検討が行われているほか、今年8月には県としても当事者の方を含む関係団体の皆様から要望をいただき、公営住宅への入居などにおけるメリットを改めて認識したところです。
一方、婚姻を含む戸籍事務は市区町村で取り扱われており、仮にわが国でも同性婚が実現するような場合には、市区町村で事務が取り扱われることになると思われますので、このパートナーシップ制度も渋谷区に始まり、やはり市区町村での導入が進められてきたところです。
しかしながら、途中から一部の都道府県でも導入されるようになり、その後、自治体間の役割分担が特に整理されることのないまま現在に至るというのが、わが国の状況となっています。
そのような中、県と市町村の役割分担を整理した上で、二重行政になることなく全体最適な形で制度の導入を後押しする手法を模索しておりまして、例えば、市町村がパートナーシップ制度を創設した場合に県の施設でも活用できるようにするなど、県内での制度普及を促すための新たなアプローチについて、検討を進めてまいります。

(2)要望への対応について
今年8月には県内6つの団体が県に対し要望書を提出した。同性パートナー、同性パートナーとその養育する子、性的マイノリティのひとり親家庭等多様な家族のあり方を支援するファミリーシップ制度の創設をはじめ学校における制服の見直し等13項目の要望があった。要望13
項目のうち対応予定のものがあれば伺う。

答弁
今年8月にいただいた要望事項は関係部局とも共有しておりまして、例えば、申請書類の性別記入欄については様々な考え方もありますが、県立高校入試の出願書類では性別記入欄が削除されているほか、県立高校の制服について、女子生徒がスカートだけでなくスラックスも選択できるようにするといった動きも出始めています。
また、防災の分野でも、今年 10 月の県の総合防災訓練において、多様な性自認を前提とした対応がなされたと伺っており、このように可能なものから対応が図られているところです。

再質問
新たなアプローチとは、私はパートナーシップ制度を導入するという方向として理解したが、簡潔に伺う。

答弁
制度の導入を後押しする手法を模索している状況でございます。

答弁に対する指摘
導入するという方向であると期待している。今年度中に、その方向性を示していただけるかと思っている。ぜひ、今年度中に、検討をお願いする。

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